【健康寿命】他人を元気にすると自分も元気になる不思議

誰かが落ち込んでいるとき、そっと声をかけたり、肩に手を置いたり。そんな小さな行動をしたあと、なぜか自分の心まで少し軽くなった経験はありませんか。
「人のためにしたつもりが、いちばん救われたのは自分だった」──人生の後半に差しかかる40代・50代・60代・70代の方ほど、こんな実感が増えてくるように思います。
この記事では、「他人を元気にすると自分も元気になる」という不思議な循環を、健康寿命(元気に動ける時間)の視点から見つめなおしてみます。難しい理論ではなく、今日からできるちょっとした声かけや習慣を中心にまとめました。
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なぜ「誰かを元気にすると、自分も元気になる」のか
1. ポジティブな言葉は、自分の耳にも返ってくる
落ち込んでいる友人に、「大丈夫、一緒に少しずつやっていこう」「話を聞かせてくれてありがとう」と伝えるとき、その言葉は相手だけでなく、自分の耳にも届いています。
「よくがんばっているね」「助かっているよ」といったポジティブな言葉を交わすことは、こころの健康づくりにも役立つと紹介する公的な資料もあります。例えば、厚生労働省の「こころの健康」に関する資料では、日常のコミュニケーションの中で「ありがとう」「うれしい」など前向きな言葉を意識して伝え合うことが勧められています。こうした声かけが、職場や地域での支え合いの土台になる、と考えられているようです。
人に向けたやさしい言葉は、自分の心にも静かに染み込んでいきます。「そんなことないよ、あなたにはこんな良さがあるよ」と伝えながら、「そういえば自分にも、まだできることがあるかな」と、どこかで自分を励ましているのかもしれません。
2. 「誰かの役に立てた」という実感が、自己肯定感を支える
人生の後半に入ると、仕事や子育ての役割がひと段落して「自分はまだ誰かの役に立てているのかな」と感じることも増えてきます。そんなとき、ちょっとしたお手伝いや、悩みを聞く時間が、「まだ自分にもできることがある」と感じさせてくれます。
心理学の分野では、ポジティブな感情や行動を意識的に増やす取り組み(ポジティブ心理学的アプローチ)が、ウェルビーイング(心の健康や満足感)を育てる方法のひとつとして研究されています。ポジティブな思考や感情、行動を増やすことで、長期的な心の安定に役立つ可能性があると考えられているようです。
特別なことをしなくても、「ありがとうと言ってもらえた」「話を聞いたら笑顔が戻った」という小さな経験の積み重ねが、自分自身の心の筋力を少しずつ太くしてくれるのだと思います。
3. 笑顔や表情の変化が、自分のストレスもやわらげるかもしれない
人を励ますとき、自然と表情も柔らかくなります。眉間のしわがほどけたり、口角が上がったり。ある国産化粧品メーカーの研究でも、「感情を素直に表情に出す」ことがストレスの緩和やポジティブ感情の高まりにつながったという結果が報告されています。
相手を安心させようとして笑顔を向けることは、自分自身の緊張をゆるめるスイッチにもなっているのかもしれません。「元気づけよう」としているうちに、自分の心と体も少しほぐれていく──そんな、うれしい副作用が起きている可能性があります。
健康寿命と「他人を元気にする力」の関係
1. 「社会的つながり」が健康寿命を支えると言われています
健康寿命を考えるとき、「どれだけ運動しているか」「何を食べているか」だけでなく、「どんな人間関係の中で暮らしているか」も大切な要素だとされています。
高齢者の健康寿命と社会的要因の関係を調べた研究では、地域の中での人付き合い・趣味の会・ボランティアなどの社会参加が多いほど、要介護状態になるリスクや認知症、うつのリスクが低い傾向がみられたと報告されています。
「誰かを元気にする」という行動は、多くの場合「人とのつながりの中にいる」ということでもあります。声をかける相手がいて、気にかけ合える関係がある。そのつながりそのものが、健康寿命にとっての大切な土台になっていきそうです。
2. ボランティアや地域活動が「生きがい」になることも
厚生労働省の資料では、高齢者のボランティア活動が「生きがいづくり」や「健康づくり」につながる面があることが紹介されています。
地域の見守り活動やサロン、子どもの見守り、趣味の教室など、「誰かの役に立つ場」に参加することで、生活にハリが出たと感じる方も多いようです。もちろん、ボランティアをしなければいけないわけではありませんが、「誰かの力になれている」という感覚が、心身の元気を支えてくれる可能性は高そうです。
3. 一人の時間も大切にしながら、「完全な孤立」を避ける
