【健康寿命】50代の血圧が上がるのは塩分より○○のせい?

「検診で『血圧が高めですね』と言われた」「若いころは正常だったのに、最近じわじわ上がってきた」──50代になると、こんな悩みが増えてきます。
血圧と聞くと、まず思い浮かぶのが「塩分のとりすぎ」かもしれません。たしかに、日本人の高血圧には食塩のとりすぎが大きく関わっているとされています。ただ、血圧を押し上げているのは、塩分だけではありません。
ストレス、睡眠不足、運動不足、体重の増加、お酒の量など、いくつもの生活習慣が重なって、気づかないうちに血圧が上がっていくケースも多いようです。
この記事では、50代の血圧が上がりやすくなる背景を整理しながら、「塩分だけのせいにしない」ゆるやかな血圧ケアの考え方を、一緒に見ていきましょう。
健康寿命=元気に動ける時間を長くするためのヒントとして読んでいただけたらうれしいです。
目次(表示させると見出しが見られますよ!)
50代の血圧が上がりやすくなるのはなぜ?
加齢とともに血管も「年齢を重ねる」
年齢とともに、血管のしなやかさは少しずつ失われていくと考えられています。ゴムホースを長く使うと固くなるのと同じように、血管の壁もダメージを受けたり、コレステロールなどが付着したりして、弾力が低下しやすくなるからです。
血管が固くなると、同じ量の血液を流すのにも強い圧力が必要になり、結果として血圧の値が高くなりやすいとされています。これ自体はある程度、加齢に伴う自然な変化でもありますが、生活習慣によって進み方に差が出ると言われています。
50代は「生活がぎゅっと詰まる世代」
50代は、仕事では責任が増え、家庭では親のケアや子どもの独立など、いろいろな出来事が重なりやすい時期です。睡眠時間が削られたり、食事が不規則になったり、「自分のケアは後回し」になりやすい世代とも言えます。
ストレスが続くと、自律神経のうち「緊張モード」をつかさどる交感神経が優位になり、血管が縮こまりやすくなるとされています。その結果、血圧が一時的に上がりやすくなり、それが慢性的に続くと、だんだんと高めで安定してしまうこともあるようです。
「若いころと同じ生活」のままでは負担が増える
「昔から塩分はそんなに気にしていないのに、なぜ今になって血圧が上がるの?」と感じる方もいます。背景には、「体の耐久力」が少しずつ変化していることがあります。
- 遅い時間の夕食や飲酒が続いても、翌日けろっとしていた
- 運動をしなくても、体重も血圧もあまり変わらなかった
そんな「若いころの当たり前」を、50代以降も続けていると、体にとっては負担が大きくなりやすいのです。体の変化に気づかないまま、昔と同じ生活を続けることが、血圧アップにつながっていることもあります。
「塩分だけじゃない」血圧を押し上げる生活習慣
ここからは、血圧に影響しやすい生活習慣を、塩分以外のポイントも含めて整理していきます。
1.ストレスと「緊張モード」が続く生活
仕事のプレッシャー、人間関係、家庭の心配ごと。50代は、ストレスのテーマが増えやすい年代です。
ストレスを感じているとき、体の中では「コルチゾール」「アドレナリン」といったホルモンが多く分泌されるとされています。これらは、心拍数を上げたり血管を収縮させたりして、一時的に血圧を上げる働きがあるとされています。
国産メーカーであるオムロンヘルスケアが行った調査でも、「ストレスをよく感じている人ほど『血圧が高めと言われた経験』が多い」という傾向が報告されています。ストレスそのものがすべて悪いわけではありませんが、「緊張モードが続きっぱなし」の状態は、血圧にとっても負担になりやすいようです。
2.睡眠不足・睡眠の質の低下
「寝ても疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚める」――そんな睡眠の悩みも、50代で増えやすいテーマです。
