【健康寿命】新しい趣味を始める勇気が若さを取り戻す

40代・50代を過ぎると、「この年齢から新しい趣味なんて、ちょっと気恥ずかしいな」と感じる場面が増えてくるのではないでしょうか。
でも、健康寿命のことを考えると、この「新しいことを始めるドキドキ」は、実はとても頼もしい味方になってくれます。
この記事では、人生の後半から新しい趣味に一歩踏み出すことが、どうして若さや健康寿命につながりやすいのか、その理由や考え方、そして実際の始め方のヒントをまとめました。
運動や食事だけでなく、心や人間関係、毎日の楽しみ方を含めて「元気に動ける時間=健康寿命」を伸ばしていくイメージで読んでいただけたら嬉しいです。
目次(表示させると見出しが見られますよ!)
健康寿命と「新しい趣味」の関係をやさしく整理
健康寿命とは、「元気に動ける時間」のこと
まずは、この記事の土台になる「健康寿命」という言葉を、軽くおさらいしておきます。
厚生労働省の「e-ヘルスネット」では、健康寿命を「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と説明しています。2022年(令和4年)のデータでは、男性の平均寿命81.05年に対して健康寿命は72.57年、女性は平均寿命87.09年に対して健康寿命75.45年とされています。厚生労働省「平均寿命と健康寿命」や、令和4年の健康寿命の資料も参考になります。厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
つまり、「生きている年数」と「自分で動けている年数」には、どうしても差が生まれやすいということです。
その差を少しでも縮めて、「動ける時間」を増やしていくことが、これからの時代の大きなテーマになっています。
趣味を持つ人ほど、長く元気に過ごしやすい可能性
健康寿命というと、つい「運動」と「食事管理」をまず思い浮かべますが、近年は「趣味」を持っていることも健康に関係しているのではないか、とする研究が増えています。
例えば、厚生労働科学研究の一環として行われた調査では、日本人高齢者を対象に「趣味の有無」と「死亡リスク」の関係が検討されています。その結果、2010年と2013年の両方で趣味を持っていた人や、2013年から新しく趣味を始めた人は、どちらの時点でも趣味がなかった人に比べて死亡リスクが低い可能性が示されています。厚生労働科学研究報告「今趣味が無くても、趣味を持てば死亡率が減少するか」
また、国内の研究グループが行った大規模な追跡研究では、趣味の数が増えるほど死亡リスクが低くなる傾向があるという結果も報告されています。特に「身体を動かす趣味」や「誰かと一緒に行う趣味」がプラスに働く可能性があるようです。東京医科歯科大学ほか 研究グループのプレスリリース
もちろん、これらの研究は「趣味を持てば必ず長生きできる」と断定しているわけではありませんが、新しい趣味を含めた「好きなこと」「楽しいこと」が、心身の健康にとって良い刺激になる可能性は十分にありそうです。
なぜ「新しい趣味」に挑戦すると若さを感じやすいのか
脳に「いつもと違う刺激」が入る
新しい趣味を始めるとき、最初はなかなか思うようにうまくいきません。ギターなら指がもつれますし、絵なら線がガタガタになるかもしれません。
この「うまくできない感じ」は、見方を変えると脳が一生懸命働いているサインでもあります。
例えば、国産メーカーであるヤマハの「健康と音楽」プログラムでは、音楽とやさしい運動を組み合わせることで、体力の維持・増進と同時に「脳への刺激」を得られることをねらいとしていると紹介されています。ヤマハ音楽教室「健康と音楽」
また、同じくヤマハのウェルネスプログラムでは、音楽の効果を活かしたレッスンを通して、「身体機能の維持」と「脳の活性化」「心のリラックス」をバランスよくめざす考え方が紹介されています。ヤマハウェルネスプログラム
楽器に限らず、新しい趣味では「覚える・考える・動く」がセットになります。
この「いつもと違うことを覚えようとする状態」が、脳にとって良い負荷になり、若々しさの感覚につながっていくと考えられています。
心に「ハリ」と「楽しみの予告」が生まれる
新しい趣味を始めると、日常の中に小さな「楽しみの予告」が生まれます。
「今週の教室はどんなことをやるかな」「次の休みにあの続きをやろう」など、少し先の予定が楽しみになると、心にハリが出てきます。
健康長寿に関する情報サイト「健康長寿ネット」では、高齢者の余暇時間が年齢とともに増えていくことが紹介されています。60〜64歳で1日あたり約6時間49分、70〜74歳では8時間25分と、かなり大きな時間になっています。健康長寿ネット「高齢者の余暇活動と生きがい感」
この「余暇」を、ただなんとなくテレビやスマホで過ごすのか、ワクワクする趣味の時間に変えていくのかで、心の充実感は大きく変わってきます。
