脂質オフは危険?不足で起きるカラダの不調

「脂質=太る」「油=全部悪者」みたいなイメージ、強いですよね。ダイエット中はなおさらです。でも脂質を極端に削りすぎると、カラダのあちこちに不調サインが出てくることもあります。
私、和久井朗もライザップに通い始めたころ、脂質が怖くて「ほぼゼロ脂質生活」をやってみた時期がありました。ところが、ある日ふと気づくと、肌はカサカサ、なんとなく元気が出ない、イライラしやすい……。「あれ? これって、脂質抜きすぎか?」と慌てて調べ始めたのが、このテーマに興味を持ったきっかけです。
この記事では、そんな体験談も交えながら、「脂質オフはどこまでやっても大丈夫なのか?」「不足するとどんな不調が出やすいのか?」を、できるだけやさしく整理していきます。
目次(表示させると見出しが見られますよ!)
この記事を読むべき理由
- 脂質の「ゼロ」は危険かもしれない理由がざっくりわかる
- 脂質不足で出やすいカラダの不調サインを知って、早めに気づける
- ダイエット中でもOKな「適度な脂質の取り方」のイメージが持てる
- 「脂質=悪」ではなく、上手に付き合う発想に切り替えられる
なお、医療・健康情報については、あくまで「調べてみるとこう言われているらしい」という一般的な話として書いています。
具体的な診断や治療が必要なときは、必ず医師・専門家に相談してくださいね。
脂質オフブームの落とし穴|「ゼロ」を目指すとどうなる?
「脂質ゼロ」に走りたくなる気持ち
ダイエット相談を受けていると、こんな声をよく聞きます。
- 「ドレッシングは全部ノンオイルにしました!」
- 「肉はささみオンリー、油も一切使ってません!」
- 「脂質=悪なので、表示を見てひたすら低脂質だけ選んでます」
気持ちはめちゃくちゃわかります。脂質は1gあたり9kcalで、糖質・たんぱく質の約2倍以上のエネルギーなので、「真っ先に削りたくなる栄養素」なんですよね。
極端な脂質オフで起きやすいこと
ですが、脂質をガンガン削り続けると、次のような変化が出てくる人もいます。
- 肌が乾燥してかゆくなる・カサつきがひどくなる
- 髪がパサパサしてツヤがなくなる
- なんとなく元気が出ない・疲れやすい
- 便秘気味になる
- 女性の場合、生理が不安定になったり、PMSがきつく感じる
全部が全部「脂質不足のせい」とは限りませんが、脂質をほぼゼロに近づけた時期と不調のタイミングが重なる人は多い印象です。私自身も、「脂質怖い!」と削りまくっていた頃が一番、体調がパッとしませんでした。
そもそも脂質って何をしてるの?
① エネルギー源として働く
まずは基本から。脂質は、カラダの大事なエネルギー源です。
糖質が「即効性のガソリン」なら、脂質は「長持ちする燃料タンク」みたいな役割。長時間の運動や、空腹時間が少し長くなったとき、脂質がある程度ないと、燃料切れを起こしやすくなります。
② 細胞膜やホルモンの材料になる
脂質は、全身の細胞膜の材料でもあります。細胞の「外側のフチ」の部分ですね。ここがカサカサになると、細胞も元気が出ません。
さらに、ステロイドホルモン(性ホルモンなど)の材料にも関わっていて、「脂質をほぼ取らない生活」が長く続くと、ホルモンバランスにも影響が出ると言われています。
③ 「必須脂肪酸」は体内で作れない
脂質の中でも、オメガ3・オメガ6などの「必須脂肪酸」は、カラダの中で新しく作ることができません。
調べてみると、製薬会社の健康情報サイトなどでも「必須脂肪酸は体内で合成できないので、食事から摂る必要がある」といった説明がされていました(青魚に多いEPA・DHA、植物油に多いリノール酸など)。
必須脂肪酸が足りないと?
