【健康寿命】70代女性の便秘は姿勢と呼吸でラクになる

70代になると、「若い頃は気にならなかったのに、最近どうもお通じがスッキリしない…」という声をよく聞きます。
筋力の低下や水分不足、薬の影響など、便秘の背景はいくつもありますが、実は「トイレでの姿勢」と「呼吸のしかた」も、意外と見落とされがちなポイントです。
この記事では、人生後半を元気に過ごしたい70代女性に向けて、
・トイレで少しラクになる姿勢の工夫
・いきみ過ぎを防ぐ、お腹まわりの呼吸のコツ
・姿勢と呼吸と一緒に見直したい、生活習慣のヒント
を、やさしい視点でまとめました。
医療的な診断や治療の話ではなく、あくまで「毎日のセルフケアのアイデア」として読んでいただけたらうれしいです。症状がつらいときや、持病・お薬の心配があるときは、必ず主治医や専門医に相談してくださいね。
目次(表示させると見出しが見られますよ!)
1.70代女性の便秘は「がんばり過ぎ」から起きていることも
筋力・水分・生活リズム…いくつかの小さな変化が重なりやすい年代
70代になると、からだの中では少しずつ変化が進んでいきます。
- 腹筋や骨盤まわりの筋力が弱くなり、いきむ力が出にくくなる
- のどの渇きを感じにくくなり、水分をとる量が減りやすい
- 食事量が減って、便の「かさ」が少なくなる
- 散歩などの活動量が減って、腸の動きもゆっくりになる
- 高血圧や痛み止めなど、一部の薬の影響で便がかたくなりやすい
こうした小さな変化が重なって、「なんとなく出にくい」「すっきりしない」という状態が続くことがあります。
「もっと強くいきまなきゃ」は、かえって逆効果になることも
お通じが悪いと、「もっと力を入れて頑張らないと」と思いがちです。
けれども、強くいきみ続けると、肛門まわりの筋肉にギュッと力が入り、かえって出口が閉まってしまうこともあるといわれています。
また、首や肩にも力が入り、終わったあとにぐったり疲れてしまうこともありますよね。
そこでカギになるのが、「姿勢」と「呼吸」です。
同じトイレでも、座り方と呼吸を少し変えるだけで、お腹まわりの緊張がゆるみ、ラクに感じられることがあります。
2.排便と姿勢の関係:少し前かがみが、腸の出口を開きやすくする
前かがみ姿勢で「通り道」がまっすぐに近づく
洋式トイレに座っているとき、背筋をピンと立てた姿勢よりも、軽く前かがみになった姿勢のほうが、便が出やすいとされています。
これは、お腹の中で直腸から肛門までの角度(直腸肛門角)が、前かがみになることでゆるみ、通り道がまっすぐに近づくと考えられているためです。
イメージとしては、フランスの彫刻「考える人」のように、ひじを太ももに軽く乗せて、上半身と下半身で「く」の字を作るような姿勢です。
ただし、背中を丸め過ぎて苦しくならないよう、あくまで「軽く」前かがみを意識しましょう。
足もとは「少し高め」で、しゃがみ姿勢に近づける
和式トイレのようにしゃがんだ姿勢は、自然に前かがみになりやすく、便秘対策として注目されることがあります。
洋式トイレでも、
- 足もとにクッションや踏み台を置き、膝が股関節より少し高くなるようにする
- 足裏全体がしっかりと接地するように座る
といった工夫をすると、しゃがみ姿勢に近づけることができます。
今回のテーマにあるように、クッションを膝の下(足もと)に置くのは、とてもやさしい工夫ですね。
長いいきみはNG。姿勢を整えたら、いったん「待つ」
「姿勢を整えたから、さあいきむぞ!」と気合を入れすぎると、また全身が緊張してしまいます。
おすすめは、
- 楽な前かがみ姿勢をつくる
- 足もとを少し高くして、かかとを安定させる
- 肩の力をストンと抜く
- すぐにいきまず、まずは呼吸を整える
という順番です。
「姿勢を整えて、深呼吸をしてから、便意の波を待つ」くらいのゆったりした気持ちが、結果的にお腹をラクにしてくれます。
3.70代女性にやさしい「ラクなトイレ姿勢」の作り方
(1)基本の座りかた
ご自宅のトイレで試しやすい、基本の座りかたをまとめます。
- 便座に座り、足裏全体が床につくように位置を調整する
- 足もとに厚めのクッションや低めの踏み台を置き、膝が股関節より少し高くなるようにする
- 軽く前かがみになり、両ひじを太ももの上に置く
- 手はお腹や太ももにそっと乗せ、肩の力を抜く
このとき、背中を丸めすぎると呼吸が浅くなりやすいので、「背中はゆるいカーブ」「首や肩はふんわり」が目安です。
(2)クッションで足もとをラクにする
足もとにクッションを置くと、
- 膝が少し高くなり、しゃがみ姿勢に近づきやすい
- 冷えやすい足元をやさしく支えられる
- 床が硬いトイレでも、足裏の圧迫感が減る
などのメリットがあります。
クッションがない場合は、雑誌を重ねてタオルでくるむなど、すべりにくい工夫をしながら高さを調整してみてください。
