【健康寿命】健康寿命を延ばす“感動体験”のチカラ

若いころは、ライブに行ったり、旅行に出かけたり、初めての経験にドキドキする機会が多かったかもしれません。ところが40代、50代、60代…と年齢を重ねるにつれ、「心が震えるほどの感動なんて、最近あったかな?」と首をかしげる方も多いのではないでしょうか。
じつは、そうした「感動体験」そのものが、健康寿命をゆっくり支えてくれる大事な要素だと考えられています。美しい景色に息をのむ瞬間も、ライブで鳥肌が立つ瞬間も、孫や家族との何気ないシーンにホロっとする瞬間も、すべて心と体へのやさしい刺激になります。
この記事では、人生の後半戦を歩く40〜70代の方に向けて、「感動体験」と健康寿命の関係を、できるだけやさしい言葉でまとめてみました。難しい専門用語よりも、「あ、これならできそうだな」と感じてもらえる小さな工夫を中心にお伝えしていきます。
目次(表示させると見出しが見られますよ!)
健康寿命と「感動体験」の関係をゆるく整理してみる
健康寿命は「どれだけ長く、自分らしく動けるか」の指標
まず前提として、この記事でお話しする健康寿命とは、「生きている期間(平均寿命)」ではなく、
できるだけ長く、自分の足で歩き、自分の頭で考え、自分の意思で行動できる時間のことだと考えてください。
日本では、健康寿命は「日常生活に制限のない期間」として統計がとられているようです。こうした定義については、厚生労働省など公的機関の情報も参考にされています。
この記事では、そうした専門的な定義をかみ砕いて、「自分でトイレに行ける」「自分で買い物に行ける」「自分の趣味を楽しめる」といった、生活の実感に近いイメージで考えていきます。
感動体験はストレスをやわらげる“やさしい刺激”
健康寿命を考えるうえで、どうして「感動体験」が大事と言われるのでしょうか。専門的な研究では、ポジティブな感情やワクワクする体験が、ストレスをやわらげたり、自律神経やホルモンのバランスを整える手助けをする可能性が指摘されています。
たとえば、公的な健康情報でも「ストレスをため込みすぎないこと」「心身のリフレッシュを意識すること」の重要性がよく紹介されています。興味があれば、厚生労働省の健康情報サイトなども参考にしてみてください。
感動というと大げさに聞こえるかもしれませんが、要するに「心が動く」「胸が温かくなる」「思わず息をのむ」といった体験です。こうした時間が、ストレスでギュッと固まりがちな心と体を、ふっとゆるめてくれるようです。
心が動くとき、体の中では何が起きている?
夕焼けを見て「きれいだな」と感じるとき、あるいはコンサートで涙が出そうになるとき、私たちの体の中では、こんな変化が起きていると考えられています。
- 自然と呼吸が深くなる(ため息のような深呼吸が出ることもあります)
- 固まっていた表情筋がゆるみ、笑顔や涙が出る
- 背筋が伸びたり、胸を張った姿勢になることで血流がよくなる可能性がある
- 「うれしい」「ありがたい」と感じることで、やる気や幸福感に関わる物質が出やすくなると言われている
きっちりした数字で「○%良くなる」といった話はここではしませんが、心が動く瞬間に、体も一緒に反応しているというイメージを持っていただければ十分です。つまり、感動体験は「何もしないで座っている時間」とは、ちょっと違う意味を持っているのかもしれません。
日常の中で見つけやすい「感動体験」のヒント
「感動体験」と聞くと、海外旅行や高級コンサートをイメージしてしまうかもしれません。ただ、健康寿命のことを考えるなら、むしろ日常の中で積み重ねられる、小さな感動のほうが大切になってきます。
1. 自然の景色に“ちゃんと向き合う”時間をつくる
同じ近所の公園でも、「通り過ぎるだけ」と「立ち止まって空を見上げる」では、心への残り方がまったく違います。
- 朝、ゴミ出しのついでに空の色と雲の形を30秒だけ眺める
- 晴れた日に、少し遠回りして川沿いや海辺を歩いてみる
- 旅行に行かなくても、近場の夕日スポットを一つ決めておく
このような小さな習慣でも、「今日の空は昨日と全然違うな」「季節が変わってきたな」と心が動くきっかけになります。自然の景色は、年齢に関係なく楽しめるコスパの良い感動資源と言えるかもしれません。
2. 音楽・芸術で、心の“スイッチ”を切り替える
忙しい一日の終わりに、テレビのニュースを漫然と流し続けていると、どうしても心は疲れやすくなります。そんなとき、あえて音楽や映画、絵画などの世界にふっと身を置いてみると、気持ちの切り替えがしやすいことがあります。
