年齢を重ねてくると、つい
「前はもっと歩けたのになあ」
「昔は徹夜しても平気だったのに」
と、“できなくなったこと”に目が行きやすくなります。
ぼくも50代のころ、高血圧と体重増加でヘロヘロだった時期があり、
「若いころの自分」と今を比べてばかりいました。
でも視点を変えてみると、まだまだ“できること”はたくさん残っていると気づきます。
この記事では、「できること」に目を向けることが、自己肯定感を高め、結果的に健康寿命(元気に動ける期間)を伸ばす流れについて、やさしく整理してみます。
40代・50代・60代・70代の「人生の後半戦」を、少しでも軽やかな気持ちで歩いていきたい方に向けたお話です。
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健康寿命ってなんだろう?「元気に動ける期間」に注目する
「長生き」というと、まずは平均寿命の数字がイメージされますよね。
ただ、健康づくりの世界では「健康寿命」という指標も大事にされています。
厚生労働省の「健康寿命の定義と算出方法)」では、健康寿命を
「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」
と説明しています。「何歳まで生きるか」だけでなく、
「何歳まで自分らしく動けるか」という視点ですね。
同じく厚生労働省の
「健康寿命延伸プラン」では、
2016年時点の日本の健康寿命(男性72.14歳、女性74.79歳)を、2040年までに男女とも3年以上延ばすことを目標にしているとされています。
国としても、「長く生きる」より「長く元気に過ごす」ことを大事にし始めているわけですね。
ここで大事なのは、健康寿命は“完璧な健康”を目指す話ではないということです。
多少の持病や不調があっても、工夫しながら自分なりの暮らしを続けられているなら、それも立派な「健康寿命の一部」と考えられています。
年齢とともに「できなくなったこと」に目が向きやすい理由
ではなぜ、年齢を重ねると「できないこと」「失ったもの」にばかり目が行ってしまうのでしょうか。
これは、単なる性格の問題というより、人間の心のクセが関係しているようです。
①脳は“マイナス情報”を強く覚えやすい
心理学では、「ネガティビティバイアス」と呼ばれる傾向が知られています。
ざっくり言うと、人間の脳は、良いことより悪いことのほうを強く記憶しやすいという性質です。
これは、生き延びるために危険情報を優先してきた歴史が影響していると考えられています。
そのため本当は、
「今日も自分でごはんを作れた」「家の中をひととおり掃除できた」など、
できていることもたくさんあるのですが、つい
- 階段を上がると息が切れるようになった
- 前ほど長時間歩けなくなった
- 細かい字が読みづらくなった
といった“マイナス”のほうを強く感じやすくなります。
②比べる相手が「若いころの自分」になりやすい
もうひとつの理由は、比べる相手が「若いころの自分」になってしまうことです。
20代、30代のころの自分と今を比べると、どうしてもできなくなったことが目につきやすくなります。
ですが、本来比べたいのは
「昨日の自分」「先月の自分」「少し前よりどうか」
といった“同じ年代の自分”です。
ここを間違えると、「自分はどんどんダメになっている」という感覚だけが強くなってしまいます。
③「もう歳だから」という言葉が自分をしばってしまう
周りから何度も「もう歳だから無理しなくていいよ」と言われていると、
だんだん自分でも「歳だから○○できない」という“ラベル”を貼ってしまうことがあります。
もちろん、無理をして体を壊してしまうのは避けたいところです。
一方で、「歳だから何もできない」にまで広げてしまうと、活動量が減り、かえって健康寿命を縮めてしまう可能性もあります。
ここで役に立つのが、「できなくなったこと」だけでなく「まだできること」「やり方を変えれば続けられること」を数えてみるという視点です。
“できること”を数えてみると、意外なほどたくさん出てくる
いざ「できることを書き出してください」と言われると、最初は手が止まるかもしれません。
そんなときは、日常生活・心と頭・人間関係の3つの切り口で考えてみるのがおすすめです。
①日常生活の中の「当たり前」は、実はすごいこと
まずは、毎日の暮らしの中で当たり前にやっていることを思い出してみます。
- 自分で起きて、身支度をしている
- 簡単な料理を作っている
- ゴミ出しをしている
- 近所のスーパーまで歩いて買い物に行ける
- バスや電車に一人で乗れる
- 銀行や役所の手続きを自分でしている
こうした行動は、「体が動く」+「頭で段取りを考える」+「社会とつながる」という、健康寿命にとって大事な要素がぎゅっと詰まっています。
