【健康寿命】60代の冷え症、運動よりも食事で変わる

60代になると「若いころより手足が冷えやすくなった」「冬だけでなく、一年中体が冷えてつらい」と感じる方が増えてきます。
筋肉量の低下や血流の変化など、年齢による影響もありますが、実は毎日の食事内容や食べ方も、冷え症と関係していると考えられています。
この記事では、健康寿命――「自分の足で動き、やりたいことを楽しめる期間」――を意識しながら、60代の冷え症と食事の関係をやさしく整理していきます。
運動も大切ですが、「何を・どのように食べるか」を見直すことで、体の内側からじんわり温まる感覚を取り戻していきましょう。
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1.60代の「冷え症」はなぜ起こりやすくなるのか
まずは、60代で冷えを感じやすくなる理由を、ざっくり整理しておきます。原因がひとつに決まっているわけではなく、いくつかの要素が重なっていると考えられています。
1-1. 筋肉量の変化と血流のめぐり
私たちの体は、筋肉が動くことで熱を生み出します。年齢とともに筋肉量が少しずつ減っていくと、どうしても「自分で熱を作る力」が弱まりやすくなります。
また、冷えを感じる手足の先まで血液を送るには、ポンプの役割をする下半身の筋肉がしっかり働いていることが大切だとされています。
60代になると、歩く時間が減る/階段を避ける/椅子時間が長くなるといった生活の変化が起きがちです。すると、脚の筋肉が使われる機会も減り、血流もゆっくりになりやすく、「なんとなく一年中冷えを感じる」という状態につながっていきます。
「じゃあ筋トレをがんばらないと…」と考えたくなりますが、冷え対策に関しては、急に激しい運動を始めるより、まずは食事や生活リズムを整えることも大切な土台になります。
1-2. 自律神経・ホルモンバランスのゆらぎ
体温や血圧、血流のコントロールには「自律神経」が深く関わっています。
自律神経は、加齢そのものに加えて、
- 更年期以降のホルモンバランスの変化
- ストレスや睡眠不足
- エアコンによる急な温度差
などの影響も受けやすいとされています。とくに女性は、閉経前後の時期に「冷えとほてりが同時に起こる(冷えのぼせ)」ような症状が出ることも知られています。
こうした自律神経のゆらぎは、食事のリズムの乱れ・栄養バランスの偏りとも関係すると考えられています。朝食を抜いたり、夜遅くにまとめ食いをしたりすると、体内時計が乱れやすくなり、結果として冷えが長引くきっかけになることもあります。
1-3. 「年だから仕方ない」とあきらめてしまうリスク
冷えを感じても、「もう60代だから…」と我慢してしまう方も少なくありません。ところが、冷えが強い状態が続くと、
- 動くのがおっくうになり、さらに運動量が減る
- 動かないことで食欲も落ち、栄養が不足しやすくなる
- 筋肉と体力が落ちて、ますます体が冷えやすい
という負のループにつながりやすいのです。
医療機関で「冷え症」という病名がつかない場合でも、「自分は冷えやすい体質なんだな」と知っておくことは、健康寿命のための大事な情報になります。
そのうえで、食事・運動・休養を少しずつ整えていくことで、冷えとの付き合い方がやわらいでくることも期待できます。
2.健康寿命のカギは「冷やさない食べ方」の習慣
次に、運動だけに頼らず、食事のとり方を工夫して体を冷やしにくくする考え方を整理してみましょう。
2-1. 「体を温める食事」は、血流と代謝を助ける食事
「体を温める食べ物」というと、生姜や唐辛子など、辛味のある食材を思い浮かべる方が多いかもしれません。たしかに、こうした食材は、一時的にポカポカ感をもたらしてくれることがあります。
一方で、健康寿命を考えたときに大事なのは、一日を通して体温が大きく下がりすぎない食べ方です。
