【健康寿命】地域とのつながりが“孤独老化”を防ぐ

40代・50代・60代と年齢を重ねてくると、体力よりも「人とのつながり」の大切さを実感する場面が増えてきます。元気に見える人ほど、実は地域の中で上手に人と関わっていることが多いように感じます。
この記事では、「地域とのつながりが“孤独老化”を防ぐ」と題して、町内会や地域サークル、公民館、ボランティアなど、ゆるやかなつながりが心と体にどんな良い影響を与えてくれるのかを、健康寿命の視点からじっくり整理してみます。
難しい専門用語はなるべく使わず、人生の後半を安心して過ごしたい方に寄り添う形でまとめました。肩の力を抜いて、ゆっくり読み進めていただけたらうれしいです。
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「孤独老化」とは?まずはイメージをそろえるところから
最初にお伝えしておきたいのは、「孤独老化」という言葉は医学的な正式名称ではないということです。ここでは、あくまでイメージしやすいように使っている表現です。
私が「孤独老化」と聞いて思い浮かべるのは、次のような状態です。
- 一日の中で、ほとんど誰とも会話がない日が続いている
- 困ったときに「ちょっと相談できる相手」が思い浮かばない
- 外に出る機会が減り、足腰が弱くなってきたと感じる
- 気持ちが沈みがちで、「自分なんて」と思うことが増えた
こうした状態が長く続くと、気持ちが弱るだけでなく、活動量が落ちて体の機能もゆっくりと低下しやすくなると考えられています。これをこの記事では「孤独老化」と呼んでいます。
「ひとりの時間」が悪いわけではない
大事なのは、「ひとりで過ごすこと=悪いこと」ではないという点です。
読書が好きな人、趣味に没頭する時間が心地よい人にとって、ひとりの時間はむしろ大切なリフレッシュの場ですよね。問題になるのは、「望んでいないのに、結果的にひとりになりすぎてしまう」状況です。
本人は「迷惑をかけたくないから」と思って静かにしていても、周りから見ると「どこか具合が悪いのかな?」と心配されていたりすることもあります。孤独老化を防ぐには、こうしたギャップに、少しずつ気づいていくことが出発点になりそうです。
こんなサインがあったら要注意かもしれません
以下のようなサインがいくつか重なってきたら、「少し人とのつながりを増やしてみようかな」と意識を向けるタイミングかもしれません。
- 以前通っていた趣味の教室やサークルに、なんとなく足が遠のいている
- LINEやメールのやりとりが減り、「最近誰とも連絡していないな」と感じる
- 外出するのが億劫で、買い物もネットや家族任せになってきた
- 休日にテレビをつけっぱなしで、気づけば一日が終わっていることが多い
もちろん、これだけで「問題です」と決めつける必要はありません。ただ、「このまま何年も続いたら、気持ちも体力も縮こまってしまうかも…」と、未来の自分を少し想像してみるきっかけにはなります。
研究から見えてきた「つながり」と健康の関係
ここからは、地域とのつながりと健康リスクの関係について、いくつかの資料を参考にしながら見ていきます。難しい統計の話は省きますが、「大まかな傾向」として知っておくと考え方のヒントになります。
孤独・孤立はタバコ並みの健康リスクとも言われている
生活習慣病予防に関する情報サイトでは、人とのつながりが少なく、孤独や孤立の状態が続くことは「タバコの害に匹敵するほどの健康リスクがある」と紹介されています。友人とほとんど会わない人は、ほどよく人付き合いをしている人に比べて、血糖コントロールが悪くなるリスクも高まるという報告もあるようです。こうした情報は、一般社団法人日本生活習慣病予防協会のサイトなどで紹介されていますので、詳しく知りたい方は参考にしてみてください。孤立・孤独|生活習慣病予防の解説ページ
また、世界保健機関(WHO)も、孤独や社会的孤立が心筋梗塞や脳卒中、糖尿病、認知機能の低下など、さまざまな健康リスクと関連していると報告しています。WHO Social isolation and loneliness によると、社会的なつながりが乏しい人は、そうでない人に比べて早期死亡のリスクが高まる可能性があるとされています。
こうした研究結果は、「今すぐ不安になってください」という話ではなく、「人とのつながりを健康づくりの一部として大事にしていきましょう」というメッセージとして受け取るのが良さそうです。
日本でも「孤独・孤立対策」が国ぐるみのテーマに