「まだこんなに自分でできている」と気づくだけでも、気持ちはだいぶ変わってきます。
②心と頭の「できること」にも目を向ける
年齢を重ねると、瞬発力や体力はどうしても若いころより落ちていきます。
その一方で、経験からくる判断力・人を見る目・段取り力は、むしろ増えていきます。
- 家族の中で、話を整理してまとめる役ができる
- 若い人の相談に、過去の経験をもとにアドバイスできる
- 複数の予定を組み合わせて、ムダのないスケジュールを組める
- 料理や趣味で、失敗した経験を“コツ”として話せる
これはすべて、人生の時間をかけて育ってきた「できること」です。
健康寿命の観点でも、「頭を使い続けること」は、とても大切な要素と考えられています。
③人とのつながりの「できること」も立派な力
健康寿命を伸ばすうえで、最近とくに注目されているのが、社会とのつながりです。
厚生労働省の「健康寿命延伸プラン」でも、介護予防やフレイル対策の柱のひとつとして「社会参加」があげられています。
人とのつながりと言っても、大きな活動である必要はありません。
- ご近所さんと立ち話ができる
- 孫とビデオ通話ができる
- 趣味のサークルに月1回でも顔を出せる
- 行きつけのお店で「いつもの?」と声をかけてもらえる
これらはすべて、「できている社会参加」です。
東京都福祉局の
「介護予防・フレイル予防ポータル」でも、
運動や栄養と並んで「人とのつながり」の大切さが紹介されています。こうした自治体の情報も参考にしながら、自分のペースでつながりを保っていけると良さそうです。
「できること」を数えると、自己肯定感と活動量が少しずつ上がっていく
「できること」を意識して数えていくと、何が変わるのでしょうか。
ぼく自身の経験や、公的な情報を眺めていても、次のような流れが見えてきます。
①「自分はまだまだ大丈夫だ」と感じられる
まず変わるのは、自分を見る目です。
「もう歳だから」とあきらめ半分で暮らしていた時期と比べると、
- 「案外いろいろできているな」と思える
- 「体は変化しているけれど、経験という財産も増えている」と感じられる
- 「完璧じゃなくていいや」と、肩の力が少し抜ける
この感覚は、自己肯定感の土台になります。
専門的な心理学の言葉を使うと、「自分を価値ある存在として認める感覚」が少しずつ育っていくイメージです。
②「ちょっとやってみようかな」と行動が一歩前に出る
自己肯定感が少し上がると、今度は「行動」も変わってきます。
- いつもよりひと駅分だけ多く歩いてみる
- エレベーターではなく階段を1フロア分だけ使ってみる
- 地域の体操教室やサロンを、試しに一度のぞいてみる
- オンラインで、同年代の人の活動を見てみる
こうした「ちょっとやってみようかな」という小さな一歩が、活動量のアップにつながります。
厚生労働省がまとめている
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、
激しい運動だけではなく、日常生活の中で体を動かす時間を増やすことが大切とされています。
③心と体を一緒に動かすことが、フレイル予防にもつながる
最近よく耳にする「フレイル」という言葉は、
元気だった状態と、介護が必要な状態の“中間”のような状態を指すことが多いようです。
東京都のフレイル予防資料などでも、
・運動 ・栄養 ・お口の健康 ・社会参加など、
いろいろな要素をバランスよく整えることが大切とされています。
「できることを数える」という行動は、
・心の元気(自己肯定感)
・体の活動量アップ
・人とのつながりへの一歩
につながりやすく、結果的にフレイル予防や健康寿命の延伸にも役立つと考えられています。
今日からできる「できること探し」の具体的なアイデア
ここからは、今日から試しやすい「できること探し」の方法をいくつか紹介します。
どれも、紙とペンさえあればできるシンプルなものです。
①1日の終わりに「できたこと」を3つだけ書き出す
おすすめは、寝る前に「今日できたこと」を3つだけノートに書くことです。
大きなことでなくて大丈夫です。
- 朝、ラジオ体操を最後までやれた
- 昼食を、昨日より少しだけゆっくり味わって食べられた
- 友人に電話して、近況を話せた
こんな小さなことで十分です。
続けていくと、「自分は何もしていない」ではなく「案外いろいろやっている」という感覚が育っていきます。
②「できなくなったこと」を、別の言葉で言いかえてみる
どうしても「できなくなったこと」が気になってしまう日もあります。
そんなときは、あえて紙に
- 以前は○○できたけれど、今は難しいこと
を書き出したうえで、それを別の言葉に言いかえる練習をしてみます。
たとえば、
- (以前)仕事のあとに毎日ジムで1時間走れた
→(今)無理をしなくて済むように、30分の散歩を続けられている - (以前)車でどこまでも行けた
