「最近疲れやすいのも、階段で息が切れるのも、物忘れが増えたのも……全部、年齢のせいかな」と感じる場面は多いと思います。人生の後半に入ると、体や心の変化を実感するのはごく自然なことです。
ただ、どんな不調もまとめて「年齢のせい」で済ませてしまうと、本来なら変えられたはずの生活習慣や、早めに気づけたかもしれない病気のサインを見逃してしまうことがあります。その結果として、「本当はもっとゆっくり進んだはずの老化」が、少しずつ加速してしまうことも考えられます。
この記事では、40代〜70代の読者の方と一緒に、「年齢のせい」という言葉に隠れている思い込みをやさしくほどきながら、健康寿命(=元気に動ける期間)を伸ばすための視点を整理していきます。運動や食事だけでなく、心のクセや日々の習慣もふくめて、一歩ずつ見直していきましょう。
目次(表示させると見出しが見られますよ!)
- 1 1.「年齢のせい」と言いたくなる気持ちはごく自然なこと
- 2 2.「年齢のせい」が口ぐせになると、どんな影響が出やすい?
- 3 3.疲れ・息切れ・物忘れ…本当に「年齢のせい」だけ?
- 4 4.「年齢のせい」ではなく「何が原因?」と考える3ステップ
- 5 5.健康寿命の鍵は「年齢+生活習慣」のセットで見ること
- 6 6.「年齢以外の原因」を探すセルフチェックリスト
- 7 7.心のクセとしての「年齢のせい」思考をゆるめる
- 8 8.僕自身も「年齢のせい」をやめてみた話
- 9 9.サプリや健康グッズだけに頼らない視点も大切
- 10 10.今日からできる「年齢以外の原因探し」5つの習慣
- 11 11.まとめ:「年齢のせい」から「自分と向き合うきっかけ」へ
1.「年齢のせい」と言いたくなる気持ちはごく自然なこと
まずは、「何でも年齢のせいにしてしまう自分」を責める必要はありません。むしろ、長年がんばってきた体と心を守るために、とっさに出てくる防衛反応のようなものだと考えると、少し気持ちがラクになります。
40〜70代でよくある「年齢のせいかな?」と思う場面
- 夕方になるとどっと疲れて、動く気力が湧かない
- 以前よりも階段や坂道で息が上がりやすくなった
- 人の名前や物の置き場所がパッと出てこない
- 腰や膝が重だるく、立ち上がるのに一拍おく
- 新しいことを覚えるのに時間がかかるように感じる
こうした変化は、たしかに「加齢」と無関係ではありません。体の機能は少しずつ変化していきますし、若いころのようにはいかないと感じるのも自然な流れです。
ただし、「加齢=何もできない」「歳をとったら全部あきらめるしかない」というわけではありません。ここを区別して考えないと、心も体ももったいない使い方になってしまいます。
「年齢のせい」にすることで得ている“心のメリット”
もう少し踏み込むと、「年齢のせい」という言葉には、つぎのような心の役割もあるようです。
- 無理をしすぎないためのブレーキになる
- がんばれない自分を責めずに済む
- 人と比べたときの劣等感をやわらげてくれる
どれも大切な働きです。ただ、その一方で「本当は変えられるところ」まで一緒にあきらめてしまうと、健康寿命を縮めてしまう可能性も出てきます。
このあと見ていくのは、「年齢のせい」と「年齢以外の原因」の切り分け方です。どちらか一方だけが正しいという話ではなく、「自分で変えられる部分」を少しでも増やしていくための視点だと思って読んでみてください。
2.「年齢のせい」が口ぐせになると、どんな影響が出やすい?
行動が止まり、老化のスピードが上がりやすくなる
「年齢のせい」という言葉の一番の問題点は、そこで思考も行動も止まってしまいやすいところです。
- 疲れ → 「年だし仕方ない」→ 横になって一日が終わる
- 息切れ → 「昔みたいに動けない」→ 歩く距離を減らす
- 物忘れ → 「ボケてきたのかな」→ 新しいことにチャレンジしなくなる
行動が減ると、筋力や持久力、バランス感覚はどうしても落ちやすくなります。すると、「やっぱり年だから動けない」と感じる場面がさらに増え、ますます動かなくなる……というくり返しになりがちです。
厚生労働省が紹介しているフレイル(加齢に伴う心身の虚弱)の資料でも、「栄養」「運動」「社会参加」の3つを意識することで、心身の衰えの進行をゆるやかにできる可能性があるとされています。つまり、年齢による変化はあっても、「何もしないでいるか」「できる範囲で動き続けるか」で、その後の差はかなり開いていくということです。
体のサインを見逃してしまうことも
もう一つの問題は、「年齢のせい」と片づけてしまうことで、病気や生活習慣のサインを見逃してしまう可能性があることです。
- 実は貧血や心臓・肺の病気が隠れていた息切れ
- 血圧や血糖、肝臓の数値の変化が背景にある疲労感
- ストレスやうつ状態、睡眠障害が関係している物忘れ
もちろん、すべてが重い病気につながるわけではありません。ただ、「いつもと違う」「続いている」サインを、年齢だけのせいにしてしまうと、受診や検査のタイミングが遅れてしまうことも考えられます。
この記事では、医療的な判断はしていませんが、「どんな視点で自分の変化を見つめると良いか」をお伝えしていきます。少しでも「気になるな」と感じたら、早めにかかりつけ医などに相談するきっかけにしていただけたらうれしいです。
3.疲れ・息切れ・物忘れ…本当に「年齢のせい」だけ?