若さというのは、シワの数ではなく、「これからやってみたいことがあるかどうか」で決まってくるのかもしれません。
人とのつながりが増え、会話が生まれる
もう一つ、新しい趣味がもたらしてくれる大きな変化が「人とのつながり」です。
同じ講座に通う仲間や、同じ趣味のサークルの仲間と話しているだけでも、自然と笑顔が増えていきます。
高齢者の社会活動と健康寿命との関係を調べた研究では、ボランティアや地域活動などに参加している人は、複数の活動(趣味・健康づくり・ボランティアなど)を組み合わせているケースが多く、それが健康維持につながる可能性があると報告されています。「高齢者の社会活動と社会交流が健康寿命の延伸に及ぼす影響」
もちろん、「必ずサークルに入らないといけない」という話ではありませんが、趣味を通じて人と関わる機会が増えることで、「一人で抱え込まない時間」が自然と増えていくのは、健康寿命の面から見ても心強いポイントだと感じています。
人生後半からの「新しい趣味」の選び方
ここからは、40〜70代くらいの方が「今から新しい趣味を始めてみようかな」と思った時の、考え方のヒントをまとめてみます。
ポイントは、「無理に若い人と同じことをする」のではなく、「自分のペースで楽しめるかどうか」です。
① 体にやさしく、ちょっとだけ動けるもの
健康寿命という視点では、まったく体を使わない趣味よりも、「軽く体を動かす要素」がある趣味を一つ持っておくと安心です。
たとえば、こんなイメージです。
- ゆっくりペースのウォーキング+写真撮影
- 公園での軽いラジオ体操+ベンチで読書
- 簡単なダンスサークルや太極拳、ヨガなど
「運動のために頑張る」というよりも、「趣味を楽しんでいたら、自然と歩数が増えていた」という状態が理想です。
歩数や心拍数を細かく管理するよりも、「今日は気持ちよく動けたな」と感じられるかどうかを大切にしてみてください。
② 手先と集中力を使うもの
指先を動かしながら、頭も同時に使う趣味は、脳の活性化という意味でも注目されているようです。
- 水彩画やスケッチ、書道、ペン習字
- 陶芸、木工、革小物づくり
- 手芸、編み物、ビーズアクセサリー
- 囲碁・将棋・オセロなどのボードゲーム
特に音楽系の趣味は、「楽譜を読む」「音を聴く」「指を動かす」など、複数の動作を同時に行うため、脳全体への刺激という点でも期待されているようです。ピアノ演奏を「脳活」の視点から紹介している国内メーカーの記事でも、年齢に関わらず脳の活性化や認知機能の維持に役立つ可能性があると解説されています。西村楽器「ピアノ脳で始める脳活チャレンジ」
ただし、「脳に効くから絶対にやったほうがいい」というよりも、「前からちょっと気になっていた」「子どもの頃に憧れていた」ものを選ぶと、続けやすくなります。
③ 人とつながれるもの(オンラインも含めて)
一人で完結する趣味も素敵ですが、月に数回でも人と会える趣味をひとつ持っておくと、心の支えが増えます。
- 市町村の生涯学習講座・公民館講座
- 同年代が集まるスポーツサークル
- 読書会・映画鑑賞会・写真サークル
- オンラインの趣味コミュニティ(Zoom講座など)
最近は、市区町村でも「大人のための趣味講座」や「健康づくりを兼ねた講座」がたくさん用意されています。
たとえば、茨城県つくばみらい市の生涯学習講座案内では、「自分の趣味を見つけたい」「芸術や文化に触れたい」という方に向けた講座や、リズムを取り入れた運動によって脳の活性をねらうような講座が紹介されています。つくばみらい市「生涯学習講座のご案内」
千葉県柏市でも、生涯学習ガイドの中で多様な趣味・教養講座が紹介されており、地域での仲間づくりのきっかけになっているようです。柏市「生涯学習ガイド」
お住まいの地域のホームページで「生涯学習」「公民館講座」などと検索してみると、意外と近くで面白い講座が見つかることがあります。
大事なのは、「上手な人ばかりだったらどうしよう」と身構えすぎず、「見学や体験だけでもOK」という気持ちで覗いてみることです。
「失敗がこわい」をゆるめる考え方
趣味に「合格点」はいらない
新しい趣味を前に足が止まってしまう大きな理由のひとつが、「下手だったら恥ずかしいな」という気持ちです。
でも、そもそも趣味にはテストも成績表もありません。
「自分が楽しいかどうか」だけが基準でいいはずです。
子どもの頃を思い出すと、絵がはみ出しても、歌が外れても、みんな平気で楽しんでいましたよね。
大人になると、どうしても「人からどう見えるか」が気になってしまいますが、健康寿命のことを考えたとき、その遠慮は少しもったいない気がします。
三日坊主も「経験値」としてカウントする
「続かなかったらどうしよう」という不安も、新しい趣味の邪魔をします。
ですが、ここでは発想を少し変えて、三日坊主も立派な経験としてカウントしてしまいましょう。