- 若いときによく聞いていた懐かしい曲を、あえてじっくり一曲だけ聴く
- 映画やドラマを「ながら見」ではなく、スマホを置いて集中して観る時間をとる
- 美術館はハードルが高いと感じるなら、図書館の写真集コーナーを眺めるところから始める
音楽や芸術の好みは人それぞれですが、自分の“ツボ”にハマる作品に出会えたときの感動は、何歳になっても大きな力を持っています。最近は自治体や公共ホールが主催するコンサートも多く、手の届きやすい価格で楽しめるものも増えています。お住まいの市区町村の文化施設情報なども、ときどきチェックしてみると良さそうです。
3. 人とのつながりが生む、じんわりした感動
強烈なサプライズよりも、「誰かと穏やかに笑い合う時間」のほうが、心がホッとする感動につながることがあります。
- 孫と一緒に歩きながら、いつもよりゆっくり話を聞いてみる
- 久しぶりの友人に電話をして、昔話で盛り上がる
- いつも行くお店の店員さんと、一言だけでも言葉を交わしてみる
「たいしたことない会話だったな」と思う日もありますが、ふとした瞬間に「人とつながっているな」「自分は一人じゃないな」と感じることがあります。この感覚は、メンタルの安定や意欲と深く関わっているようです。
感動体験が「行動のスイッチ」になることもある
感動体験は、単に心が温かくなるだけでなく、そのあとに続く行動を変えてしまうことがあります。
「自分も変われるかもしれない」と感じた瞬間
私自身、ライザップに通うことを決めた背景には、「感動」が大きく関わっていました。詳しい経緯は
リバウンド経験者がライザップで変わった体験談【和久井編】
でもお話ししていますが、最初の一歩を後押ししてくれたのは、誰かの劇的なビフォーアフター写真だけではありません。
カウンセリングでトレーナーの話を聞いたとき、「この人たちは、本気で自分のことを考えてくれているかもしれない」と胸が熱くなりました。「変わらなきゃ」ではなく、「変われるかもしれない」という感情が芽生えた瞬間です。
健康寿命を考えるときも同じで、「歩かなきゃ」「運動しなきゃ」と頭で分かっていても、なかなか続かないことがありますよね。そんなときこそ、心が動く体験が、次の一歩のスイッチになることがあるのだと思います。
数字よりも、“生きていてよかった瞬間”を増やす
もちろん、体重や血圧などの数字をチェックすることも大切です。ただ、健康寿命という視点で見れば、「人生の中で、どれだけ『生きていてよかったな』と思える瞬間があったか」も同じくらい重要になってくるように感じます。
感動体験は、その「よかった瞬間」を増やすための装置のようなものです。そして、その瞬間を味わうためには、やはりある程度の体力や気力が必要になります。つまり、
感動体験と健康づくりは、お互いを支え合う関係だと言えるかもしれません。
大きなイベントより、「小さな感動」を積み重ねる
ここまで読むと、「じゃあ、もっと旅行に行かなきゃ」「高いチケットを買わないと」と思われるかもしれません。でも、健康寿命のために必要なのは、年に一度のド派手な感動よりも、毎日の生活の中に埋め込まれた、小さな感動の積み木です。
“特別な日”ではなく、“いつもの日の中”で探す
たとえば、次のような瞬間も立派な感動体験です。
- いつものスーパーで、季節の果物が並び始めているのを見つけたとき
- 通勤・通学で使っていた駅のホームから、予想外にきれいな夕焼けが見えたとき
- テレビのニュースの最後に流れた、地域の温かいエピソードを見てジーンとしたとき
こうした瞬間を、スルーせずに「あ、ちょっといいな」と心の中でつぶやいてみるだけでも、感動体験としての価値がグッと高まります。
「感動メモ」を1日1行つけてみる
おすすめなのが、1日1行の「感動メモ」習慣です。立派な日記である必要はありません。スマホのメモアプリでも、手帳の隅でも、なんでもOKです。
- 「今日の夕焼け、オレンジ色が濃くてきれいだった」
- 「孫が『じいじ、また来るね』と言ってくれて泣きそうになった」
- 「バスの運転手さんのあいさつが、とても丁寧で気持ちよかった」
こんな短い一言でも、数週間たつと読み返すのが楽しみになってきます。「自分の毎日って、意外といいことが多いな」「人生、まだまだ悪くないな」と感じやすくなり、心の土台が少しずつ安定していくようです。
感動を受け取るための“準備運動”も大切
どんなに良い景色や音楽に出会っても、心に余裕がないとスッと通り過ぎてしまいます。そこで、感動をキャッチしやすくするための「準備運動」を、生活の中に少しだけ取り入れてみるのもおすすめです。