厚生労働省の情報でも、睡眠不足や睡眠の質の低下が、生活習慣病や高血圧のリスクを高める可能性があるとされています。夜のあいだに血圧がしっかり下がることで、心臓や血管は休むことができますが、睡眠が浅かったり短かったりすると、この「夜間の休息タイム」が十分に確保できないと考えられているからです。
また、睡眠不足のときは、食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れやすく、「ついつい食べすぎ」「甘いもの・しょっぱいものが欲しくなる」など、間接的に血圧に影響する行動も増えやすいとされています。
3.運動不足と筋力低下
デスクワーク中心の仕事、移動は車、休日は家でゆっくり──そんな生活が続いていると、「気づけば一日の歩数がほとんどない」ということもあります。
厚生労働省「e-ヘルスネット」では、歩行などの有酸素運動を続けることで、血圧の低下や生活習慣病の予防につながる可能性があると紹介されています。からだを動かすことで血管が広がりやすくなり、血流がスムーズになることが理由のひとつと考えられています。
逆に、動く機会が少ないと、
- 筋肉量が減って基礎代謝が落ちる
- 体重や内臓脂肪が増えやすくなる
- 血流が滞りやすくなる
といった変化がじわじわ進み、血圧にも影響しやすくなります。
4.体重・内臓脂肪・お腹まわり
「若いころと比べて、同じ体重でもお腹まわりが気になるようになってきた」という声もよく聞きます。年齢とともに、筋肉よりも脂肪がつきやすくなるのは自然な変化ですが、内臓脂肪が増えすぎると、血圧の上昇や脂質異常、血糖値の変化など、いろいろな項目に影響しやすいとされています。
厚生労働省の資料でも、「日本人の高血圧には食塩だけでなく、肥満や飲酒、運動不足などが複合的に関わっている」とまとめられています。体重やウエストまわりの変化に「ちょっとだけ」目を向けることも、血圧ケアの一部と言えそうです。
5.飲酒・喫煙・カフェインなどの嗜好習慣
お酒やたばこ、コーヒーなどの嗜好品も、血圧に影響を与えることがあるとされています。
- 飲酒:一時的に血圧を上げる作用があり、多量飲酒が続くと、慢性的な高血圧につながる可能性があるとされています。
- 喫煙:たばこの煙に含まれる成分が血管を収縮させ、血圧を上げやすくすると言われています。
- カフェイン:コーヒーやエナジードリンクなどの飲みすぎは、一時的に血圧を上げることがあるため、人によっては注意が必要とされています。
どれも「絶対にやめなければならない」というよりも、「量やタイミングを少し見直すことで、体への負担を軽くできるかもしれない」くらいの距離感でとらえてみると、続けやすくなります。
塩分だけのせいにしない血圧ケアの考え方
ここからは、「塩分だけを悪者にしない」血圧ケアの考え方を、健康寿命という視点も交えながら整理していきます。
1.まずは「今の自分の血圧」を知る
血圧は、痛みなどの自覚症状が出にくいため、「健診で言われるまで気づかなかった」という方が少なくありません。
日本高血圧学会の一般向け冊子では、診察室で測る血圧だけでなく、家庭で測る「家庭血圧」を重視する考え方が紹介されています。病院で測るときだけ緊張して高くなる「白衣高血圧」や、逆に家でだけ高くなる「仮面高血圧」などもあるため、日常の血圧の様子を知ることが大切とされています。
とはいえ、「毎日きっちり記録しないといけない」と考えると、続けるのがつらくなってしまいます。最初は、
- 起きてトイレを済ませたあと、朝1回測る
- 余裕があれば、寝る前にも1回測る
- 数字はざっくりメモしておく(ノート・スマホ・カレンダーなど)
くらいの「ゆるさ」から始めてみるのもひとつの方法です。だいたいの傾向が分かるだけでも、「今日はちょっと高めだから、夜更かしは控えようかな」など、日々の選択に活かしやすくなります。
家庭用血圧計の使い方や目安については、厚生労働省の情報サイトやメーカーの解説ページなども参考になります。
厚生労働省「e-ヘルスネット(高血圧)」 などの公的な情報も、一度目を通しておくと安心です。
