【健康寿命】60代の“疲れない体”は朝の一杯から作られる

「最近、朝からなんとなくエンジンがかからない」「午前中でもすぐに疲れてしまう」――60代前後になると、そんな感覚が当たり前になってくることがあります。
でも、いきなりハードな運動や難しい栄養管理をしなくても、「朝の一杯」を変えるだけで、その日の疲れ方が少しずつ変わっていくことがあります。
この記事では、白湯・お味噌汁・たんぱく質入りドリンクなど、60代からの健康寿命(=元気に動ける時間)を支える「朝の一杯」のアイデアを、やさしく整理していきます。
医療行為や治療ではなく、「日常の小さな習慣」として読んでもらえたらうれしいです。
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60代の「朝の一杯」が健康寿命につながる理由
体の多くは水分でできていて、夜のあいだに失われていく
人の体の半分以上は水分だと言われています。加齢とともに体の水分量は少しずつ減っていき、さらに高齢になるほど「のどの渇き」を感じにくくなるとも言われています。
その一方で、寝ているあいだにも汗や呼吸で水分は失われています。夏場でなくても、一晩でコップ1杯分以上の水分が抜けるとも聞きます。
60代になると、「気づかないうちに、軽い脱水気味で一日をスタートしている」ということも珍しくありません。
脱水までいかなくても、水分が足りないと血液がドロッとしやすくなったり、頭がボーッとしたり、体が動き出すまでに時間がかかることがあります。
だからこそ、朝いちばんの一杯は「体に水を戻す最初の一回」として、とても大切な役割を持っていると考えられています。
朝の水分と軽い栄養は「エンジン点火スイッチ」
朝、何も口にしないまま慌ただしく動き始めると、体も頭もギアが入るまで時間がかかります。
一方、起きてから早いタイミングで水分と少しの栄養を入れると、体温や血流が上がりやすくなり、体内時計も「朝だ」と認識しやすくなると考えられています。
文部科学省や農林水産省の資料でも、朝食をとることで生活リズムが整いやすくなることが紹介されています。特に「朝の食事で1日の体温リズムが作られる」という考え方は、健康寿命を考える上でも大事なポイントです。
朝食をしっかり食べるのが難しい日でも、まずは「朝の一杯」からエンジン点火するイメージを持つだけで、ハードルがぐっと下がります。
60代の「疲れ」は、積み重ねで変わっていく
若いころのように、一晩寝たらすっきり…とはいかないのが60代の正直なところかもしれません。
でも、疲れやすさの一部は、「小さな不足」の積み重ねで起きていることも多いと感じます。
- 朝いちの水分が足りない
- たんぱく質が慢性的に少なめ
- 朝のスタートがバタバタで、深呼吸する暇もない
こうした「ちょっとしたマイナス」を、朝の一杯と数分の習慣で少しずつ埋めていく。
その積み重ねが、1日・1週間・1か月…と続くことで、「前よりバテにくくなったかも」と感じられる方もいるようです。
まずは「朝一杯の水分補給」から整える
量とタイミングの目安は「起きてすぐ、コップ1杯」
一般的な資料では、成人の水分摂取の目安として、食事からの水分も含めて1日1.2リットル以上をすすめている自治体や病院もあります。
60代以降になると、一度にたくさん飲むよりも、こまめに少しずつが大切だとされています。
「朝の一杯」としては、起きてから30分以内に、コップ1杯(150~200ml)程度を目安にしてみるとよさそうです。
もちろん、心臓や腎臓のご病気で水分制限がある方は、この限りではありません。かかりつけ医の指示が最優先です。
白湯・常温水・お茶…自分にとって心地よい一杯を選ぶ
朝の一杯は「これでないとダメ」という決まりはありません。大事なのは、自分の体が楽に受け入れられて、続けやすいことです。
- 白湯(さゆ):
冷たい水が苦手な人にとっては、白湯は胃腸にやさしく感じられることが多いです。熱すぎず、ぬるめ〜やや熱いくらいが飲みやすい人が多いようです。 - 常温の水:
準備が簡単で、季節を問わず取り入れやすい一杯です。前の晩にコップに水を用意して枕元に置いておくと、「起きたらすぐ飲む」が習慣になりやすくなります。 - カフェイン少なめのお茶:
麦茶やほうじ茶、番茶など、カフェインが少なめのお茶は朝の一杯としても取り入れやすいです。利尿作用が強い飲み物は、続けて何杯も飲み過ぎないように意識しておくと安心です。
どれを選ぶにしても、「喉を一気に流し込む」のではなく、落ち着いて味わうことがポイントです。
心がバタバタしているときより、少し落ち着いて飲んだ一杯のほうが、体もゆるみやすくなります。
60代におすすめの「朝の一杯」3パターン
1.白湯+一口のたんぱく質で、やさしく体を起こす
「朝は胃がもたれやすい」「いきなり味の濃いものはきつい」という方には、白湯をベースにしたシンプルなパターンがおすすめです。