そのためには、
- 朝・昼・晩の3食をできるだけ抜かない
- たんぱく質・炭水化物・脂質を極端に偏らせない
- 噛み応えのある野菜や食物繊維をしっかりとる
といった、ごく基本的な食事のリズムが土台になります。
なかでも、朝食は、眠っている間に下がった体温を引き上げ、日中の代謝を高める役割があると紹介している資料もあります。たんぱく質と炭水化物を組み合わせた朝食は、冷え予防にもつながるとされています。
2-2. 「がまん」より「整える」食べ方にシフトする
ダイエット経験がある方ほど、「食べる量を減らせば体が軽くなる」というイメージを持ちやすいものです。私自身も、ライザップで減量にチャレンジする前は、つい食事量を大きく減らしてしまい、体が冷えて動けなくなる…という失敗を何度もしてきました。
ところが、高齢期の健康を考えると、「食べないダイエット」はむしろ冷えを強め、筋肉と体力を落とすリスクがあります。
厚生労働省がまとめている高齢者の低栄養予防の情報でも、フレイル(加齢による心身の虚弱)を防ぐために、たんぱく質を含む食品を毎食とることの大切さが示されています。
「食べる量をガマンする」のではなく、
- 冷たい飲み物や甘いお菓子を少し減らす
- その分、温かい汁物や主菜(魚・肉・大豆製品)を増やす
- 夜遅くのドカ食いをやめて、夕食を少し早めにする
といった形で、体を冷やしにくい方向に「整える」イメージを持ってみると、心もラクになりやすいと感じています。
2-3. 「冷えを強めやすい食べ方」の例
以下のような食べ方は、結果として体を冷やしやすいと考えられています。
- 朝食を抜き、昼にまとめて食べる
- コーヒーやお茶ばかりで、水や白湯をあまり飲まない
- 冷たい飲料・アイス・デザートを1日に何度もとる
- パンや麺だけで食事を済ませ、たんぱく質や野菜が少ない
- 夜遅い時間に揚げ物やこってりした外食が続く
これらをすべてやめる必要はありませんが、「ちょっと思い当たるな」と感じたものがあれば、週に1〜2回だけでも違う選択をしてみるところから始めてみるのがおすすめです。
3.60代の冷え対策に意識したい栄養素と食材
ここからは、冷えと関わりが深いとされる栄養素や食材を、健康寿命の視点で整理していきます。どれかひとつを大量にとるというより、全体のバランスの中に上手に取り入れていくイメージです。
3-1. 筋肉を支える「たんぱく質」
筋肉量を守ることは、体を温める力を守ることにもつながります。
高齢者では、若い世代よりもたんぱく質の必要量がやや高めに設定されているという報告もあり、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などを、毎食少しずつとることが勧められています。
たとえば、
- 朝:焼き魚の残りをほぐしておにぎりに入れる/ゆで卵を1個プラスする
- 昼:冷奴や納豆を、主食と一緒にとる
- 夜:鶏肉や豚肉の煮物・鍋物に、豆腐や厚揚げも加える
といった工夫だけでも、たんぱく質の量はかなり変わってきます。
噛む力や飲み込みに不安がある方は、やわらかく煮込んだ肉や魚・豆腐などを中心にすると、負担が少ないことが多いです。
3-2. 血のめぐりを助ける「鉄分」「ビタミンB群」
冷えやだるさの背景に、軽い貧血や栄養不足が隠れているケースもあります。
特に、鉄分と、それを利用するビタミンB群(B12・葉酸など)は、赤血球の材料として大切な栄養素です。
鉄分は、
- レバー
- 赤身の肉・魚
- あさり・しじみなどの貝類
- 小松菜・ほうれん草
などに多く含まれています。
レバーはクセが苦手な方も多いので、赤身肉のシチューや、あさりたっぷりの味噌汁など、家族みんなで食べやすいメニューから取り入れていくと続けやすくなります。
