【健康寿命】「汗をかけば健康」はウソ?脱水リスクを見直そう

「たくさん汗をかけばかくほど健康的」「汗を流した分だけ、体の中の悪いものが出ていく」――。
こうしたイメージは、多くの人がどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
たしかに、汗をかくこと自体は、人間の大切な体温調節機能です。
しかし「汗=健康の証」と決めつけてしまうと、脱水や熱中症のリスクを見逃してしまうこともあります。
特に40代・50代・60代以降は、同じだけ汗をかいても、若い頃とは体への負担が違ってきます。
この記事では、
- なぜ「汗をかけば健康」とは言い切れないのか
- 汗と脱水の関係をやさしく整理
- 健康寿命を守る「ちょうどいい汗」との付き合い方
- 運動時の水分補給のコツ
- 日常生活でできる脱水・熱中症対策
といったテーマを、人生の後半戦をゆっくり歩んでいきたい方に向けてお話ししていきます。
「今からでも間に合う」視点でまとめていきますので、どうぞ気楽に読み進めてみてください。
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なぜ「汗をかけば健康」は半分ホントで半分ウソなのか
汗の役割は「体温調節」。出れば出るほど良いわけではない
まず、汗の一番大きな役割は「体温調節」です。
体温が上がると皮膚の血管が広がり、汗が出て、その汗が蒸発することで熱が奪われます。
暑い日に汗をかくのは、からだを守るための大事な反応だと考えられています。
だからといって、「たくさん汗をかく=その分だけ健康」にはなりません。
汗をかくということは、それだけ体内の水分や塩分が失われているということでもあります。
・気温が高い
・湿度が高い
・長時間の運動や屋外作業
・体調が万全ではない日
などの条件が重なると、汗による体温調節が追いつかず、体内に熱がこもってしまうことがあります。
厚生労働省も「熱中症は、高温多湿な環境で発汗による体温調節がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態」と説明しています。
参考:厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」
つまり、汗は体を守るために必要だけれど、「量が多ければ多いほど健康」とは言えないということですね。
「汗が出ている=まだ大丈夫」とは限らない
もうひとつ注意したいのが、「汗が出ている=まだ元気」と思い込んでしまうことです。
汗をかき続けて脱水が進むと、血液の量が減り、からだの隅々まで血液が回りにくくなります。
その結果、
- めまい・立ちくらみ
- 頭痛・吐き気
- ふくらはぎがつる・筋肉のけいれん
- ぼんやりする、力が入らない
といった症状が出ることがあるとされています。
厚生労働省の資料でも、脱水や熱中症ではこうした症状が見られることが紹介されています。
参考:「職場における熱中症予防対策マニュアル」
汗がたくさん出ているときほど、「どれだけ失っているか」を意識することが、健康寿命の面でも大切になってきます。
汗と脱水のしくみをやさしく整理してみる
加齢とともに、体内の水分量は少なくなっていく
同じ「汗をかく」でも、20代と60代では、体への影響が少し違います。
高齢者向けの熱中症リーフレットでは、
- 高齢者は若い人よりも体内の水分量が少ない
- のどの渇きを感じにくく、脱水に気づきにくい
といった点が指摘されています。
参考:厚生労働省「高齢者のための熱中症対策リーフレット」
つまり、40代・50代・60代と年齢を重ねるほど、同じ量の汗でも「体の中の水分としては、より減りやすい」と言えそうです。
汗と一緒に失われるのは「水」と「塩分」
汗のほとんどは水分ですが、同時に塩分(ナトリウム)などの電解質も含まれています。
水だけを大量に飲むと、のどの渇きは一時的におさまっても、体内の塩分バランスが崩れてしまうことがあるようです。
厚生労働省の資料でも、「大量に汗をかいたときに水だけを補給すると、体内の塩分濃度が下がり熱中症につながることがある」といった説明がされています。
参考:「熱中症環境保健マニュアル」
特に長時間の運動や屋外活動では、水分と一緒に少量の塩分も補給することがすすめられることが多いです。
(ただし、高血圧や腎臓の病気がある方は、塩分のとり方について主治医の指示を優先してください)
どれくらい脱水が進むと危ないの?