たとえば、こんな組み合わせです。
- 白湯(コップ1杯)
- ゆで卵を半分だけ
- 小さなおにぎり一口分、またはチーズ一切れ など
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、高齢期のフレイル予防の観点から、たんぱく質の割合を少し高めに意識することが大切だとされています。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」などが参考になります。
朝からたくさん食べる必要はありませんが、「水分+ひと口たんぱく質」をセットにしておくと、筋肉や脳に回るエネルギーが整いやすくなります。
2.お味噌汁の「一杯」で、水分・具材・温かさをまとめてとる
和食が好きな方には、具だくさんのお味噌汁を朝の一杯にする方法もあります。
お味噌汁は、水分・味噌の発酵食品・野菜や豆腐などの具材を一度にとれる、日本らしい「バランスの良い一杯」になりやすいのが魅力です。
・わかめ+豆腐の味噌汁
・玉ねぎ+卵の味噌汁
・じゃがいも+玉ねぎ+ベーコンの味噌汁 など
塩分が気になる方は、味噌の量を控えめにしたり、だしや具材のうま味を増やして「薄味でも満足できる工夫」をしてみるのも一つです。
農林水産省の「食生活指針」でも、食塩の摂り過ぎに注意しつつ、バランスのよい食事を楽しむことがすすめられています。農林水産省「食生活指針」
お味噌汁を飲む前に、さらに白湯を一杯…と頑張りすぎなくても大丈夫です。
「今日はお味噌汁が朝の一杯」と決めて、その分、日中の水分補給を意識して増やしてあげれば十分なことも多いです。
3.たんぱく質入りドリンクで「筋肉の目覚め」をサポート
「朝ごはんを作るのが面倒」「食欲はあまりないけれど、元気は出したい」――そんな方にとって、たんぱく質を含むドリンクはうまく使うと心強い味方になります。
一例としては、
- 牛乳や豆乳+きなこ+少量のはちみつ
- プレーンヨーグルトを少し牛乳や水でのばしたドリンク
- 市販のプロテインドリンクを、朝食の一部として少量から
早稲田大学などの研究では、たんぱく質の摂取タイミングが筋肉量の増加に影響する可能性が報告されています。特に「朝のたんぱく質」が筋肉の合成を後押しするという考え方も紹介されています。早稲田大学などの研究紹介ページ
また、日本のメーカーの情報でも、65歳以上の高齢者は「体重1kgあたり1g前後」のたんぱく質を目安にする考え方が紹介されています(体調や活動量によって変わります)。日本ハム「たんぱく質の正しいとり方」
もちろん、これはあくまで一つの目安であり、腎臓などの持病がある方は主治医の指示が最優先です。
プロテインパウダーを使う場合は、「食事がわり」ではなく、普段の食事を補うものとして考えておくとバランスを崩しにくくなります。
「朝の一杯」を習慣にするちょっとしたコツ
コップと飲み物の「定位置」を決めてしまう
習慣づけでいちばん大事なのは、「考えなくてもできる状態にしてしまう」ことだと感じています。
- 寝る前に、テーブルにコップとペットボトル(または水筒)をセットしておく
- 味噌汁用のお椀とインスタント味噌汁を、ポットの横にまとめて置く
- たんぱく質ドリンクの材料を、冷蔵庫の同じ段にそろえておく
60代になると、「忘れっぽくなったな」と感じる瞬間も増えてきます。
だからこそ、記憶ではなく「仕組み」に任せてしまった方が楽です。
私自身、ライザップに通っていた時期は、夜のうちに翌朝飲むものや食べるものをほぼ決めておくことで、迷わず続けることができました。
そういった「小さな準備の積み重ね」がどんなふうに体を変えてくれたのかは、リバウンド経験者がライザップで変わった体験談【和久井編】でも詳しく書いています。朝の一杯を習慣にしたい方にも、なにか参考になる部分があるかもしれません。
「できた日」を数える。できなかった日は流す
習慣づけでつまずきやすいのが、「3日続けてできなかったから、もうだめだ…」という気持ちです。
健康寿命を伸ばすための習慣は、完璧よりも、ゆるく長く続くことのほうが大切だと私は思っています。
たとえば、カレンダーに「朝の一杯ができた日にだけ◯をつける」という方法もあります。
◯の数が増えていけば、それだけでちょっとした達成感になりますし、「今月は半分はできてるな」と視覚的にも分かります。
できなかった日は、反省会をする必要はありません。
「今日は体がサボる日だったんだな」くらいの気持ちで流して、翌日からまた一杯を用意する。それくらいのゆるさの方が、60代以降の習慣には合っているのではないかなと感じます。
朝の一杯に「心の休憩」をセットにする
飲む前に、ひと呼吸おいて「今の体調」を確かめる
朝の一杯は、単なる水分補給だけでなく、「自分の体と会話をする時間」にもできます。
カップを手に持ったら、いきなりゴクゴク飲むのではなく、
- 今日は肩がこっているかな?