ここからは、よくある3つの変化を例に、「年齢以外の原因」も一緒に考えてみましょう。
(1)疲れやすさの裏側にあるもの
40代以降の疲れやすさは、睡眠時間の短さや、ストレス、運動不足、食生活の乱れなど、いくつかの要因が重なっていることが多いとされています。国内メーカーの調査でも、40代は「睡眠時間が短い」「疲れを感じやすい」という特徴が報告されており、単純に年齢だけの問題ではないことがうかがえます。
また、同じく国内のアンケートでは、60代の一部は「忙しい現役世代より、むしろ元気に活動している」という結果も出ているそうです。年代が同じでも、生活リズムや働き方、趣味、運動習慣によって、疲れやすさには大きな個人差があるのですね。
つまり、「自分は年齢の割にどうか」ではなく、「今の生活リズムの中で、体に無理をかけていないか」という視点が大切になってきます。
(2)息切れや動きづらさの背景
階段で息が切れると、「昔は平気だったのになぁ」としみじみしてしまいますよね。とはいえ、ここにもいくつかの要因が考えられます。
- 以前よりも歩く時間が減っている
- 体重が少しずつ増えて、足腰への負担が増えている
- 姿勢が崩れて、呼吸が浅くなっている
- 筋力が落ちて、同じ動作でもエネルギーが必要になっている
「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」という言葉も使われるようになりましたが、これは筋肉や骨、関節などの衰えによって、移動する力が低下した状態を指します。国内メーカーの情報サイトでも、ロコモの予防には、日常の中での運動習慣が欠かせないと説明されています。
ここでも、「ロコモだからもう動けない」ではなく、「ロコモ予防のためにできる動きを少しずつ増やしていく」という考え方が大切になってきます。
(3)物忘れが増えたときの考え方
人の名前が出てこない、さっきしようと思っていたことを忘れてしまう……。こうした物忘れも、「年齢のせい」と感じやすい変化の一つです。
ただ、物忘れの中には、つぎのような要素が重なっていることも多いとされています。
- 睡眠不足による記憶の整理不足
- 仕事や家事、介護など、同時に抱えていることの多さ
- ストレスによる集中力の低下
- スマホやパソコンによる情報の詰め込みすぎ
もちろん、気になる物忘れが続く場合は、早めに医療機関で相談しておくことも安心材料になります。そのうえで、「すべてを年齢のせいにしないで、生活全体を見直してみる」という視点が、心にも体にもやさしいと感じています。
4.「年齢のせい」ではなく「何が原因?」と考える3ステップ
ここからは、具体的にどうやって「年齢以外の原因」に目を向けていくか、簡単なステップで整理してみます。
ステップ1:気になる症状をメモしてみる
まずは、「どんなときに」「どんな不調が出るのか」をざっくりメモしてみることです。
- いつ:朝・昼・夜・休日・仕事の日 など
- どこで:職場・自宅・外出先 など
- どんなとき:階段を上ったあと、人と話したあと、食事のあと など
- どんな不調:だるい、息切れ、胸が苦しい、頭がぼんやりする など
紙のノートでもスマホのメモでもかまいません。ざっくりでも書き出してみると、「決まったパターン」が浮かび上がりやすくなります。
ステップ2:直近1週間の生活を振り返る
次に、その不調が出ている前後1週間くらいの生活を、ゆっくり振り返ってみます。
- 睡眠時間は足りていたか
- 食事の時間や内容が乱れていなかったか
- 仕事や家のことで、いつもよりストレスが強くなかったか
- 運動量や歩く時間が極端に減っていなかったか
- お酒の量が増えていなかったか
ここでも、「ダメな生活をしている」「自己管理ができていない」と責める必要はありません。むしろ、「自分の今の生活を知るための観察記録」として、やさしい目で眺めてみるイメージです。
ステップ3:気になるときは医療機関に相談する
そして、「いつもと違う」「どうも続いている」「生活を見直しても変わらない」というときは、かかりつけ医や専門の医療機関に相談してみましょう。
特に、つぎのような症状がある場合は、「年齢のせい」で済ませず、早めに受診しておくと安心です。
- 胸の痛みや締めつけ感を伴う息切れ
- 突然の激しい頭痛や、片側だけのしびれ
- 体重の急な増減、むくみが強くなる
- もの忘れだけでなく、時間や場所がわからなくなる
この記事は、あくまで一般的な考え方をお伝えしているもので、診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときは、自己判断だけに頼らず、早めに専門家の目を借りてくださいね。