2.塩分は「0か100か」ではなく“ちょっとずつ見直す”
日本人の高血圧では、「食塩のとりすぎ」が大きな要因とされています。ただ、「明日から一切塩分をとらない」というのは現実的ではありませんし、食事の楽しみが減ってしまうとストレスにもつながります。
50代からの塩分対策は、「減らそう」と力むよりも、「少し薄味に慣れてみよう」くらいのイメージで、次のような工夫から始めてみるのがおすすめです。
- まずは「汁もの」の塩分から意識する(スープ・味噌汁の回数や量を少し減らす)
- 麺類の「スープは残す」を習慣にしてみる
- しょうゆやソースは「つけて食べる」から「かけすぎない」に変えてみる
- 塩味の代わりに、レモン・酢・薬味・スパイス・だしなどの風味を活かす
細かくグラム数を計算しなくても、「毎日の食卓でできる範囲の工夫」を続けるだけでも、体には少しずつ良い方向の変化がたまっていきます。
3.ストレスを「ゼロ」にするより、抜け道を増やす
ストレスが血圧に影響する可能性があるといっても、「仕事をすべて辞める」「家庭の問題を一気に解決する」といったことは、なかなか現実的ではありません。
現実的にできることは、「ストレスの原因をゼロにする」よりも、「ストレスの出口や逃げ道を増やす」ことかもしれません。
たとえば、
- 1日5分だけ、スマホを置いてゆっくり深呼吸する
- 湯船につかる時間だけは「仕事のことを考えない」と決めてみる
- お気に入りの音楽をかけながら、家事や片づけをする
- 週に1回だけでも、誰かと他愛ない話をする時間を作る
こんな小さなことでも、自律神経のバランスを整えるきっかけになると考えられています。私自身も、ダイエットに取り組んでいたころは、運動よりも先に「休む時間」「ぼーっとする時間」を確保するよう意識したことで、結果的に血圧や体調にもいい変化を感じました。
4.「睡眠負債」を少しずつ返す工夫
睡眠は、血圧だけでなく、心と体のあらゆるメンテナンスの時間と言われています。とはいえ、「毎日7時間以上眠らないといけない」と決めてしまうと、かえってプレッシャーになってしまうこともあります。
50代からの睡眠ケアは、次のような「小さな一歩」からでも十分価値があります。
- 寝る30分前から、スマホやパソコンの画面を見る時間を減らす
- カフェイン飲料は、夕方以降の量を減らしてみる
- 寝る前に、明日の心配ごとを書き出して頭の中をいったん外に出す
- 「眠れない時は、いったん布団を出てお茶を飲む」など、自分なりのリセット方法を作る
少しずつ「夜の緊張モード」をゆるめていけると、血圧の面でも、翌日の元気さという意味でも、プラスに働きやすいと考えられています。
5.きつくない“ながら運動”で血流を育てる
「運動不足が血圧に良くないのは分かっているけれど、激しい運動は自信がない」という方も多いと思います。
そんなときは、「運動するぞ」と気合を入れるのではなく、日常の中に少しずつ「ながら運動」を混ぜていくイメージがおすすめです。
- エレベーターではなく、1〜2階だけ階段を使ってみる
- 信号待ちのときに、そっとかかと上げ・つま先上げをする
- 歯みがきの時間に、軽く膝の曲げ伸ばしをする
- 自宅では、立ち上がる回数を意識して増やす(テレビCMの間だけ立つなど)
動く時間が細切れでも、「座りっぱなしの時間を減らす」「こまめに足を動かす」というだけで、血流や血圧に良い影響が期待できるとされています。
私はライザップで本格的なトレーニングにチャレンジしたことがありますが、その前に「日常の中でどれだけ動けるか」を見直した経験が、今でも血圧ケアの土台になっています。詳しい体験談は、ライザップ・高血圧オヤジ54歳の挑戦※減量期の全記録! にまとめていますので、興味のある方は参考にしてみてください。
医療との上手な付き合い方と「受診のタイミング」
「ちょっと心配」が続くときは、早めに相談を
家庭で血圧を測っていて、