例えば、ギターに三日チャレンジしてみて「これはちょっと違うな」と感じたら、それでOKです。
自分には他の趣味が向いていると分かっただけで、大きな前進です。
むしろ「やってみて違うと分かった趣味の数」が増えるほど、次に選ぶ時の精度が上がっていきます。
お金も時間も「お試しサイズ」で使う
新しい趣味を始めるときは、最初から高額な道具を揃えたり、長期契約をしたりする必要はありません。
- 体験レッスンや単発講座に行ってみる
- 道具はレンタルや中古、友人から借りるところから始める
- 月1〜2回のゆったりペースで始める
「合わなかったらやめてもいい」と思えるくらいの、軽い投資で始めると、心もラクになりやすいです。
家計や体力に負担をかけない範囲で、「ちょっと試してみる」くらいの感覚で十分だと思います。
新しい趣味のスタートを助ける具体的なアイデア
① 市町村の生涯学習講座をのぞいてみる
先ほども少し触れましたが、市町村の生涯学習講座は、人生後半から新しい趣味を始めるうえで、とても頼もしい存在です。
生涯学習講座の良いところは、
- 参加費が比較的リーズナブル
- 同年代の方が多く、雰囲気が穏やか
- 「初心者歓迎」「初めての方向け」と書いてあるものが多い
という点です。
自治体の公式サイトに掲載されている情報なので、安心感があるのも魅力ですね。
② 自宅で試せる「おひとり様趣味」から始める
外出が難しい日や、人前に出るのが少し不安という方は、家の中で完結する趣味から始めてみても良いと思います。
- オンライン動画を見ながらのストレッチや軽い体操
- YouTubeなどを使ったギター・ピアノ・ウクレレの入門
- 塗り絵・パズル・クロスワード・間取り図を書くなどの「紙の遊び」
- 昔好きだった歌を集めて、自分だけのプレイリストを作る
自宅での趣味は、天候や移動に左右されない分、「ちょっとだけやろうかな」と思ったときにすぐ取りかかれる気軽さがあります。
最初の一歩としては、とても心強い選択肢です。
③ 健康づくりとセットで考える
私は54歳のとき、高血圧を抱えたままライザップに通い始めました。正直、筋トレ経験もほとんどなく、「こんな年齢から本当に変われるのかな」と不安だらけでしたが、振り返ってみると、あれも一つの「新しい趣味」だったのだと思います。
その時の試行錯誤や、体が少しずつ変わっていく様子は、別記事で詳しくまとめてありますので、興味のある方はそちらも参考にしてみてください。
ライザップ・高血圧オヤジ54歳の挑戦※減量期の全記録!
新しい趣味が「健康づくり寄り」でも、「純粋な楽しみ寄り」でも、どちらでも構いません。
大事なのは、「それをやっている自分が少し好きになれるかどうか」です。
新しい趣味は「健康寿命の保険」のような存在
体・心・人間関係をゆるやかに支えてくれる
ここまで見てきたように、新しい趣味には
- 脳への刺激(覚える・考える・手足を動かす)
- 心のハリ(楽しみ・達成感・自己肯定感)
- 人とのつながり(会話・笑い・支え合い)
といった役割が、ゆるやかに詰まっています。
どれも、健康寿命を支えるうえで欠かせない要素です。
もちろん「ある趣味をやれば、健康寿命が何年伸びる」といった話ではありません。
ただ、健康寿命のデータや研究結果を眺めていると、「好きなこと」「ワクワクすること」が多い人ほど、日々の生活の中で自然と体を動かし、人と関わり、心も前向きでいられる時間が増えていくように感じます。
「今からでも遅くない」と思えるだけで、一歩前に進める
私は、自分自身が50代からボディメイクや新しい生活習慣に挑戦してきた経験もあって、「何歳からでもやり直せる」「今からでも十分間に合う」という感覚を強く持つようになりました。
新しい趣味に一歩踏み出すとき、完璧な準備も、特別な才能もいりません。
必要なのは、「ちょっとやってみようかな」という、ほんの数センチ分の勇気だけです。
たとえ続かなかったとしても、そのチャレンジはムダにはなりません。
「自分はこんなことにワクワクするんだな」「これは意外と合わないな」といった気づきが増えていくほど、自分らしい人生後半の形が、少しずつ見えてきます。
おわりに──新しい趣味は「若さを取り戻すスイッチ」
新しい趣味を始めるとき、心の中には必ずドキドキと不安が入り混じります。
そのドキドキこそが、若さの源であり、健康寿命を支える大事なエネルギーなのだと思います。
・うまくできなくてもいい
・三日坊主でもいい
・途中で別の趣味に乗り換えてもいい
そうやって、自分のペースでゆるく試行錯誤していくことが、結果的に「元気に動ける時間」を増やしてくれるのではないでしょうか。
この記事が、「前から気になっていたあの趣味、ちょっと触ってみようかな」と思うきっかけになれば、とても嬉しいです。
人生の後半戦を、「守り」だけでなく「小さな挑戦」で彩っていけたら、毎日の景色はきっと少しずつ変わっていきます。