日本でも、近年は孤独や孤立の問題が大きな社会課題として取り上げられるようになりました。内閣府には「孤独・孤立対策推進室」が設置され、2023年には孤独・孤立対策推進法も成立しています。孤独・孤立対策推進法|内閣官房
法律の中では、国や自治体、企業、地域団体が一体となって、孤独・孤立を防ぐ取り組みを進めることがうたわれています。ここからも、「孤独老化を防ぐこと」は、個人の努力だけでなく、社会全体で支えていくテーマになっていることがわかります。
「社会参加」が介護予防や健康寿命のカギに
厚生労働省や自治体が進める「地域包括ケアシステム」でも、高齢者が地域で社会参加できる場を増やすことが、介護予防や健康寿命の延伸に役立つと考えられています。例えば、公益財団法人長寿科学振興財団のサイトでは、社会参加の場が多い人ほど、長期的な生活機能の維持につながる可能性があると紹介されています。地域包括ケア時代における社会参加と健康|長寿科学振興財団
これらはあくまで統計的な傾向ですが、「人とのつながり」が、運動・食事と並ぶ「健康寿命の三本柱」のひとつと考えられていることがわかります。
地域とのつながりが「心」にくれる安心感
では、実際に地域とのつながりは、私たちの心にどのような影響を与えてくれるのでしょうか。ここからは、もう少し日常の場面に落とし込んで考えてみます。
顔と名前を覚えてもらうだけでも、心は軽くなる
地域サークル、公民館の講座、町内会の集まりなど。どんな場でも共通しているのは、「同じ場所に、何度か顔を出すうちに、自然と顔見知りが増えていく」ということです。
最初は「こんにちは」と会釈を交わすだけでも、回数を重ねると
- 「この前はどうも」と声をかけてもらえる
- 体調を崩して休んだとき、「最近見ないね」と気にかけてもらえる
- 自分も相手の変化に気づき、「今日は少しお疲れかな?」と感じられる
といった関係が少しずつ育っていきます。この「お互いに気にかけ合える関係」が、心の支えになります。
特別に深い会話をしなくても、「自分のことを知ってくれている人が何人かいる」という安心感は、とても大きいものです。「孤独老化」を防ぐうえで、この小さな安心感が、前向きな一歩を支えてくれます。
「役割」があると、生活リズムも整いやすい
もう一つ大きいのが、「ちょっとした役割」を持つことです。
例えば、
- サークルで、お茶の準備だけ担当する
- 町内会で、回覧板を回す係になる
- 公民館講座で、毎回椅子を並べるのを手伝う
など、特別なスキルがいらない役割で十分です。人は「自分にもできることがある」と感じられると、自然と生活リズムを整えようとするようです。
逆に、誰にも会わない予定ばかりだと、生活時間が昼夜逆転したり、食事の時間もバラバラになりがちです。「地域の場に参加する日があるから、前日は早く寝ておこう」「遅刻しないように、朝ごはんをしっかり食べよう」といった行動は、健康寿命の土台づくりにもつながっていきます。
地域サークル・自治会・ボランティア…どんな関わり方がある?
「地域とのつながりが大事なのはわかるけれど、具体的にどんな場があるのかイメージしづらい…」という声もよく聞きます。ここでは、比較的参加しやすい例をいくつか挙げてみます。
① 公民館や地域センターの「ゆるい講座」
多くの自治体では、公民館や地域センターで、健康体操、ストレッチ、カラオケ、手芸、料理などの講座が開かれています。参加費が数百円程度のものも多く、「まずは見学だけ」という参加が受け入れられていることもあります。
自治体の広報紙やホームページには、こうした講座情報がまとまっていることが多いので、一度じっくり眺めてみると「意外とおもしろそうなもの」が見つかるかもしれません。
② 町内会・自治会の行事
お祭り、清掃活動、防災訓練、子ども会の行事など。町内会や自治会が主催するイベントは、「住んでいる地域の人とつながる」貴重なきっかけになります。
全部に参加する必要はありません。自分の体力や予定に合わせて、「この行事だけなら顔を出せそうだ」と思うものから少しずつ参加してみるのも良さそうです。
③ ボランティア活動
ボランティアというと「すごく大変」「立派な人がやるもの」というイメージがあるかもしれませんが、実際には、
- 高齢者向けサロンでの話し相手
- 図書館での本の整理や読み聞かせ
- イベント会場での受付や案内
など、無理のない範囲でできる活動もたくさんあります。ボランティアの良いところは、「誰かの役に立っている」という実感が得られることです。これは自己肯定感を高め、心の若さを保つエネルギーにもなります。
④ ボディメイクや運動系のコミュニティ