必須脂肪酸が欠乏すると、皮膚炎のような症状や成長への影響が出る可能性があるとされています。
もちろん、普段の食事でそこまで極端な欠乏になるケースはまれですが、「油は全部NG!」と徹底してしまうと、こうしたリスクもゼロではありません。
脂質不足で起きやすいカラダの不調
ここからは、脂質不足「っぽい」状態で出やすい不調を、イメージしやすい形で整理してみます。
あくまで一般的な話で、「これがある=脂質不足」と決めつけることはできませんが、目安としてチェックしてみてください。
1. 肌・髪・爪のトラブル
- 顔や手足の乾燥がとにかくひどい
- リップクリームを塗ってもすぐカサカサ
- フケが増えた、頭皮がかゆい
- 爪が割れやすくなった
脂質は、皮膚や粘膜を守る「バリア」の一部としても働いています。
私も、脂質を削りまくっていた頃は、「冬だからかな?」と思っていた肌荒れが、油を適度に戻した途端に落ち着いた経験があります。
2. 冷え・だるさ・疲れやすさ
脂質は高エネルギー源なので、極端に少ないと、
- すぐにエネルギー切れを起こす
- なんとなくやる気が出ない
- いつもより冷えを強く感じる
などの感覚につながることがあります。
もちろん、鉄欠乏や甲状腺など、まったく別の原因のこともあるので、「長く続く」「生活に支障が出る」レベルなら、必ず医療機関で相談してください。
3. メンタル面の不調・イライラ
「最近、妙にイライラしやすい」「気分の波が激しい」という人で、同時に極端な脂質制限+カロリー不足がある場合、単純にエネルギー切れを起こしている可能性もあります。
脳もエネルギーをたくさん使いますし、ホルモンバランスのゆらぎが気分に影響することもあります。「ダイエットを頑張れば頑張るほど、心に余裕がなくなる」人は、脂質だけでなく、食事全体を少し見直してあげたいところです。
4. 女性ホルモン・月経のトラブル
女性の場合、
- 生理周期が乱れる
- 経血量が急に減った/止まった
- PMSが急に重くなった気がする
といった変化が、「過度なダイエット」とセットで起きるケースもあります。これは脂質だけの問題ではなく、カロリー不足・体脂肪率の急激な低下・ストレスなど、いろいろな要因が絡むと言われています。
いずれにせよ、月経の変化は立派な「受診レベルのサイン」なので、「ダイエットのせいかな」で片付けず、婦人科への相談を優先してください。
どのくらい脂質を取れば「不足しすぎ」にならない?
日本人の目安は「総エネルギーの20〜30%」くらい
じゃあ、脂質はどのくらい取ればいいの?という話ですが、ざっくりの目安として、
「総エネルギーの20〜30%を脂質からとるくらい」
という範囲が、日本の資料でも目標として示されています。
厚生労働省の資料を見てみると、日本人の脂肪エネルギー比率(総摂取エネルギーに占める脂質の割合)の目標量は、おおむね20〜30%程度が目安とされているようです。
「脂質ゼロ」ではなく、「取りすぎも取りなさすぎも避けて、このくらいの範囲で」という考え方なんですね。
1日1,800kcalの人なら、脂質はどのくらい?
例えば、
- 1日の目標エネルギー:1,800kcal
だとすると、
- 20% → 360kcal → 脂質 約40g
- 30% → 540kcal → 脂質 約60g
くらいが目安になります(脂質1g=9kcalとして計算)。
もちろん個人差はありますが、「脂質10〜20gくらいしか取っていない」という生活が続くと、不足による不調が出てきてもおかしくないレベルだとイメージしてみてください。
ざっくりセルフチェック
次のような状態が全部当てはまるなら、脂質を削りすぎていないか、一度振り返ってみる価値アリです。
- 油を使った料理はほぼ食べていない(1日スプーン1杯レベル)
- 肉はささみ・胸肉の皮なしのみ、魚もほとんど食べない
- ナッツ・アボカド・チーズ・卵などの脂質源を意識的に避けている
- その一方で、甘いお菓子や菓子パンはちょこちょこ食べている
「脂質を削っているつもりが、実は糖質や添加物の多い食品に置き換わっている」というパターンもよくあるので、ここはぜひ一度、1日の食事写真を全部撮って見直すのがおすすめです。
脂質オフダイエットのNGパターン
NG① 「油ゼロ+お菓子でカロリー補充」
ありがちなパターンがこれです。
- 普段の食事:油カット、脂質ほぼゼロ
- 小腹が空いたとき:クッキー・キャンディー・甘い飲み物
これだと、「脂質は減っているのに、糖質と総カロリーはそこまで減っていない」という残念パターンに。
しかも、脂質不足による不調+血糖値の乱高下で、「疲れるし太るしイライラする」という三重苦になりかねません。
NG② 鶏むね・サラダだけのストイックメニュー