(3)外出先では「軽い前かがみ+足を引き気味」に
外出先のトイレでは、クッションや台を置けないことも多いですよね。
そんなときは、
- 足を少し後ろに引き、つま先側に体重をのせる
- 上半身を少し前に倒し、両ひじを太ももに置く
といったシンプルな工夫でも、腸の通り道がゆるみ、力み過ぎを防ぎやすくなります。
「あ、今ちょっと姿勢を整えてみようかな」という小さな意識の積み重ねが、からだへのやさしさにつながります。
4.お腹まわりの「呼吸」を整えて、いきみ過ぎを防ぐ
呼吸が浅いと、からだ全体が緊張しやすい
便秘が続くと、トイレに入るだけで気持ちがソワソワしたり、「今日も出なかったらどうしよう」と不安になったりします。
不安や緊張を感じると、呼吸はどうしても浅くなり、胸のあたりだけでハッハッと吸ったり吐いたりしがちです。
この浅い胸式呼吸が続くと、
- 首や肩、背中の筋肉がガチガチになりやすい
- お腹まわりが固まり、いきんでもうまく力が伝わりにくい
- 「頑張っているのに出ない」という悪循環になりやすい
という、少しもったいない状態になってしまいます。
トイレでできる「やさしいお腹呼吸」の手順
ここでは、70代の方でも取り入れやすい、トイレでの「お腹呼吸」を紹介します。
強くお腹をへこませたり膨らませたりする必要はなく、「お腹が少し動いているかな?」くらいの感覚でじゅうぶんです。
- 前章で説明した、ラクな前かがみ姿勢を作る
- 両手をおへそのあたりにそっと重ねる
- 鼻からゆっくり息を吸い、お腹がふんわり前にふくらんでいくイメージを持つ(4秒ほど)
- 口をすぼめて、「ふーっ」と細く長く息を吐く(6〜8秒ほど)
- 息を吐きながら、お腹が自然としぼんでいくのを感じる
- これを3〜5回、気持ちよい範囲でくり返す
ポイントは、「出そう出そう」とお腹に力を入れるのではなく、息を吐きながら、お腹の緊張をふわっとゆるめていくことです。
からだが少し落ち着いてくると、自然な便意の波もつかみやすくなります。
トイレ以外でも「お腹呼吸」を練習しておくとラク
いきなりトイレでやろうとすると緊張する…という方は、
- ソファに座ってテレビを見ているとき
- 布団の中で寝る前
- お風呂上がりにイスに座ったとき
など、リラックスしやすい場面で、お腹呼吸の練習をしておくのもおすすめです。
からだが「こうやって呼吸するんだな」と覚えてくれると、トイレでも同じ呼吸をしやすくなります。
5.姿勢と呼吸だけに頼らず、「便の材料」と「リズム」も整える
便の約8割は水分。こまめな水分補給を忘れずに
便は、実はおよそ8割が水分だと言われています。水分が少ないと、どうしても便が固くなり、出にくくなりがちです。
特に70代以降は、のどの渇きを感じにくくなるため、「気づいたらほとんど水分をとっていなかった」という日も出てきます。
おすすめは、
- 起床後と就寝前に、コップ半分〜1杯の水やお茶
- 食事のたびに、温かいお茶や汁物を一緒にとる
- 日中は、テーブルにマイボトルや湯のみを置いて、ちょこちょこ飲む
といった「こまめな一口」です。
一度にたくさん飲むよりも、少しずつ回数を分けたほうが、からだになじみやすいとされています。
1日3食をなるべく保って、便の「かさ」を確保する
高齢になると、食事の回数や量が減り、便そのものの量が少なくなることも、便秘の一因になるとされています。
お腹の調子を整えるためには、
- なるべく1日3食を保つ(難しい場合は、少量ずつでも)
- 野菜・海藻・豆類・果物など、食物繊維を含む食品をこまかく取り入れる
- ヨーグルトや納豆など、腸内環境を整える発酵食品も活用する
といった、「無理のない範囲でのバランス」が役立ちます。
食欲があまりないときは、スープや味噌汁に具材を多めに入れるなど、「飲み物に近い形」で栄養をとるのも一つの方法です。
朝食後30分は「トイレタイム候補」にしてみる
食事をとると、胃や腸が動きやすくなります。
特に朝食後は、便が大腸の奥から直腸に動きやすくなる時間帯と言われることもあり、
- 朝食後、30分ほどしたら一度トイレに座ってみる
- 「絶対に出さなきゃ」と思わず、姿勢と呼吸を整える時間だと考える
という習慣づくりも、健康寿命の観点から良いと言われています。
出ない日があっても、「今日もちゃんとトイレタイムを作れた」と、自分を認めてあげたいところです。
6.からだを動かすことも、腸の味方になる
散歩や家事レベルの動きでも、腸はよろこぶ
強い運動をしなくても、
- 近所を少し長めに歩く
- 家の中でこまめに立ち座りをする
- 庭仕事や掃除などを、休み休み続ける
といった日常の動きだけでも、腸は刺激を受けやすくなります。
「歩くとお腹がゴロゴロ動き出す」という感覚を持っている方も多いのではないでしょうか。