貧血が疑われる場合や、サプリメントの使用を検討する場合には、自己判断を避け、かかりつけ医や薬剤師に相談することも大切です。
3-3. 「良質な油」と「オメガ3脂肪酸」
「冷えを何とかしたいから油を減らそう」と考える方もいますが、極端に油を減らしすぎると、エネルギー不足になり、かえって体が冷えやすくなることもあります。
おすすめなのは、
- サバ・イワシ・サンマなどの青魚
- エゴマ油・アマニ油(加熱せず、少量をサラダや冷奴にかける)
などに含まれるオメガ3脂肪酸です。血流をサポートする働きがあるとされ、健康寿命の観点からも注目されています。
一方で、揚げ物やスナック菓子などからとる油が多くなりすぎると、エネルギー過多や胃腸の負担につながりやすいので、「揚げ物は週1〜2回まで」など、自分なりの目安を決めておくと安心です。
3-4. 腸からじんわり温める「発酵食品」と「食物繊維」
最近は、「腸のコンディションが整うと、全身のめぐりも良くなりやすい」といった考え方も広がっています。
冷えを感じる方は、同時に便秘やおなかの張りを抱えていることも少なくありません。
そんなときは、
- 納豆・味噌・ヨーグルト・ぬか漬けなどの発酵食品
- 大根・ごぼう・れんこん・さつまいもなどの根菜
- 海藻類・きのこ類
といった食材を組み合わせることで、腸内環境を整える一助になると考えられています。
とくに冬場は、これらを温かい汁物や鍋料理にしてとると、胃腸への負担も少なく、体の芯から温まりやすくなります。
3-5. 「体を温めやすい」とされる食材との上手な付き合い方
昔から、「体を温める食材」としてよく挙げられるものに、
- しょうが・ねぎ・にんにく・唐辛子
- シナモンなどの香辛料
- かぼちゃ・にんじん・れんこんなどの冬野菜
などがあります。
科学的な効果にはまだ研究途中の部分も多いようですが、「これを食べるとホッとする」「体がじんわり温まる気がする」という感覚は、健康寿命の観点からも大切にしたいところです。
ポイントは、
- しょうがは味噌汁やスープに少量すりおろす
- 唐辛子は少しだけ使い、刺激が強くなりすぎないようにする
- 冬野菜は煮物・蒸し料理・鍋などで、しっかり加熱してとる
といった形で、日々の食事に少しずつ足していくことです。
辛味や香りが強い食材が苦手な方は、「ほんの耳かき1杯」から始めても十分です。
4.1日の「冷やさない食事」モデル例
ここでは、60代の冷えが気になる方をイメージした、「冷やさない食事」の一例をご紹介します。量や品数は、体格や活動量、ご家族の事情に合わせて、ゆるくアレンジしてみてください。
4-1. 朝:白湯+具だくさん味噌汁でスイッチON
- 起きてすぐに、コップ1杯の白湯か常温の水
- 具だくさん味噌汁(大根・人参・ねぎ・豆腐など)
- ごはん(おかゆ・雑穀ごはんもOK)
- 納豆または卵1個
胃腸をびっくりさせないように、まずは温かい飲み物でスタートし、そのあとに味噌汁と主食・たんぱく質を組み合わせます。
「朝は食欲がない」という方は、具だくさん味噌汁+小さめのおにぎりくらいから始めても十分です。
4-2. 昼:主食+主菜+野菜でバランスをとる
- ごはんまたは麺類(うどん・そばなど温かいもの)
- 焼き魚や煮魚、鶏肉の照り焼きなど
- ひじき煮・きんぴらごぼう・ほうれん草のお浸しなど小鉢1〜2品
- 温かいお茶
外食の場合も、「主食+主菜+野菜」がそろっている定食を選ぶと、自然とバランスがとりやすくなります。
冷たい飲み物が習慣になっている方は、まず食事中だけ温かいお茶にしてみるところから試してみると、体の感覚が変わってくることがあります。
4-3. 夜:鍋やスープを味方に「ほっこりタイム」
- 鍋料理(鶏肉・豚肉・豆腐・きのこ・白菜・ねぎ・春菊など)
- シメに少量のごはんやうどん
- しょうがを少し効かせたスープ