医療の世界では、体重の何%分の水分が失われたかで脱水の程度を説明することがあります。
- 体重の約2〜3%の水分が失われる:強いのどの渇き・だるさ・集中力低下など
- 5〜6%:頭痛・めまい・吐き気・血圧低下など
- それ以上:意識がもうろうとするなど、命にかかわる状態
こうした数値はあくまで目安ですが、
「ちょっとくらいのどが渇いても我慢」ではなく、「のどが渇く前からこまめに飲む」
という意識が、健康寿命の面でも安心かなと感じています。
健康寿命を守る「ちょうどいい汗」とは?
「軽く汗ばむ」くらいの身体活動が、長い目で見ると心強い
汗をかくこと自体は、本来とても自然な反応です。
厚生労働省がまとめた「健康づくりのための身体活動基準2013」でも、「息が弾み、軽く汗をかく程度の強さ」の身体活動を増やすことが、糖尿病や循環器疾患、ロコモティブシンドロームなどの予防に役立つとされています。
参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」
大切なのは、
- 「ゼロ汗・まったく運動しない」状態は避ける
- かといって「ゼーゼーするほど追い込む」必要まではない
という、ちょうどいいバランスです。
日常生活の中で、
- いつもより少し早歩きをする
- エレベーターではなく階段を選ぶ
- 家事の合間にストレッチを入れる
といった工夫だけでも、「軽く汗ばむ」時間を増やすことは十分可能です。
「たくさん汗をかくかどうか」よりも、「毎日ちょっとずつ体を動かせているかどうか」の方が、健康寿命という意味では大きなポイントになってきます。
季節・体調・年齢で「ちょうどよさ」は変わる
同じ運動でも、
- 真夏の昼と春の朝
- よく眠れた日と寝不足の日
- 50代と70代
では、体への負担が変わります。
「いつもと同じ運動なのに、今日はやたら汗が止まらない」「動き始めから息が苦しい」
そんな日は、無理せず強度を下げたり、時間を短くしたりした方が安心です。
「昨日はあんなに頑張れたのに」「昔の自分だったらもっとできたのに」と比べる必要はありません。
その日のからだの声に合わせて、「ちょうどいい汗の量」を調整していく――それが、人生の後半戦ならではの賢い付き合い方だと思っています。
運動時の水分補給「健康寿命バージョン」のコツ
ここからは、具体的に「どう水分をとると、汗と上手につき合いやすいか」を整理していきます。
あくまで一般的な目安なので、ご自身の体調や主治医の指示を優先してくださいね。
1. 運動前:スタート前から軽く満たしておく
運動を始める時点で、すでに軽い脱水状態だと、汗をかいたときに一気にバランスを崩しやすくなります。
- 運動の30分〜1時間前に、コップ1杯程度の水やお茶をゆっくり飲んでおく
- 朝イチで運動する場合は、起きてすぐの一杯を習慣にする
これだけでも、からだのスタートラインがかなり違ってきます。
特に起床直後は、睡眠中の発汗で体内の水分が減っているとされています。朝の一杯は、健康寿命のための小さな投資のようなイメージで続けてみるのも良さそうです。
2. 運動中:のどが渇く前に「ちびちび補給」
日本スポーツ協会などの資料では、
「運動による体重減少が2%を超えないように水分補給をする」ことが目安として紹介されています。
参考:公益財団法人日本スポーツ協会「熱中症予防5ヶ条」
また、マラソンなどの高強度の運動では、1時間あたり400〜800ml程度の水分補給が一つの目安として示されることもあるようです。
参考:熱中症予防のための運動指針
ただ、私たちが健康寿命のために行うウォーキングや軽い筋トレでは、ここまで厳密に量を計算する必要はないと思います。
大切なのは、
- のどの渇きを感じる前から、20〜30分おきに数口ずつ飲む
- 気温が高い・湿度が高い・屋外で日差しが強いときは、休憩の回数を増やす
といった「こまめな補給」のリズムです。
汗を大量にかく状況(炎天下での作業、長時間の運動など)では、
0.1〜0.2%程度の食塩が入った飲料(スポーツドリンクや経口補水液など)を利用する方法も、熱中症予防の資料で紹介されています。
参考:秋田労働局「職場における熱中症を予防しよう!」
一方で、日常の軽い散歩や室内での運動なら、水や麦茶などでも十分なことが多いです。