「鶏むね+野菜だけ生活」も、短期間ならアリですが、長期戦には向きません。
- ドレッシングはノンオイル一択
- サラダチキンと葉物野菜だけで毎食を乗り切る
こんな状態が続くと、食事自体がつらくなる+栄養も偏るというダブルパンチ。
ダイエットはマラソンなので、「半年〜1年続けられるか?」という目線で見直したいところです。
NG③ 良質な脂より「低脂質」表示だけを優先
「低脂質」「ノンオイル」の文字ばかり追いかけていると、
- 脂質は確かに減っている
- でも、添加物や糖質が増えている
ということも珍しくありません。
「どの脂質を減らしたいのか?」「どの脂質は残したいのか?」まで考えられると、一段レベルアップです。
ダイエット中でもOKな「適度な脂質」と上手な選び方
減らしたい脂・残したい脂を分けて考える
減らしたい脂の例
- 揚げ物の衣+揚げ油(特に外食チェーンの揚げ物を頻繁に)
- ショートニングやマーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸
- 霜降り肉・加工肉(ベーコン・ソーセージなど)の脂身を大量に
残したい・意識して取りたい脂の例
- 青魚(サバ・イワシ・サンマなど)に含まれるEPA・DHA
- ナッツ類(アーモンド・クルミなど)
- オリーブオイル・えごま油・アマニ油など
- 卵・適度な量のチーズ
脂質=全部カットではなく、「質」を選ぶイメージですね。
1日の中でのプチ具体例
例えば、こんな感じだと「脂質をゼロにはしないけれど、取りすぎもしない」バランスを取りやすくなります。
- 朝:卵入りオムレツ+全粒粉トースト+サラダ(オリーブオイル小さじ1)
- 昼:サバの塩焼き定食(ご飯少なめ・マヨネーズは控えめ)
- 夜:鶏むね肉のグリル(皮はほどほどに)+野菜たっぷりスープ
- 間食:素焼きナッツを小さじ1〜2、プロテインバーを選ぶなら脂質もチェック
どこか1食に「青魚+良質な油」を入れるだけでも、かなりバランスは変わります。
外食・コンビニでの脂質との付き合い方
外食やコンビニでは、
- 揚げ物メインより「焼き・煮る」調理法を選ぶ
- マヨネーズ・ドレッシングは「全部かけ」ではなく「別添え」にしてもらう
- ナッツ・ヨーグルト・サラダチキンなどの「脂質+たんぱく質源」を上手く使う
といった工夫で、「脂質をゼロにする」のではなく「過剰な脂を避ける」方向に持っていきやすくなります。
コンビニの選び方をもっと突っ込んで知りたい人は、当サイトの「コンビニ系の記事」もこれから増やしていくので、楽しみにしていてください。
「自己流コントロールが不安」なら、プロの型を借りるのもアリ
リバウンドが怖い人は「脂質オフのしすぎ」にも要注意
「とにかく早く痩せたい!」と、脂質ゼロ+カロリー超カットで頑張りすぎると、
- 筋肉や代謝まで一緒に落ちる
- 終わったあとにドカ食いしやすくなる
というパターンでリバウンドリスクが一気にアップします。
どのくらいリバウンドしやすい生活パターンなのか気になる人は、当サイトオリジナルの
リバウンドリスク診断も、息抜き感覚でやってみてください。
脂質の「ちょうどいい」ラインを自力で探すのが難しいとき
「頭ではわかるけど、具体的にどう食べたらいいか分からない…」という人は、
最初だけでもプロの型を借りてしまうのも一つの手です。
ライザップでは、ライザップの食事ルールまとめ【実践ルール】でも詳しく書いているように、
糖質・たんぱく質・脂質のバランスを考えながら、「続けられる範囲」で調整していきます。
「そもそも自分はライザップ向きなのか?」が気になる人は、
ライザップ向き度チェック診断も用意しているので、こちらも参考にしてみてください。
まとめ|脂質は「敵」ではなく、味方にできる
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- 脂質はエネルギー源・細胞膜・ホルモンの材料として大事な栄養素
- 極端な脂質オフは、肌トラブル・冷え・だるさ・月経の乱れなどの不調につながることも
- 日本人の目安は「総エネルギーの20〜30%を脂質から」くらいのバランスとされている
- 減らすべきは「揚げ物・加工肉・トランス脂肪酸」などで、「青魚・ナッツ・オリーブオイル」などは上手に残したい
- 無理な自己流より、「続けられる型」を作る・プロの力を借りる方が、長い目で見てリバウンドしにくい
脂質は、「ゼロにすべき敵」ではなく、量と質をコントロールすれば頼もしい味方になります。
今日の食事をちょっと振り返りながら、「減らしすぎてないかな?」「良い脂をちゃんと取れているかな?」をチェックしてみてください。
カラダの声を聞きつつ、無理のないペースで続けていきましょう。焦らず、でも着実に、一緒に前に進んでいきましょうね。
