【健康寿命】「初めての体験」をやめない人は若さを保つ

「若さを保つ」と聞くと、見た目のシワや白髪をイメージしがちですが、人生後半でいちばん大事なのは「脳と心の若さ」かもしれません。新しい趣味や場所、人との出会いなどの「初めての体験」は、そのための大事なエッセンスだと感じています。
この記事では、40〜70代の方に向けて、「初めての体験」を続けることが、どうして健康寿命(元気に動ける時間)につながりやすいのか、そして今日からできる小さな一歩を、やさしく整理してみました。
難しい理論よりも、「これなら自分にもできそうだな」と感じてもらえることを大切に書いていきますね。
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「初めての体験」が多い人ほど、心も脳も若く保たれやすい?
年齢を重ねると、つい同じ店・同じ道・同じメンバーで過ごしがちです。安心感はありますが、そのぶん「初めての体験」は少なくなりがちですよね。
一方で、趣味や学びなどの活動を楽しんでいる人ほど、認知機能(考える・覚える・判断する力)が保たれやすい、という研究報告も出ています。たとえば国立長寿医療研究センターは、趣味活動を楽しむ高齢者は、認知機能の低下がゆるやかだったという調査結果を紹介しています。参考:国立長寿医療研究センター「“趣味活”でイキイキした毎日を」
また、文部科学省も、生涯学習を通じて生きがいを持つことが、心身の健康の保持増進や介護予防につながるとまとめています。参考:文部科学省「長寿社会における生涯学習の在り方について」
こうした情報を眺めていると、「新しいことに挑戦する」「学び続ける」という姿勢そのものが、健康寿命を支えるひとつの土台になっているように感じられます。
もちろん、ひとつの研究だけで全てを語ることはできません。ただ、「初めての体験」をすっかり手放してしまうのは、少しもったいないのかもしれませんね。
年齢を重ねると「初めて」が減ってしまう理由
そもそも、どうして大人になると新しいことに挑戦しづらくなるのでしょうか。いくつか、ありがちな理由を整理してみます。
1. 失敗したくない・恥ずかしい気持ち
若い頃と違って、「できて当たり前」と思われているような気がして、ゼロから習うのが気恥ずかしく感じられることがあります。「リズム感ないと思われたらどうしよう」「英語を聞き取れなかったら恥ずかしい」など、頭の中でぐるぐるしてしまいますよね。
2. 体力や体調への不安
「途中で疲れたらどうしよう」「持病があるから無理かな」といった不安も自然なものです。昔なら気合いで乗り切れたことも、今はそうはいかない…と感じる場面も増えてきます。
3. 時間とお金の心配
家族のこと、仕事のこと、老後のお金のこと。いろいろ考えると、自分だけの新しいチャレンジに時間や費用を使うのをためらってしまう、という声もよく聞きます。
4. 今の生活で「なんとなく困っていない」
意外と大きいのが、「特に不便もないし、このままでいいか」という感覚です。現状維持は楽ですし、すぐに困ることもありません。ただ、そのまま数年・十数年と経っていくうちに、「気づいたら行動範囲が狭くなっていた」ということも起こりがちです。
こうして並べると、「初めての体験から遠ざかる」のは、ごく自然な流れとも言えます。でも、だからこそ、小さな一歩で流れを少しだけ変えてあげることが、健康寿命の面でも大事になってくるのかなと思います。
「初めての体験」が健康寿命にうれしい3つのポイント
ここからは、「初めての体験」が、どんな面で健康寿命を支えてくれそうかを、3つの視点で見てみましょう。
1. 脳への刺激が増える
新しいことにチャレンジすると、脳は「いつもと違う情報」を処理しようとしてフル回転します。道に迷わないように地図を見たり、初めてのレシピを覚えたり、ダンスのステップを追いかけたり…。
鳥取大学医学部の資料でも、「新しいことにチャレンジして、いろいろな神経細胞を使うこと」が認知症予防に大切だと紹介されています。参考:鳥取大学医学部「認知症予防は40代から!?楽しく脳を活性化」
もちろん、「これをやれば必ず認知症を防げる」というものではありませんが、脳が喜ぶ刺激が増えるのは、健康寿命の観点から見てもプラスに働きやすいようです。
2. 感情の“ゆさぶり”が増えて、ときめきが戻る
初めての場所・初めての人・初めての体験には、「ちょっとドキドキ」「うまくできるかな」といった感情の動きがつきものです。大人になると、こうした“ポジティブな緊張感”は減りがちですが、じつはこれも心の若さを保つ大事なスパイスです。