わたし自身も、ライザップに通っていた頃、筋力トレーニングと日常の歩きを少しずつ増やしていくことで、お通じのリズムが整っていった体験があります。
もちろん、70代の方に同じ強度をおすすめするわけではありませんが、「自分なりのペースでからだを動かすこと」が腸の味方になる、という実感はとても大きいです。
「動ける範囲」で十分。イスからの立ち座りも立派な運動
足腰に不安がある場合は、
- イスからゆっくり立ち上がって、また座る動きを数回
- キッチンのカウンターにつかまりながら、かかと上げを数回
といった、小さな動きからでかまいません。
「便秘を治すために運動をがんばる」ではなく、「健康寿命を支えるついでに、腸も動きやすくなる」くらいの気持ちで、できることから取り入れていきましょう。
7.「それでもつらい」と感じるときは、早めに専門家へ
こんなときは、自己判断せず受診を
姿勢や呼吸、生活習慣を見直しても、次のような場合は早めに受診したほうが安心です。
- 1週間以上ほとんど便が出ず、お腹の張りや痛みが強い
- 吐き気や嘔吐、発熱など、ほかの症状も一緒に出ている
- 便に血が混じることがある
- 急に便秘の程度が強くなった、または体重が急に減ってきた
- 市販の薬を長期間続けていても、改善している感じがしない
便秘の裏側に、腸の病気やホルモンの変化、薬の影響などが隠れている場合もあります。
「ただの便秘だから」とがまんし続けず、内科や消化器内科などで相談してみましょう。
薬の自己判断も注意。医師・薬剤師と一緒に調整を
市販薬や処方薬が合わないからといって、その場の判断で量を増やしたり、別の薬を自分で組み合わせたりすると、思わぬトラブルにつながることもあります。
高齢の方では、腎臓の働きなども考慮しながら、慎重に薬を選ぶ必要があるとされています。
「この薬を飲み始めてから、便が出にくくなった気がする」など、気づいたことがあれば、遠慮せずに主治医や薬剤師に伝えて、一緒に調整してもらいましょう。
8.姿勢と呼吸を整えることは、「自分をいたわる時間」になる
トイレは「反省する場所」ではなく、「からだをねぎらう場所」に
便秘が続くと、トイレにこもりながら、つい自分を責めてしまうことがあります。
「なんで自分のからだなのに、思うように動いてくれないんだろう」
「もっと若いうちから気をつけていればよかった」
そんなふうに考えてしまうと、心もからだもさらに固くなってしまいます。
今日からは、トイレを、
- 姿勢を整えて
- 呼吸をゆっくり味わって
- 「ここまで頑張ってきた自分のからだ」をそっとねぎらう場所
と考えてみませんか。
たとえ便が出なかった日でも、「今日も自分のからだに時間を使ってあげられた」と思えたら、それだけで健康寿命の土台を一つ積み上げたことになります。
「今からでも間に合う」小さな一歩を、今日のトイレから
70代になってからでも、姿勢や呼吸、水分や食事、生活リズムは、少しずつ整えていくことができます。
大切なのは、
- 完璧を目指さないこと
- 「できた日」をちゃんと認めてあげること
- つらいときは、一人で抱え込まずに誰かに相談すること
便秘をきっかけに、自分のからだや生活を見つめ直すことは、「これからの20年をどう元気に過ごしていくか」を考える良いタイミングでもあります。
今日のトイレでは、ぜひ一度、膝の下にクッションをそっと置いて、姿勢と呼吸を意識してみてください。
小さな一歩ですが、その積み重ねが、70代からの健康寿命をやさしく支えてくれます。
9.この記事のまとめ
- 70代女性の便秘には、筋力低下・水分不足・食事量の減少・薬の影響など、いくつかの要因が重なりやすい
- 洋式トイレでは、足もとを少し高くし、軽い前かがみ姿勢をとることで、腸の通り道がゆるみやすいと考えられている
- いきみ過ぎを防ぐために、お腹を意識したゆっくりした呼吸(お腹呼吸)を取り入れると、からだの緊張がほぐれやすい
- 水分をこまめにとり、1日3食をなるべく保ち、食物繊維や発酵食品を少しずつ取り入れることが、便の「材料」づくりになる
- 朝食後30分を「トイレタイム候補」にする、散歩や家事レベルの運動を続けるなど、生活リズムも整えていくことが健康寿命の土台になる
- 強い腹痛、血便、急な体重減少などがあるときは、自己判断せずに早めに医療機関へ相談する
- 姿勢と呼吸を整える時間は、「自分のからだをいたわる時間」。今日できた小さな一歩を、ぜひ自分で褒めてあげてほしい
日々のトイレ時間が、少しでもラクで、少しでも自分にやさしい時間になりますように。
※本記事は、便秘に悩む70代の方を想定した一般的な生活の工夫をまとめたものであり、特定の効果効能や治療を保証するものではありません。症状や体調に不安がある場合は、必ず医師や専門家にご相談ください。