1. 予定表に「何もしない時間」をあえて書き込む
スケジュール帳が「やること」でビッシリ埋まっていると、心はいつも先の予定に引っ張られています。そこで、思い切って「何もしない時間」を予定として書き込む方法があります。
- 「日曜の夕方30分:ベランダでぼーっとする」
- 「水曜の夜:お気に入りの音楽だけ聴く時間」
予定として書き込んでおくと、「サボっている罪悪感」ではなく、「これは自分のための大事な時間なんだ」と思いやすくなります。その余白の中に、思いがけない感動が紛れ込んでくることがあります。
2. スマホをポケットにしまうタイミングを決める
私たちの視線は、ついスマホの画面に吸い寄せられがちです。歩きながらニュースをチェックしていると、せっかくの景色や人の表情に気づきづらくなってしまいます。
そこで、「家を出て角を曲がるまではスマホを見ない」など、自分なりのルールを一つだけ決めてみるのも一つの方法です。最初は少し落ち着かないかもしれませんが、「あれ、近所の木ってこんなに大きかったっけ?」など、小さな発見が増えていきます。
気持ちが沈んでいるときの、やさしい“感動”との付き合い方
もちろん、いつも前向きでいられるわけではありません。体調がすぐれなかったり、心配ごとが重なったりして、「感動どころじゃない」と感じる時期もあります。
無理にポジティブになろうとしなくていい
そんなときは、「感動しなきゃ」と自分を追い込む必要はありません。むしろ、無理に明るくしようとすると疲れてしまいます。
できることは、ほんの少しだけハードルを下げることです。
- ベッドやソファに座ったまま、窓の外の空の色だけを眺めてみる
- 元気が出る映画ではなく、静かなドキュメンタリーや自然映像を流してみる
- 手紙やLINEで、「最近どう?」と一言だけ送ってみる
このような小さな一歩でも、心のどこかで「何かを感じとろうとしている自分」が動き始めます。それだけでも十分、健康寿命のためのやさしい準備になっているように感じます。
感動は「比べない」ほど増えていく
SNSやテレビを見ていると、世界一周旅行をした人、富士山の頂上からご来光を眺めた人、超一流アーティストのライブに行った人…と、派手な体験がたくさん目に入ってきます。
それらを見て、「自分の毎日は地味だな」「こんなの感動って呼べない」と感じてしまうと、せっかくの日常の感動の芽を自分で踏んでしまうことになります。
「自分の物差し」で感動を測ってみる
健康寿命というゴールから考えると、大事なのは“誰かの映える体験”ではなく、“自分の心がどう動いたか”です。
- 他人がうらやましくなる投稿を見たときは、スマホをそっと閉じてみる
- 「今日はこれがうれしかった」と、自分の中の小さな感動を言葉にしてみる
- 家族や友人と、お互いの「今週のうれしかったこと」を話し合ってみる
こうした習慣を続けていくと、「人は人、自分は自分」という感覚が少しずつ育っていきます。これは、メンタルの安定にも、毎日の満足感にもつながりやすいと言われています。
まとめ:感動体験で、心と体をゆっくり動かしていく
ここまで、「感動体験」と健康寿命の関係について、専門用語をできるだけ使わずにお話ししてきました。最後に、大切なポイントをあらためて整理してみます。
- 健康寿命は、「どれだけ長く、自分らしく動けるか」の時間
- 感動体験は、ストレスをやわらげ、心と体をやさしく刺激すると考えられている
- 海外旅行や高級イベントだけでなく、日常の小さな感動の積み重ねが大事
- 感動は、次の一歩を踏み出す「行動のスイッチ」になることがある
- 無理にポジティブになろうとせず、「比べない」「自分の物差しで測る」ことが大切
健康寿命を伸ばすというと、「運動」「食事」「睡眠」といった話になりがちです。もちろん、それらもとても大切です。ただ、「心が動く瞬間を、どれだけ人生の中に散りばめられるか」という視点も、同じくらい大切だと感じています。
美しい夕焼けに胸を打たれた日、懐かしい曲を聴いて涙が出そうになった日、孫の一言にジーンときた日——。そうした一つひとつの「感動体験」が、あなたの心と体をゆっくりと動かし、元気に動ける時間=健康寿命を支えてくれるかもしれません。
今日の帰り道、あるいはこの記事を読み終えたあとに、ほんの少しだけ周りを見渡してみてください。もしかしたら、すぐそこに、あなたの心をやさしく揺らす小さな感動が待っているかもしれません。