ワクワクやドキドキを感じると、脳内ではドーパミンなどの物質が分泌されると言われています。専門的な説明は研究者にお任せするとしても、「なんだか気持ちが明るくなる」「1日があっという間に感じる」ような体験は、メンタル面のエネルギー補給にもなりますよね。
3. 人とのつながりが広がる
新しい習い事や講座に参加すると、年代も背景も違う人たちとの出会いが生まれます。「この前も会いましたね」「その趣味、前から気になっていました」などと会話するうちに、ゆるやかなつながりが増えていきます。
こうした人間関係は、孤独感の軽減やストレス緩和にも関係すると考えられています。厚生労働省や自治体の資料でも、地域での交流や教室・サロンへの参加が、介護予防や認知症予防の取り組みとして紹介されています。参考:厚生労働省「認知症の予防に資する自治体の取組事例集」
人とのつながりは、心の“支え”でもあり、外に出て体を動かすきっかけにもなります。これも、健康寿命を考えるうえで見逃せないポイントだと感じます。
今日からできる“小さな初体験”アイデア集
「初めての体験」と聞くと、大きなチャレンジを想像してしまうかもしれません。ですが、健康寿命の視点で見ると、もっと小さな一歩で十分です。ここでは、生活の中で気軽に取り入れやすい“ミニ初体験”の例を挙げてみます。
1. いつもの生活圏でできる初体験
- いつもと違う道を通ってスーパーや駅まで歩いてみる
- 入ったことのない喫茶店・定食屋さんに挑戦してみる
- 図書館で、これまで読んだことのないジャンルの本を一冊借りてみる
- 近所の公園や神社に、早朝や夕方など「いつもと時間帯を変えて」行ってみる
- 地元のカルチャーセンターで、単発の講座に申し込んでみる
ポイントは、「大移動をしなくても、生活圏の中でも初めては作れる」という感覚を味わってみることです。
2. 家の中でできる初体験
- 普段は見ないテレビ番組(教養番組・語学番組・ダンス番組など)を1本だけ観てみる
- レシピ本や動画を見ながら、作ったことのない料理にトライしてみる
- 100円ショップなどで簡単な手芸キットを買い、説明書どおりに作ってみる
- スマートフォンやタブレットの「健康管理アプリ」や「語学アプリ」をひとつインストールして触ってみる
- いつもは書かないけれど、「今日の初めて」を一行日記にしてみる
家の中だと、天気や移動の心配がいらない分、ハードルがぐっと下がります。手先を使う作業や、説明書を読みながら組み立てる作業は、脳への刺激という意味でも期待されています。
3. 人との関わりで生まれる初体験
- 友人や家族に「最近始めたことある?」と聞いて、教えてもらったものを一緒に体験してみる
- 地域のボランティア説明会や見学会に参加してみる
- オンラインで開催される無料セミナー(健康・趣味・旅行など)をひとつ視聴してみる
- 孫や若い世代から、今流行っている音楽や動画を教えてもらう
- SNSやブログで、自分の「初めて」を一つだけ投稿してみる
人との関わりの中で生まれる初体験は、「自分ひとりでは選ばなかった世界」に出会えるチャンスでもあります。
私自身の「初めて体験」から感じたこと
ここで少し、サイト運営者としての私自身の話もさせてください。
私は50代でライザップに通い始めましたが、それも立派な「初めての体験」でした。若い頃から運動が得意だったわけではなく、むしろ体型にコンプレックスがあったタイプです。それでも、思い切って門を叩いてみたことで、トレーニングの楽しさや、体が変わっていくワクワク感を味わうことができました。
そのときのことは、「リバウンド経験者がライザップで変わった体験談【和久井編】」としてまとめていますが、あのチャレンジがきっかけで、「いくつになっても、新しいことを始めていいんだ」と実感できたのが大きかったです。
正直なところ、最初はとても不安でした。「続かなかったらどうしよう」「周りの人の足を引っ張らないかな」…。でも、1回目のセッションを終えた帰り道、「やってみてよかった」という気持ちがじんわり湧き上がってきたのを覚えています。
その後も、筋トレだけでなく、ブログを書いたり、心臓リハビリに取り組んだり、SNSで情報発信をしてみたりと、「初めての体験」を少しずつ増やしてきました。どれも完璧とは言えませんが、ひとつひとつの“初めて”が、自分の心と体の若さを支えてくれているように感じています。
「初めて」がちょっと怖いときのやさしい準備
頭では「初めての体験が大事」とわかっていても、実際に一歩踏み出すのは勇気がいりますよね。ここでは、不安を少し和らげるための工夫をまとめてみます。
1. 「体験見学」や「お試し」を活用する
最近は、料理教室やダンス教室、語学スクールなどでも、体験レッスンや見学が用意されていることが多いです。「いきなり入会」ではなく、「まずは一度のぞいてみる」くらいの感覚で足を運んでみると、心の負担が軽くなります。