ひとりで過ごす時間が好きな方も多いと思います。静かな時間や一人の趣味は大切な休息です。ただ、「完全に誰とも関わらない状態」が長く続くと、心の健康面で影響が出てくる可能性があると指摘する研究もあります。
無理に大勢の集まりに参加する必要はありませんが、「たまには誰かに声をかけてみる」「近所の人とあいさつを交わす」など、細く長くつながりを保つ意識は、健康寿命の面でもプラスに働きやすいと考えられています。
日常でできる「他人を元気にする」小さな工夫
ここからは、特別なスキルがなくてもできる、日常のなかの「元気づけアイデア」を具体的にまとめてみます。どれも、健康寿命を意識した無理のない範囲で、マイペースに試せるものばかりです。
1. まずは「あいさつ」と「ひとこと」を増やしてみる
- 朝すれ違うご近所さんに、「おはようございます」「きょうはいい天気ですね」と一声かける
- 家族に「いってらっしゃい」「おかえり」と目を見て伝える
- コンビニや病院の受付で、「ありがとうございます」と少しゆっくり目に伝える
こんな短いフレーズでも、受け取った側の心はふっと温かくなります。そして、その言葉を口にした自分の心も、少しだけ整っていくはずです。
2. 「評価」より「共感」を意識してみる
落ち込んでいる人を見ると、ついアドバイスをしたくなるものです。ただ、元気がないときほど、正論よりも「分かってくれる人」がありがたかったりします。
そんなときは、次のような言葉を意識してみても良さそうです。
- 「それはつらかったね」
- 「そう感じるのは自然なことだと思うよ」
- 「よくここまでがんばってきたね」
相手の気持ちを否定せず、受け止める言葉は、自分のなかの「人を大切にしたい」という気持ちも満たしてくれます。
3. メッセージや電話で「遠くの人」を元気づける
今は、遠くに住む家族や友人とも、スマホひとつで簡単につながれる時代です。体力や時間に余裕がない日でも、短いメッセージなら送りやすいはずです。
- 「最近どう? 体調崩してない?」
- 「この前話してたこと、どうなった?」
- 「あなたのあの一言、今でも励みになっているよ」
相手を気にかけるメッセージは、それを書いている自分の心も温かくしてくれます。返信が来ても来なくても、「自分から一歩つながろうとした」という事実が、心のスタミナに変わっていくように思います。
4. 体力や時間に合わせた「ささやかなサポート」を
他人を元気にする行動は、必ずしも大きな奉仕活動である必要はありません。健康状態や生活ペースに合わせて、次のような小さなサポートから始めるのも立派な一歩です。
- 重い荷物を持っている人に、「少し持ちましょうか?」と声をかける
- 道に迷っていそうな人に、「どちらへ行かれるんですか?」と話しかける
- 家族の家事を、「今日はこれだけ僕がやるよ」と軽く引き受けてみる
- 仕事仲間に、「その資料、手伝えるところがあったら言ってね」と伝える
こうした行動は、筋トレのように「負荷」をかけすぎる必要はありません。自分が楽しめる範囲で、「ちょっとだけ人の力になってみる」くらいの気持ちで十分です。
やさしさも「無理しない」が長続きのコツ
ここまで読むと、「人のために何かしなくちゃ」と、かえってプレッシャーを感じてしまう方もいるかもしれません。でも、健康寿命の視点でいちばん大切なのは、自分自身が心身ともにすり減れてしまわないことです。
1. 自分がしんどいときは、「聞く役」をお休みしても大丈夫
体調が良くないときや、心がいっぱいいっぱいのときに、無理をして誰かの相談に乗ろうとすると、かえってお互い疲れてしまうことがあります。そんなときは、「いま自分も余裕がないから、今日はゆっくり休もう」と決めてしまって構いません。
やさしさはマラソンのようなものだと考えると、心のスタミナを温存する時間も必要です。健康寿命を伸ばすためにも、「自分の調子を整えることも、誰かを大事にすることの一部」と考えてみてください。
2. すべての人を助けようとしない
世の中には、本当にたくさんの悩みを抱えた人がいます。そのすべてを自分ひとりで背負おうとすると、あっという間に疲れ切ってしまいます。
できるのは、「自分が届く範囲の人」に、「自分ができるタイミングで」「自分なりのやり方で」関わることくらいです。それでも十分ですし、その小さな輪が重なり合うことで、社会全体の支え合いにつながっていきます。
3. 専門家や公的な相談先につなぐことも、大事な“元気づけ”
相手の話を聞いていて、「これは自分だけでは支えきれないかも」と感じることもあるかもしれません。そのときは、自治体や医療機関の相談窓口、民間の相談ダイヤルなど、専門家につなぐことも立派なサポートです。