体を動かすことが好きな方にとっては、「運動 × 地域コミュニティ」の場も相性が良いです。ウォーキングサークル、ラジオ体操の会、健康づくり講座などは、体力づくりと人との交流を同時にかなえやすい場です。
私自身、ライザップに通っていた頃、トレーナーさんとの会話や、同じ時間帯に通う方とのちょっとした挨拶に、とても励まされた経験があります。そのときの体験は、リバウンド経験者がライザップで変わった体験談【和久井編】にも詳しく書きましたが、「一緒に頑張っている人がいる」という感覚は、運動を続けるうえでも、心の支えとしても、とても大きかったと感じています。
「参加のハードル」を下げる5つのコツ
頭では「地域のつながりが大事」とわかっていても、いざ参加となると不安が出てくるものです。ここでは、私自身の経験も交えながら、ハードルを下げるコツをまとめてみます。
1. 「今日は見学だけ」と自分に言い聞かせる
初めての場に行くときは、「今日は様子を見るだけ」と決めておくと気持ちが楽になります。最初から「しっかり馴染まなきゃ」と思うと、緊張してしまいますよね。
主催者側も、「最初は見学だけ」という参加者には慣れていることが多いので、正直にそのまま伝えてしまって大丈夫です。
2. 月1回から「スケジュールに組み込んでしまう」
毎週参加するのが負担に感じる場合は、月1回から始めてみるのも良い方法です。カレンダーに書き込んでしまえば、「その日は外に出る日」という意識が自然と生まれます。
月1回でも、1年続ければ12回の参加になります。最初の一歩としては十分な回数です。
3. 「知り合いを一人誘う」も立派な工夫
ひとりで行くのが不安な場合は、家族や友人、ご近所さんを一人誘って一緒に行くのも心強い方法です。「一人で勇気を出す」のではなく、「二人で様子を見に行く」というスタンスなら、気持ちの負担も軽くなります。
4. オンラインのつながりも、補助として活用する
最近は、オンラインの趣味サロンや、同年代の交流コミュニティも増えています。もちろん、ネット環境や操作が必要ですが、外出が難しいときには「つながりを補う手段」として利用してみるのも一つの選択肢です。
大事なのは、「リアルかオンラインか」よりも、「安心して話せる場があるかどうか」です。
5. 「合わなければ変えていい」と自分に許可を出す
参加してみたものの、「雰囲気が合わない」「無理をしている感じがする」と感じたら、別の場を探してみるのも立派な選択です。一度参加したら最後までやめてはいけない、というルールはありません。
自分に合う場を探すことそのものが、新しいつながりを育てるプロセスです。少し遠回りに感じるかもしれませんが、長い人生のスパンで見れば、決して無駄ではないと感じています。
地域とのつながりを育てる「一日の過ごし方」イメージ
ここでは、地域とのつながりを大切にしながら過ごす一日のイメージを、あくまで一例として描いてみます。理想像というより、「こういう日が時々あったら良さそうだな」という感覚で読んでみてください。
朝:近所をぐるっと散歩しながら「おはよう」を増やす
朝の時間帯に、自宅の周りを10〜20分ほど散歩するだけでも、同じ時間帯に歩いている人と自然と顔見知りになっていきます。犬の散歩をしている人、庭の手入れをしている人、ごみを出しに来た人など、さまざまな方とすれ違います。
最初は会釈だけでも、何度か会ううちに「おはようございます」と挨拶を交わすようになり、雨の日には「今日は歩いていないかな」と気にかけるようになります。この小さなつながりが、孤独老化を防ぐ日々の土台になります。
昼:買い物ついでに、お店の人とひと言会話
スーパーや商店での買い物も、つながりづくりのチャンスです。レジの人に「いつもありがとうございます」と声をかけるだけでも、そこにささやかな交流が生まれます。
常連になってくると、「今日はお野菜がお買い得ですよ」「このお魚、焼くと美味しいですよ」といった一言が増え、暮らしの情報交換にもなっていきます。
午後:週に一度の地域サークルやボランティア
週に1回でも、地域サークルやボランティアの予定が入っていると、生活にリズムが生まれます。「今日はサロンの日だから、早めにお昼を済ませておこう」「帰りに図書館に寄って本を返そう」といった段取りも、頭と体の良いトレーニングになります。
夜:その日の出来事をノートにひとこと残す
夜は、ちょっとした「ふり返りタイム」を持つのもおすすめです。
- 今日は散歩中に〇〇さんとあいさつした
- サークルで新しい人と自己紹介をした
- スーパーの店員さんにおすすめの野菜を教えてもらった
など、数行書くだけでも、「自分は今日もちゃんと人とつながっていた」と確認できます。これは自己肯定感を支える大事な作業です。