2. 同じ年代の人がいる場を選ぶ
参加者の年代層が幅広い場も楽しいですが、最初の一歩としては「同年代が多い教室」を選ぶのもおすすめです。自治体や公民館の講座、シニア向けのカルチャーセンターなどは、同じ世代の仲間に出会いやすい場です。
3. 安全面と体調に配慮する
運動を伴う初めての体験では、必ず体調と相談しながら進めることが大切です。持病がある方や、最近体調に不安がある方は、かかりつけ医に相談してから始めると安心です。「無理をするほど頑張る」必要はまったくありません。
4. 「やめてもいい」と最初から決めておく
「続けられなかったらどうしよう」と考えると、始める前から気持ちが重くなってしまいます。そこで、「合わなかったらやめてもいい」「3回だけ試してみよう」と、あらかじめ“やめる自由”も用意しておくのがおすすめです。
経験として一度やってみるだけでも、脳と心にはしっかり刺激が入ります。続かなかったとしても、「あ、これは自分には合わなかったな」と分かっただけで一歩前進です。
体験を「記録」すると、さらに脳が喜ぶ
新しい体験をしたら、その日のうちに少しだけ「記録」を残しておくと、脳への刺激がもう一段階アップすると言われています。内容は本当に簡単で大丈夫です。
おすすめの記録方法
- 手帳やノートに、「今日の初めて」を一行だけ書く
- スマホで写真を一枚撮って、「初めての○○」とアルバム名をつけて保存する
- 家族や友人に、LINEやメールで「今日はこんなことを初めてやってみたよ」と報告する
- ブログやSNSに、無理のない範囲で感想を投稿してみる
書いたり話したりすることで、「体験を思い出す」「言葉にする」というプロセスが加わります。これも、脳にとっては良いトレーニングになりそうです。
無理をしないためのチェックポイント
健康寿命を意識するうえで大事なのは、「続けられる範囲で楽しむ」ことです。ここでは、初めての体験を取り入れるときのチェックポイントをまとめます。
1. 体調に波がある日はお休みする
「せっかく申し込んだから」「お金を払ったから」と無理をしてしまうと、かえって体調を崩してしまうことがあります。眠れなかった日や、いつもより疲れを強く感じる日は、思い切ってお休みしても大丈夫です。
2. 家族や医療者と情報を共有しておく
運動量が増えそうな体験を始めるときは、家族やかかりつけ医に一言伝えておくと安心です。特に持病がある場合は、「どの程度までなら大丈夫か」「注意するべき症状は何か」を、事前に確認しておくといいですね。
3. お金のかけ方をあらかじめ決めておく
習い事や趣味は、つい夢中になって道具を買い集めてしまうこともあります。最初は「まずは3か月やってみて、続きそうなら道具を揃える」など、自分なりのルールを決めておくと安心です。
4. 比べすぎない
同じクラスの中には、上達が早い人・器用な人もいるはずです。でも、その人たちと自分を比べすぎると、せっかくの楽しい体験が、自己嫌悪のきっかけになってしまいます。
大事なのは、「昨日の自分と比べる」こと。「先週より少しリズムが取れるようになった気がする」「前は不安だったけど、今日は楽しめた」など、小さな変化を見つけてあげると、気持ちがふわっと軽くなります。
まとめ:人生後半こそ「初めての体験」を味方に
ここまで、「初めての体験」と健康寿命について、いろいろな角度からお話してきました。
- 趣味や学びなどの活動は、認知機能の維持や介護予防に役立つ可能性があること
- 新しいことにチャレンジすることで、脳への刺激・感情のゆさぶり・人とのつながりが増えること
- 大きな挑戦ではなく、生活圏や家の中でできる“小さな初体験”で十分なこと
- 不安があるときは、体験見学や同年代が多い場を選ぶ、体調と相談するなどの工夫でハードルを下げられること
- 体験を記録したり、人に話したりすることで、脳の刺激がもう一段階アップしそうなこと
人生の前半は、「初めて」が向こうからどんどんやってきます。進学・就職・結婚・子育て…。気づけば、毎日が新しいことだらけだった、という時期もあったかもしれません。
人生の後半になると、「初めて」は自分から迎えに行く必要が出てきます。でも、そのぶん、どんな初体験を選ぶかを、自分でゆっくり決められる楽しさもあります。
遠くへ旅行に出かけなくても、激しいスポーツを始めなくても、日常の中にはたくさんの“ミニ初体験”が潜んでいます。今日の記事が、「じゃあまずはこれをやってみようかな」と、ひとつでも新しい行動につながってくれたら、とても嬉しいです。
完璧を目指さなくて大丈夫です。ゆっくり、自分のペースで。「初めての体験」をやめないことが、きっと、あなたの健康寿命をそっと支えてくれると思います。