ご自身の血圧や血糖値、持病などを踏まえて、飲み物の種類は主治医とも相談しながら選んでみてください。
3. 運動後:からだをクールダウンしながら、ゆっくり補う
運動が終わった直後は、汗がまだ吹き出している状態のことも多いですよね。
ここで一気に冷たい飲み物をガブ飲みすると、胃腸に負担がかかったり、体が冷えすぎたりすることもあります。
- まずは日陰や涼しい室内で、呼吸を整えながらゆっくり座る
- タオルで汗を軽くふき、衣服を少しゆるめて熱を逃がす
- そのうえで、コップ半分〜1杯程度を数回に分けて飲む
こんなイメージで、「クールダウン+水分補給」をセットにしておくと安心です。
朝や昼に運動した日の夜は、いつもより少し意識して水分をとるようにしておくと、翌日の疲れ方も違ってくると感じる方も多いようです。
カフェイン・アルコールは「水分補給」とは別枠で考える
コーヒーや緑茶、ビールなどは、たしかに水分ではありますが、利尿作用もある飲み物です。
完全にNGというわけではありませんが、
- 運動後すぐの水分補給は、水・麦茶・スポーツドリンクなどで行う
- カフェインやアルコール入りの飲み物は「楽しみ」として別枠で味わう
と考えておくと、脱水リスクを減らしやすくなります。
特に暑い季節は、「ビールを飲む前に一杯の水」をルールにしている方も多いですね。
「汗かきすぎサイン」と「脱水サイン」に気づいておこう
こんな症状が出たら、いったん立ち止まる
汗をかいているときに、次のような症状が出たら要注意です。
- 立ち上がったときにふらつく
- 頭痛や吐き気が出てきた
- 筋肉がつる、ピクピクけいれんする
- やけにボーッとして、集中できない
こうした症状は、熱中症の初期段階で見られることがあるとされています。
参考:職場における熱中症予防対策マニュアル
このようなときは、「汗をかいてデトックスしている最中だから大丈夫」ではなく、「からだが助けを求めているサイン」だと受け取ってあげたいところです。
対処の基本は「涼しい場所+服をゆるめる+水分・塩分」
もし上記のようなサインが出たら、まずは運動や作業を中断して、
- 風通しの良い日陰やエアコンの効いた室内に移動する
- ベルトやネクタイ、襟元などをゆるめて熱を逃がす
- 冷たいタオルや保冷剤があれば、首・わきの下・足の付け根などを冷やす
- 意識がはっきりしていれば、少しずつ水分と塩分をとる
といった、いわゆる「応急的なクールダウン」を優先しましょう。
それでも症状がおさまらない、意識がもうろうとしている、返事がはっきりしない――という場合には、迷わず医療機関や救急に相談することがすすめられています。
「無理を続けないこと」も、健康寿命を守る立派なセルフケアだと考えておいていただけると嬉しいです。
尿の色も、さりげないチェックポイント
もうひとつ簡単な目安が、「尿の色」です。
一般的に、脱水が進むと尿の量が減り、色が濃くなりやすいと言われています。
トイレに行ったとき、
「いつもより色が濃くて、量も少ないな」
と感じたら、その日は意識して水分を多めにとってみる。
このくらいのゆるいチェックで十分だと思います。
日常生活でできる「汗との付き合い方」アイデア
1.「汗をかく日」と「休める日」をセットで考える
週に何回か運動をしている方は、つい「もっと頑張らなきゃ」と思ってしまいがちです。
しかし、健康寿命という長いスパンで見ると、
- たくさん汗をかく日
- からだを休める日
をセットで計画しておく方が、結果的に長く続きやすいようです。
例えば、
- 月・木:少しきつめのウォーキング
- 火・金:ゆるいストレッチや軽い筋トレ
- 水・土・日:体調を見ながら、散歩程度にする
といった具合に、「汗をしっかりかく日」を週に2〜3日、「控えめに動く日」を間にはさむイメージです。
こうしてメリハリをつけることで、脱水や疲労の蓄積を防ぎやすくなります。
2.朝・夜の「水分ルーティン」を決めてしまう
脱水を防ぐ上で、一番のポイントは「こまめさ」です。
とはいえ、毎回意識するのはなかなか難しいので、1日の中で「ここだけは必ず飲むタイミング」を決めてしまうのがおすすめです。
例えば、
- 起床直後にコップ1杯の水
- 朝食・昼食・夕食の前後に1杯ずつ
- 入浴前後に半分ずつ
- 寝る前に少量
など、生活の流れに合わせて決めておくと、無理なく習慣化できます。