5.健康寿命の鍵は「年齢+生活習慣」のセットで見ること
厚生労働省のフレイル予防の資料では、フレイルを予防するポイントとして「栄養」「身体活動(運動)」「社会参加」の3つが挙げられています。これらは、どれも生活習慣の中で少しずつ整えていけるものです。
東京都などの資料でも、生活習慣病の予防には、食事・運動・休養といった基本的な生活習慣を整えることが重要だと説明されています。年齢は変えられませんが、生活習慣は今日からでも少しずつ動かしていくことができます。
つまり、「年齢」と「生活習慣」は切り離せないセットです。
- 年齢だけを見ると → 「もう仕方ない」とあきらめモードになりやすい
- 生活習慣だけを見ると → 「完璧にしなきゃ」とがんばりすぎてしまう
この2つを組み合わせて、「年齢に合った生活習慣に少しずつ近づけていく」というイメージを持てると、健康寿命の土台が安定してきます。
6.「年齢以外の原因」を探すセルフチェックリスト
ここで、日々の暮らしの中で使える、ゆるいセルフチェックリストを用意してみました。気になるところだけ、ななめ読みしながらチェックしてみてください。
疲れやすさチェック
- ここ1週間、睡眠時間は6〜7時間前後とれているか
- 寝る直前までスマホを見ていないか
- 夕食やお酒の時間が遅くなっていないか
- 休日に「寝だめ」でリズムが大きくずれていないか
- 座りっぱなしの時間が長くなっていないか
息切れ・動きづらさチェック
- エレベーターやエスカレーターを使うことが増えていないか
- 1日トータルでの歩数が極端に少なくなっていないか
- 最近、体重やお腹まわりが増えていないか
- 猫背気味で、肩や首が固まっていないか
物忘れチェック
- 複数の用事を同時進行しすぎていないか
- 睡眠不足や夜更かしが続いていないか
- ストレスや心配事を抱え込んでいないか
- スマホの通知に一日中追いかけられていないか
チェックがついたところは、「年齢のせい」だけでなく、「生活のどこを少し整えると楽になるかな?」と考えるヒントになります。全部を一度に変える必要はありません。できそうなところから一つずつ試していきましょう。
7.心のクセとしての「年齢のせい」思考をゆるめる
ここまで読んで、「頭ではわかるけれど、つい『年だから』と口にしてしまう」という方も多いと思います。そこで、心のクセとしての「年齢のせい」思考を、少しだけゆるめる工夫も紹介します。
言い方を少しだけ変えてみる
いきなり「年齢のせい」という言葉を封印しようとすると、かえってストレスになることもあります。そこで、こんな言い換えを試してみるのも一つの方法です。
- 「年だから…」→「この年齢なりに、どう付き合おうかな」
- 「もう無理だ」→「今の自分でもできる範囲を探してみよう」
- 「若いころはよかったのに」→「今だからこそできるペースを見つけてみよう」
言葉を少し変えるだけでも、心の向きが「終わり」から「工夫」へと動きやすくなります。
できなくなったことより、できていることに目を向ける
歳を重ねると、「できなくなったこと」はどうしても目につきやすくなります。そこで、あえて「まだできていること」「新しくできるようになったこと」に目を向けてみるのもおすすめです。
- 仕事をセーブしたぶん、趣味や家族の時間を大切にできている
- 若いころより、無理をしすぎないペース配分が上手になった
- 健康情報を自分なりに取捨選択できるようになってきた
こうした「プラスの変化」にも光を当てていくと、「年齢=マイナス」だけではないことが実感しやすくなります。
8.僕自身も「年齢のせい」をやめてみた話
ここから少しだけ、サイト運営者としての僕自身の話も混ぜさせてください。
僕も50代のころ、「高血圧ぎみだし、運動も苦手だし、もう年だから大きくは変わらないだろう」と、どこかであきらめていました。階段で息が切れても、「まあこんなものか」と受け入れていたところがあります。
そんな中で、思い切ってライザップに通うことを決めたのは、「年齢のせいで片づけるのは、まだ早いかもしれない」と感じたからでした。もちろん、いきなりハードなトレーニングができたわけではありません。トレーナーと相談しながら、体力に合わせて少しずつメニューを調整していきました。
その過程で気づいたのは、「年齢そのもの」よりも、「これまでの生活習慣」の影響のほうがずっと大きかったということです。食事のとり方や、日々の動き方、睡眠の取り方を少しずつ見直していくことで、思った以上に体が応えてくれる感覚がありました。