- 何日も続けて高い値が出る
- 急に頭痛やめまいが増えた気がする
- 胸の違和感や息切れが気になる
といったことが続く場合は、自己判断だけで様子を見るよりも、早めにかかりつけ医に相談することが勧められています。
日本高血圧学会のガイドラインなどでも、血圧は「数字だけでなく、他の病気の有無や年齢、生活習慣などを合わせて見たうえで、治療方針を決める」ことが大切だとされています。薬を使うかどうかも含めて、専門家と一緒に考えていくイメージが安心です。
薬は「ゴール」ではなく、生活を整えるためのパートナー
高血圧の治療では、生活習慣の見直しとともに、必要に応じて薬が処方されることがあります。
薬というと、「飲み始めたら一生やめられないのでは」「負けた気がする」と感じる方もいますが、血圧を安全な範囲に保つためのひとつの手段と考えたほうが、心が軽くなりやすいように思います。
薬で血圧が落ち着くと、
- 頭痛やだるさが減って、日常生活が楽になる
- 「今すぐの危険」が減ることで、安心して生活習慣の見直しにも取り組める
といったメリットも期待できます。もちろん、薬の種類や量、飲み方などは、必ず主治医の指示に従い、不安や疑問があるときは遠慮なく相談してください。
健康寿命の視点で見る「血圧との付き合い方」
目的は「長生き」よりも「元気で動ける時間」を増やすこと
血圧の話をすると、「脳卒中になったらどうしよう」「寝たきりになりたくない」と、不安なイメージが浮かびやすいかもしれません。
もちろん、将来の病気のリスクを減らすことも大切ですが、健康寿命という視点で考えると、「今日・明日の生活を少しでも楽に、心地よくする」ことも同じくらい大事です。
血圧が整ってくると、
- 朝起きたときのだるさが減る
- 階段の上り下りが少し楽になる
- イライラや不安が少し和らぐ
といった、日常の小さな変化を感じられることがあります。こうした「小さな快適さの積み重ね」が、そのまま健康寿命の延長につながっていくのだと思います。
「がんばる日」と「ゆるめる日」を両方用意する
血圧ケアに限らず、生活習慣を見直すときに大切なのは、「完璧を目指しすぎないこと」だと感じています。
毎日きっちり減塩し、毎晩決まった時間に寝て、毎日同じ時間に運動をする──そんな生活は理想ではありますが、多くの人にとっては現実的ではありません。
そこで、私は次のように考えるようにしています。
- 今日は「がんばる日」だから、夕食の塩分とお酒を意識して控えてみる
- 今日は「ゆるめる日」だから、好きなものを少し楽しみつつ、早めに寝る
- 「何もできなかった日」があっても、それを責めずに、翌日からまたやり直す
こんなふうに、「がんばる日」と「ゆるめる日」の両方を許してあげると、血圧ケアも長続きしやすくなります。
まとめ:塩分だけを責めず、自分も責めない血圧ケアを
50代で血圧が上がるのは、塩分だけのせいではなく、
- ストレスや睡眠不足で「緊張モード」が続いていること
- 運動不足や体重の変化で、血流に負担がかかっていること
- 飲酒や喫煙など、嗜好習慣が積み重なっていること
など、いくつもの要因が少しずつ重なった結果であることが多いようです。
大切なのは、「全部自分が悪い」と責めることではなく、「できるところから一つずつ、生活を整えてみようかな」と、ゆるやかに方向転換していくことだと思います。
この記事でご紹介した
- 家庭血圧をゆるく記録してみる
- 汁ものや麺類の塩分から見直してみる
- 一日のどこかに「休む時間」「深呼吸の時間」をつくる
- ながら運動で、こまめに体を動かす
- 気になることがあれば、早めに医師に相談してみる
といった小さな工夫は、どれも今日から始められるものばかりです。
血圧は、「完璧な生活ができる人だけが守れるもの」ではありません。50代からでも、むしろ今だからこそ、「塩分だけのせいにしない」「自分も責めない」やさしい血圧ケアで、これからの健康寿命を一緒に育てていきましょう。