特に夏場や汗をかいた日は、いつものルーティンに+1〜2杯、意識して足すイメージを持っておくと安心です。
3.服装・室温で「汗をコントロールする」発想も大切
汗をかきすぎないためには、運動量だけでなく、服装や環境も大きく関わってきます。
- 吸湿性・通気性の良い素材のウェアを選ぶ
- 屋外では帽子をかぶる・日陰を利用する
- 室内ではエアコンや扇風機を我慢しすぎない
- 特に高齢者は、「暑さを感じにくい」ことを前提に、少し早めに冷房を入れる
厚生労働省の高齢者向け熱中症対策リーフレットでも、
「体内の水分量が少ない」「暑さやのどの渇きを感じにくい」といった高齢者特有の特徴が紹介されており、エアコンの適切な使用が呼びかけられています。
参考:高齢者のための熱中症対策リーフレット
「冷房は苦手だから」と我慢しすぎるより、室温を少し下げて運動の強度もゆるめる方が、長い目で見れば健康寿命の味方になりやすいと感じています。
4.体調がいまひとつの日は「汗をかかない勇気」も持っておく
真面目な方ほど、
- せっかく決めた運動習慣だから休みたくない
- 今日はきついけれど、汗をかけばスッキリするはず
と考えてしまいがちです。
でも、「今日はなんだか体が重い」「寝不足だ」「風邪気味かも」という日は、
あえて汗をかかないメニューに切り替えるのも、とても立派なセルフケアです。
- ウォーキングをやめて、家の中でのストレッチだけにする
- スクワットを休んで、深呼吸やリラックス系のヨガに置き換える
- 運動はお休みして、早めに寝る
こうした「引き算」をうまく入れていくことが、結果的に長く動けるからだを守ることにつながります。
和久井朗が感じた「汗と水分バランス」のリアル
ここまで、主に公的な資料をもとに「汗と脱水」について整理してきました。
ここから少しだけ、ぼく自身の経験も交えてお話させてください。
ライザップに通い始めた当初、ぼくは「汗をかけばかくほど痩せる」と思い込んでいました。
トレーニング中に汗がドバッと出ると、「よし、今日も毒素が抜けたぞ」と、なぜか得した気分になっていたんです。
でも、トレーナーさんと一緒に体調を見ながらトレーニングを続けていくなかで、
- 汗をかきすぎてフラフラするときは、たいてい水分補給が少ない
- 前日によく眠れていないときほど、汗は出ても動きが重い
- しっかり水分をとっている日のほうが、その後の疲れの残り方が少ない
といった「からだからのフィードバック」にだんだん気づくようになりました。
そのあたりの紆余曲折は、
「ライザップ体験記ブログ※33キロダイエット成功ブログ大公開」
でも、かなり赤裸々に書いています。
いま振り返ると、
「汗の量」ではなく「動いた後も、翌日も元気でいられるかどうか」が、健康寿命という意味でとても大事な視点だったなと感じています。
まとめ:「汗は健康バロメーターの一つ」くらいがちょうどいい
最後に、この記事のポイントを整理しておきます。
- 汗は体温調節のために大切な機能だが、「たくさんかくほど健康」とは限らない
- 汗と一緒に水分・塩分が失われ、脱水や熱中症につながることもある
- 加齢とともに体内の水分量は減り、のどの渇きを感じにくくなるため、40代以降は特にこまめな水分補給が大切
- 健康寿命のためには、「軽く汗ばむ」くらいのほどよい運動を、無理なく続けることがポイント
- 運動前・中・後に、のどが渇く前から少しずつ水分をとる習慣をつけておくと安心
- めまい・頭痛・筋肉のけいれんなどは、汗をかきすぎている、または脱水が進んでいるサインのこともある
- 服装や室温、休息日を工夫して、「汗をかく日」と「休める日」のバランスをとる
「汗をかかないとダメ」でもなく、「汗をかきすぎても心配」でもない。
その中間の「ちょうどいい汗との距離感」を見つけていくことが、これからの長い人生を元気に動き続けるためのコツではないかと感じています。
今日からできることは、小さな一歩でじゅうぶんです。
いつもの散歩の前にコップ一杯の水を飲んでみる。
暑い日は少し早めにエアコンをつける。
体調がいまひとつの日は、汗をかく運動をお休みして、ゆっくり休む。
そんな「ささやかな選択」の積み重ねが、あなたの健康寿命をそっと支えてくれるはずです。
これからも、一緒にゆるく長く、からだとの付き合い方を整えていきましょう。