夜は、「体と心を温める時間」と割り切って、スープや鍋を中心にしたメニューにするのがおすすめです。
揚げ物を食べたい日も、同じ食卓に温かい汁物や野菜たっぷりの副菜があるだけで、冷え方が変わってくると感じる方も多いようです。
食後には、カフェイン控えめのほうじ茶や白湯をゆっくり飲みながら、その日のがんばりを振り返る「小さなご褒美タイム」にしてみるのも良いリラックスになります。
5.食事だけでなく「生活リズム」も一緒に整えていく
冷え対策というと、どうしても食事や運動に目が向きがちですが、健康寿命という長いスパンで考えると、生活リズム全体の整い具合も大きなポイントになります。
5-1. 睡眠とストレスケアも「冷え」とつながっている
睡眠不足やストレスが続くと、自律神経のバランスが乱れ、手足の冷えや肩こり・頭痛などの不調を感じやすくなると言われています。
「寝つきが悪い」「眠りが浅い」と感じる方は、
- 寝る2時間前からスマホやパソコンを控えめにする
- ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
- 寝る前に温かいハーブティーや白湯を飲む
など、小さな習慣から試してみると、体のこわばりがゆるみ、冷えの感じ方もやわらぐことがあります。
5-2. 「ちょっと動く」を何度もくり返す
タイトルでは「運動よりも食事で変わる」と書きましたが、実際には食事と運動の両方がゆるくかみ合うことで、冷えとの付き合い方がラクになっていきます。
60代からの運動は、ハードな筋トレでなくてもかまいません。
- 食後に5〜10分だけ部屋の中を歩く
- テレビを見ながら、つま先立ちやかかと上げをゆっくり行う
- キッチンでお湯が沸くのを待つ間に、軽くストレッチをする
こうした「ながら運動」は、血流を促し、食事でとった栄養を体のすみずみまで届けるサポートにもなります。
僕自身、ライザップでのボディメイクに取り組んだときも、「完璧な運動メニュー」より、ライザップ体験記ブログにまとめているような、食事とちょこちょこ動く習慣の組み合わせが、体の変化と冷えの軽減につながったと感じています。
6.「今からでも間に合う」冷えとの付き合い方
ここまで読んでくださった方の中には、
- 「もう何十年も冷え性だから、今さら変わらないのでは…」
- 「食事も運動も完璧にできそうにない」
と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
でも、健康寿命を考えるうえで大切なのは、一気にすべてを変えることではなく、「昨日よりちょっと温かい選択」を積み重ねることだと思っています。
たとえば今日からできる小さな一歩としては、
- いつものお茶を、1杯だけ温かいものにする
- 夕食に、具だくさんの味噌汁を足してみる
- 買い物ついでに、冬野菜を1品だけ余分に買ってみる
- 寝る前に、白湯をゆっくり飲みながら今日の自分をねぎらう
といったことでも十分です。
冷え症は、原因がはっきりしないことも多く、すぐにスッキリ解決とはいかないかもしれません。それでも、「私は冷えやすい体だからこそ、体を大事にするきっかけをもらっているんだ」ととらえ直してみると、心が少し軽くなることもあります。
もし、手足の冷えに加えて強い痛み・しびれ・歩きにくさ・息切れ・胸の痛みなどがある場合や、「いつもと違う」と感じる症状があるときは、自己判断を控え、早めに医療機関で相談することも大切です。
そのうえで、日々の食事と生活リズムを整えていくことが、将来の自分へのやさしい「投資」になっていきます。
60代からの冷え症は、「年だから仕方ない」とあきらめるサインではなく、食事と暮らしを見直すチャンスだと、私は感じています。
今日の一杯の温かいスープから、あなたの健康寿命づくりを一緒に始めていきましょう。