無理をしない「距離感」の保ち方も大切
ここまで「つながりの大切さ」をお伝えしてきましたが、同時に意識しておきたいのが、「自分を守る距離感」です。人付き合いが増えると、それなりに気を使う場面も増えます。
「頼まれごと」は一度持ち帰って考えてみる
地域の活動に参加していると、「この係もお願いできませんか?」と頼まれることがあります。その場の雰囲気でつい引き受けてしまい、あとから「やっぱり負担が大きすぎた…」と感じる人も少なくありません。
そんなときは、
- 「一度家で予定を確認してからお返事します」
- 「月に〇回までならお手伝いできそうです」
といったクッション言葉を使ってみると、自分のペースを守りやすくなります。
「疲れたときは休む」も立派な自己管理
つながりを大切にすることと、無理をして頑張り続けることは別の話です。体調がすぐれないとき、気持ちが落ち込んでいるときは、あえて参加をお休みしても大丈夫です。
長く続けていると、「今日はお休みされていたけれど、大丈夫かな」と逆に心配してもらえることもあります。そのような関係ができていれば、「この前は体調を崩してしまって」と素直に伝えやすくなり、そこからまた会話が生まれていきます。
それでも一歩が出ないときの心の整理
「地域とのつながりが大事なのはわかる、それでも一歩が出ない」という方も多いと思います。そんなときに、少し心が軽くなるかもしれない考え方をいくつか挙げてみます。
完璧な自分でなくていい
「太ってしまったから、人前に出るのが恥ずかしい」「耳が遠くて会話についていけないかも」「病気のことを聞かれたらどうしよう」――。こうした不安は、とても自然なものです。
でも、地域の場に参加している人たちも、それぞれに持病があったり、家族の心配ごとを抱えていたりします。完璧な人はほとんどいません。「お互いさま」の気持ちで、少し力を抜いてみると、一歩が出やすくなるかもしれません。
「まずは一度だけ」という約束にしてみる
「これから毎週通う」と思うと重く感じますが、「とりあえず一回だけ行ってみる」と決めると、気持ちのハードルが少し下がります。
もし行ってみて合わなければ、「自分には合わなかった」という経験値が一つ増えるだけです。その経験をもとに、「次はもう少し少人数の場にしてみよう」「室内ではなく、屋外のウォーキングサークルにしてみよう」など、選び方を工夫していくこともできます。
「誰かのため」ではなく「自分の健康寿命のため」に
最後に大切なポイントとして、地域とのつながりは「誰かのため」に無理して作るものではなく、「自分の健康寿命を守るための選択」と捉えてみることをおすすめします。
家族のため、子どものため、地域のため――という気持ちも素晴らしいのですが、それだけだと疲れたときに続けにくくなります。「自分が元気でいたいから」「将来の自分を楽にしてあげたいから」という視点を持つことで、自然体のまま取り組みやすくなります。
まとめ:小さな「おはよう」が、未来の健康寿命を守ってくれる
この記事では、「地域とのつながりが“孤独老化”を防ぐ」というテーマで、
- 孤独老化とは、望まない孤立が続くことで、心と体の元気が少しずつ削られていくイメージであること
- 国内外の研究や公的な資料でも、孤独・孤立が健康リスクと関係していると考えられていること
- 地域サークルや公民館、自治会、ボランティアなど、ゆるやかなつながりの場が健康寿命の土台になりうること
- 参加のハードルを下げる具体的な工夫や、無理をしない距離感の保ち方
といったポイントを、できるだけやさしい言葉で整理してみました。
健康寿命を延ばすというと、どうしても「運動をもっと」「食事をしっかり」といった身体面の話に目が向きがちです。でも、実際には、「今日は誰と話そうか」「今度の週末はどこに顔を出してみようか」といった、人とのつながりに関する小さな選択が、心と体のエネルギーを大きく左右しているように感じます。
明日、家の前を掃除するときに、いつもより少しだけ周りを見渡してみる。散歩の途中で、勇気を出して「おはようございます」と挨拶してみる。公民館の掲示板を眺めて、「この講座、ちょっと気になるな」と心に留めておく――。
そんな小さな一歩一歩が、数年後・十数年後の「元気に動ける自分」を支えてくれるはずです。完璧を目指す必要はまったくありません。できる日だけ、無理のない範囲で、地域とのつながりを少しずつ育てていきましょう。
私自身も、ライザップでボディメイクに取り組んだ経験や、地域のつながりの中で支えられてきた実感を大切にしながら、これからも「健康寿命」をテーマに情報を発信していきます。一緒に、人生の後半をゆっくり整えていきましょう。