- 昨日より足の重さはどうだろう?
- なんとなく気持ちは晴れか、曇りか?
そんなことを、数秒でもいいので意識してみます。
それだけで、「今日は少しゆっくり動こう」「午前中は無理しないでおこう」といった、その日のペース配分がしやすくなります。
家族やパートナーと「一杯の時間」を共有する
もし一緒に暮らしている家族やパートナーがいれば、同じタイミングで「朝の一杯」を飲むのも素敵な習慣になります。
・「今朝の味噌汁、ちょっと薄めにしてみたよ」
・「白湯にレモンを少し入れてみたけど、どう?」
・「今日はどんな一日にしたい?」 など
そんな会話が、健康だけでなく人間関係のあたたかさも育ててくれます。
健康寿命は、体だけでなく心と人とのつながりにも支えられています。朝の一杯が、その入口になってくれたらうれしいですね。
体調や持病がある場合の「朝の一杯」とのつき合い方
水分制限・減塩などの指示がある場合は、必ず主治医が優先
心不全や腎臓病などで、水分や塩分の摂取に制限がある方も少なくありません。
厚生労働省が出している熱中症対策の資料でも、「水分や塩分の摂取量は、かかりつけ医の指示に従うこと」がはっきりと書かれています。厚生労働省「高齢者のための熱中症対策」 など。
そのため、この記事で紹介している量や飲み方は、あくまで一般的な目安として読んでください。
持病をお持ちの方は、「朝の一杯をこうしたいのですが、大丈夫でしょうか?」と一度主治医に相談しておくと安心です。
薬との飲み合わせにも、念のため注意しておく
降圧剤や利尿剤など、朝に飲むお薬を服用している方も多いと思います。
一般的には、水か白湯で飲むことがすすめられることが多いですが、薬の種類によっては、グレープフルーツジュースなどと一緒に飲まないほうがよいものもあります。
「朝の一杯」を薬の服用と一緒のタイミングにする場合は、薬の説明書や薬剤師さんの説明も思い出しつつ、心配な点があれば気軽に相談してみてください。
60代の「朝時間」を整えると、1日の疲れ方が変わっていく
朝の一杯+3分の「ゆるストレッチ」で、体にスイッチを入れる
朝の一杯に慣れてきたら、ついでに3分だけ体を動かす習慣を足してみるのも一つのアイデアです。
・椅子に座ったまま、肩をゆっくり回す
・首を倒して、気持ちよく伸びるところまで伸ばす
・その場でゆっくり足踏みを30〜60秒ほどする
これくらいの「ゆるストレッチ」でも、朝の一杯で温まった体に少しずつ血が巡っていく感覚を味わえる方もいます。
運動が苦手な人ほど、「たくさんやるより、毎日ちょっとだけ」を合言葉にしてみると続きやすくなります。
「朝の一杯」を、今日一日を大切にする小さな儀式に
朝の一杯は、単なる栄養補給ではなく、
- 今日の自分の体調を確認する時間
- 家族やパートナーと会話を交わすきっかけ
- 「今日も一日、できる範囲で頑張ろう」と心に声をかける合図
そんな「小さな儀式」にもなります。
60代からの健康寿命は、劇的なダイエットやストイックな筋トレだけで決まるものではありません。
むしろ、こうした「ささやかな習慣」をどれだけ自分らしく続けられるかが、元気に動ける時間の長さを左右していくように感じています。
まとめ:朝の一杯から、「疲れにくい60代」を育てていく
最後に、この記事の内容をあらためて整理しておきます。
- 60代は、体の水分量やのどの渇きの感覚が変わり、「気づかないうちに軽く脱水気味」ということが起こりやすい年代
- 朝いちの水分と少しの栄養が、体内時計や体温リズムの「エンジン点火役」になってくれる
- 白湯・お味噌汁・たんぱく質入りドリンクなど、自分に合う「朝の一杯」を見つけておくと心強い
- コップや材料の定位置を決める、できた日に◯をつけるなど、仕組みで続ける工夫が大切
- 持病や水分制限がある場合は、主治医の指示を最優先にしながら、無理のない範囲で取り入れていく
「もう60代だから、疲れやすいのは仕方ない」とあきらめてしまう必要はないと、私は思っています。
今日の朝一杯を、昨日よりほんの少しだけ自分の体にやさしいものにしてみる。
その小さな一歩が、1年後・3年後のあなたの健康寿命を、静かに押し上げてくれるかもしれません。
難しいことはひとつもありません。
「今の自分にできる、いちばん気持ちのいい朝の一杯を見つける」ところから、ゆっくり始めていきましょう。