厚生労働省や各自治体のサイトでは、心の不調や生活上の悩みに対して相談できる窓口を案内しているページもあります。困ったときに「一緒に相談先を探す」という関わり方も、相手を一人にしない大切な方法のひとつです。
ライザップで実感した「応援し合う力」──和久井朗の体験
ここからは、サイト運営者である私・和久井朗の話を少しだけさせてください。
私はかつて、体重が大きく増え、健康面でも不安を抱えていました。そんな中でライザップに通い始め、トレーナーさんや仲間と一緒にボディメイクに取り組むことになりました。
トレーニング中、私が何度も励まされたのは、トレーナーさんの「昨日より一歩前に進んでますよ」「ちゃんとやれてます」という言葉でした。きついメニューの途中でも、その一言で「もう少しがんばってみようかな」と思えたのをよく覚えています。
不思議なことに、通い続けているうちに、今度は私のほうが周りの会員さんを応援する側にもなっていきました。「一緒にがんばりましょう」「その気持ち、よく分かります」と声をかけることで、自分の心もシャキッとしてくる感覚がありました。
33キロ以上の減量に挑戦した当時の様子や、トレーナーさん・仲間とのやりとりは、ライザップ体験記ブログ※33キロダイエット成功ブログ大公開にもまとめています。あの期間は、まさに「他人を元気にしながら、自分も元気になっていた時間」だったと、今あらためて感じています。
体型づくりの場であれ、日常生活のちょっとした場面であれ、支え合い・励まし合いの関係があると、人は驚くほどエネルギーを取り戻していくのだと、身をもって教えてもらいました。
公的情報や国産メーカーの資料も「参考書」として活用してみる
この記事では、健康やこころに関する一般的な考え方を中心にお伝えしましたが、より専門的な情報を知りたいときには、公的機関や国産メーカーが出している資料も参考になります。
たとえば、以下のようなサイトや資料は、「人とのつながり」「こころの健康」「社会参加」といったテーマを考えるうえで、ヒントになると感じています。
- 厚生労働省「こころの健康」リーフレット(職場や日常生活での声かけ・支え合いのポイントが紹介されています)
- 厚生労働省「社会参加と介護予防効果の関係について」(社会参加と転倒・認知症・うつリスクの関連についてまとめられた資料です)
- 高齢者の健康寿命を規定する社会的要因に関する研究報告書(社会的つながりと健康寿命の関係が検討されています)
- 厚生労働省「ボランティアポイント制度導入・運用の手引き」(ボランティア活動と健康づくりの関連に触れられています)
- ポーラ化成工業「感情を素直に顔に出すことでストレスが軽減」プレスリリース(表情とストレス・ポジティブ感情の関係が紹介されています)
どれも専門的な内容を含みますが、「ふだん自分がやっている小さな声かけや笑顔が、心と体の健康にもつながるのかもしれない」と感じるきっかけとして、必要に応じて活用してみてください。
今日からできる「他人も自分も元気になる」3ステップ
最後に、この記事の内容をまとめつつ、今日から試しやすいステップを整理しておきます。
ステップ1:まずは身近な人に「ひとこと」増やしてみる
- 家族や同僚への「ありがとう」「助かったよ」を、意識して口にしてみる
- コンビニや病院でも、目を見て「ありがとうございます」と伝えてみる
- 久しぶりの知人に、短い近況メッセージを送ってみる
たった一言でも、相手の表情が少し変わるのを感じられたら、自分の心にもふわっと温かさが広がるはずです。
ステップ2:自分のペースで、関われる範囲の人を大切にする
- 体調がいい日だけ、少し長めに話を聞く
- 時間がない日は、「今日はここまで」と区切る
- 手に負えないと感じる悩みは、一緒に専門の窓口を探してみる
「全部を抱え込まない」「完璧を目指さない」ことで、やさしさを長く続けやすくなります。健康寿命の観点からも、無理のない支え合いが一番です。
ステップ3:自分自身を元気づける言葉も忘れない
他人を元気にする言葉をかけていると、「自分にも同じ言葉をかけてあげたい」と思う瞬間が増えてきます。
- 「今日はここまでできただけでも立派だ」
- 「しんどい中で、よくここまでやってきた」
- 「誰かを気にかけられる自分、なかなか悪くない」
こうしたセルフメッセージは、心のスタミナを守り、これからの人生の後半戦を穏やかに、そして自分らしく歩むための支えになってくれると思います。
他人を元気にしようとする気持ちは、必ずどこかで自分自身を支えてくれます。大げさなことをしなくても、日常の小さな声かけや、ささやかな気遣いの積み重ねが、健康寿命をそっと後押ししてくれるはずです。
「人を元気にしているつもりが、実は自分も元気になっていた」──そんなうれしい循環を、今日から少しずつ育てていきましょう。