→(今)公共交通機関を使いこなして、出かける先を工夫している
こんなふうに、「できなくなった」ではなく「やり方を変えて続けている」と捉え直すだけでも、心の重さはだいぶ違ってきます。
③人に頼る・人を頼られることも「できること」のひとつ
年齢を重ねると、「人に迷惑をかけたくない」という気持ちから、
何でも自分で抱え込みたくなることがあります。
ただ、人に頼ることは「弱さ」ではなく「関係を育てる力」でもあります。
たとえば、
- 重い荷物を運ぶとき、近くの人に「すみません、ここだけ持っていただけますか」と声をかける
- スマホの操作で困ったとき、子どもや孫に「教えてもらえたら助かる」と頼む
- 逆に、自分が得意なことで、誰かに手を貸す
こうしたやりとりも、社会とのつながりを保つ「できること」です。
健康寿命を伸ばすうえでは、「何でも一人で頑張る」より「お互いさまで支え合う」感覚が、むしろ心強い味方になっていきます。
ぼく自身も「できること探し」に助けられてきた
ここからは、サイト運営者としてのぼく自身の話も少しだけ。
ぼくは54歳のとき、高血圧や体重増加に悩みながら、ライザップで本格的に体づくりに挑戦しました。
そのころの記録は
「ライザップ・高血圧オヤジ54歳の挑戦※減量期の全記録!」
としてまとめていますが、
最初のうちは、「若いころと同じようには動けない自分」にがっかりする場面も正直たくさんありました。
そんなときにトレーナーから言われて心に残っているのが、
「今日できたことを一緒に数えていきましょう」という一言です。
- 前回より1回多くスクワットができた
- 階段で息切れするまでの段数が、ほんの少し増えた
- 食事の内容を、昨日より一つだけ整えられた
こんな小さな「できたこと」を積み重ねていくうちに、
「自分はまだ変わっていけるんだ」という実感が、少しずつ戻ってきました。
今、健康寿命について記事を書いているのも、
あのときの経験があるからこそだと感じています。
「できることを数える」ことは、特別な人のためのテクニックではなく、誰でも今日からゆっくり始められる習慣だと実感しています。
「今からでも間に合う」健康寿命の伸ばし方という考え方
ここまで読んでくださった方の中には、
「それでも、もう遅いんじゃないか」と感じている方もいるかもしれません。
でも、厚生労働省の
健康寿命に関する解説や、各自治体のフレイル予防の資料を見ていると、
「今からでもできる工夫」に焦点を当てた取り組みがとても増えてきているようです。
たとえば、
- 週に1回の体操教室に通い始めたことで、外出のきっかけが増えた
- 一人暮らし向けの食事教室で、簡単な栄養バランスを学んだ
- 地域のサロンで、同年代の仲間と趣味を共有できるようになった
こうした小さな一歩の積み重ねが、数年後の健康寿命の差につながってくると考えられています。
大事なのは、「若いころのゴール」をもう一度目指すことではありません。
今の自分の体力・体調・生活環境に合わせて、
- 「このくらいなら続けられそうだな」と思える範囲を見つけること
- 「できないこと」ではなく、「まだできること」「工夫すれば続けられること」に目を向けること
この2つを、あわてずに整えていくことが、「これからの健康寿命づくり」だと感じています。
まとめ:“できること”を数えることから、人生後半のボディメイクが始まる
最後に、この記事のポイントをあらためて整理してみます。
- 健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されずに過ごせる期間」のことで、国レベルでも延ばしていく取り組みが進められている
- 年齢とともに「できなくなったこと」に目が行きやすいのは、人の心のクセでもあり、自分を責める必要はない
- 一方で、日常生活・心と頭・人間関係に目を向けると、まだまだたくさんの“できること”が見つかる
- 「できること」を数える習慣は、自己肯定感を高め、活動量アップやフレイル予防、健康寿命の延伸にもつながると考えられている
- 今日から始められる方法として、「1日の終わりにできたことを3つ書く」「できなくなったことを言いかえる」「人との助け合いも“できること”に含める」といった工夫がある
- 人生の後半戦は、「若いころの完全コピー」を目指す必要はなく、今の自分にとって心地よいペースで続けられる範囲を見つけていく時間と考えられる
“できなくなったこと”より、“できること”を数える。
この小さな視点の転換が、これからの健康寿命の土台になっていくと、ぼくは実感しています。
このサイトでは、ボディメイクや生活習慣づくりについて、
「今からでも間に合う」「人生後半こそ楽しく整えていこう」という視点で、これからも情報をお届けしていきます。
ご自身のペースで、一つずつ「できること」を増やしていきましょう。