詳しい体験談は、別の記事でまとめていますので、興味があれば読んでみてください。
もちろん、ライザップに限らず、自分に合うやり方は人それぞれです。ただ、「年齢のせい」と一言で片づける前に、「自分の生活や習慣を少し整えてみたらどうなるだろう?」と考えてみる価値は、誰にでもあるのではないかと感じています。
9.サプリや健康グッズだけに頼らない視点も大切
年齢を意識しはじめるころから、「若返り」「アンチエイジング」をうたう健康食品やサプリ、グッズの情報も自然と目に入るようになります。もちろん、上手に活用することで、栄養の補助や気分の支えになるものもあると思います。
一方で、東京都健康安全研究センターの資料などでも、健康食品に過剰な期待をして、必要な医療を受けなかったり、生活習慣の見直しがおろそかになったりすることへの注意喚起がされています。
「これさえ飲めば、年齢による変化はすべて解決する」というものは、現時点ではありません。サプリや健康グッズを使うとしても、「生活習慣を整えるためのサポート役」として位置づけるくらいが、ちょうど良い距離感かもしれませんね。
10.今日からできる「年齢以外の原因探し」5つの習慣
最後に、「年齢のせい」で済ませないための、小さな習慣のヒントをまとめておきます。どれも、思いついたところから一つずつで大丈夫です。
1)不調を感じたら、まず1回深呼吸してみる
疲れや息切れを感じたとき、「もうダメだ」「年だから仕方ない」と思う前に、一度ゆっくり深呼吸をしてみます。呼吸が落ち着くと、「今日は寝不足だったかな」「さっきから座りっぱなしだったな」と、冷静な振り返りがしやすくなります。
2)1日の終わりに「今日できたこと」を3つ書き出す
できなかったことよりも、「今日ちゃんとやり切れたこと」「がんばったこと」に目を向ける習慣です。
- 仕事をここまで終わらせた
- エスカレーターではなく階段を使ってみた
- いつもより早めに布団に入った
小さな「できた」が積み重なると、「まだまだ自分にはできることがある」という感覚が育っていきます。
3)「年齢のせい」と言いたくなったら、後ろに一言足してみる
いきなり「年齢のせい」という言葉をやめるのは難しいので、まずはこんなふうに一言足してみます。
- 「年齢のせいもあるけれど、生活リズムも見直してみようかな」
- 「年齢のせいかもしれないけれど、先生にも一度相談しておこう」
この一言があるだけで、思考が少しだけ前向きな方向に動きやすくなります。
4)月に一度は「からだの棚卸し」をしてみる
毎月1回だけ、「今のからだの状態」をノートに書き出してみるのもおすすめです。
- 体重やウエストまわり
- 最近よく出る不調
- よく眠れているかどうか
- 楽しく続いている習慣
半年、1年と続けると、「年齢のせい」と思っていた変化の中にも、「自分が積み重ねてきた工夫」の成果が見えてくることがあります。
5)一人で抱え込まず、人と話してみる
体のこと、仕事のこと、家族のこと……人生後半には、いろいろなテーマが重なってきます。「年齢のせい」と一言でまとめてしまうと、そこに隠れている悩みやストレスが見えにくくなることもあります。
信頼できる友人や家族、専門家と話すことで、「あ、自分だけじゃなかったんだ」「それなら、こうしてみようかな」と、心がふっと軽くなる瞬間が生まれるかもしれません。
11.まとめ:「年齢のせい」から「自分と向き合うきっかけ」へ
疲れや息切れ、物忘れといった変化は、たしかに年齢とともに増えていきます。それ自体は、ごく自然な流れです。ただ、すべてを「年齢のせい」で済ませてしまうと、生活習慣を見直すチャンスや、病気のサインに気づく機会を逃してしまうことがあります。
いちばん大切なのは、「年齢のせいだから終わり」ではなく、「年齢もふくめて、今の自分とどう付き合っていくか」を考えることだと思います。
- 不調を感じたら、「年齢のせい」だけでなく、「生活リズム」「ストレス」「運動」「食事」など、さまざまな視点から眺めてみる
- 必要に応じて、医療機関や専門家の力も借りながら、自分の体の状態を知っていく
- 年齢を言い訳にするのではなく、「今の自分だからこそできる工夫」を探していく
その積み重ねが、結果として「健康寿命=元気に動ける時間」を伸ばしていく力になってくれます。
今日の自分にできそうなことを、ひとつだけ選んでみる。それだけでも、「年齢のせい」にとどまらない、新しい一歩になるはずです。ゆっくり、自分のペースで進んでいきましょう。


