40代・50代・60代と年齢を重ねてくると、「このまま何となく年を取っていくのかな」とふと不安になる瞬間が出てきますよね。私自身も、50代半ばで体調を崩したり、体重が増えたりした時期に同じような気持ちを味わいました。
そんな中で実感しているのが、「新しいことに挑戦すること」が、思っている以上に心と体の若さを支えてくれるということです。大きなチャレンジでなくても、ほんの小さな一歩で十分です。
この記事では、「新しい挑戦」がなぜ健康寿命(元気に自分の足で動ける期間)にとって大切なのか、その仕組みをやさしく整理しながら、人生後半からでも始めやすいチャレンジのヒントをお伝えしていきます。
目次(表示させると見出しが見られますよ!)
新しい挑戦と「健康寿命」がつながっている理由
健康寿命は「何歳まで生きるか」より「どう生きるか」
まず最初に、この記事で大事にしたい「健康寿命」という言葉を整理しておきます。
厚生労働省では、健康寿命を「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と説明しています。平均寿命との間には、男性で約9年、女性で約12年ほどの差があるとされています。
つまり、同じ「80代」でも、
- 自分の足で買い物に行き、趣味や地域活動を楽しめている人
- ベッドや車いすで過ごす時間が長く、介護の助けがないと生活が難しい人
この差が「健康寿命の差」です。年齢そのものよりも、「どれだけ長く、自分の意思で動けるか」が大切になってきます。
健康寿命を支える要素として、運動や食事の大切さはよく知られていますが、ここにもう一つ加えたいのが「新しいことに挑戦し続ける姿勢」です。
脳は何歳からでも「刺激」に反応すると考えられている
脳は、まったく新しいことをするときに強く刺激を受けるといわれています。専門的には「脳の可塑性(かそせい)」という言葉で説明されることが多く、「新しい経験を通して脳の働き方やつながり方が変化する」と考えられています。
たとえば、
- 行ったことがない道を歩いてみる
- 触ったことのない楽器を習ってみる
- スマホやパソコンの新しい機能を覚えてみる
こんな小さなことでも、脳にとっては「おっ、新しいぞ」とスイッチが入るようです。最近は、身体活動が認知症やうつ症状のリスクを下げる可能性があるとする報告も増えていて、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、身体活動量が多い人ほど認知症などのリスクが低いとされる研究が紹介されています。「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」も参考にしてください。
ここでポイントになるのが、「新しい挑戦」が、
- 脳への刺激(考える・覚える・工夫する)
- 体への刺激(動く・バランスをとる・力を出す)
- 心への刺激(ワクワク・ドキドキ・達成感)
この三つを、一度にゆるやかに動かしてくれることが多い、という点です。
新しい動き・新しい体験は「体の使い方」を目覚めさせる
例えば、これまでウォーキングしかしてこなかった人が、軽いダンス教室やヨガに挑戦してみるとします。最初は「ステップが覚えられない」「バランスが取りづらい」と戸惑うこともありますが、それ自体が体にとって良い刺激になっているようです。
厚生労働省の情報シートでは、バランス運動や有酸素運動などを組み合わせた「マルチコンポーネント運動」が、高齢者の転倒予防や生活機能の維持に役立つ可能性があると紹介されています。バランス運動の解説ページなども参考になると思います。
新しい動きに取り組むということは、単に「筋肉を鍛える」だけでなく、
- どの筋肉をどう使うかを脳が考える
- 姿勢を保つためにバランス感覚が働く
- 呼吸や心拍数の変化を体が調整する
というように、全身の調整機能が総動員される作業でもあります。この「全体としてがんばる感じ」が、健康寿命の土台づくりに少しずつつながっていくイメージです。
小さなチャレンジがもたらす「若返り」効果とは
① 脳への刺激で「ぼんやり感」が軽くなることがある
年齢を重ねると、「最近、名前が出てこない」「やろうとしたことを忘れる」といった感覚を持つ方も多いと思います。私も同じです。ただ、まったく新しいことにトライしている時期は、不思議と頭がスッキリするような感覚が出てくることがあります。
例えば、
- 新しい料理に挑戦してレシピを覚える
- スマホのアプリを使って写真を編集してみる
- オンライン講座で歴史や語学を学んでみる
こうした活動は、「覚える」「工夫する」「試す」という要素を含んでいるため、脳のさまざまな領域が働いていると考えられています。認知症予防についても、運動や知的活動、社会参加が組み合わさることの大切さがよく語られていますが、その一つひとつは「新しい挑戦」と言い換えることができそうです。
実際、自治体の取り組みの中には、スマホ教室と軽い体操、交流会をセットにした教室なども増えてきていて、「新しいことに挑戦しながら仲間と集う場」が健康寿命づくりの柱の一つとされています。例えば、千葉県松戸市の「元気応援くらぶ」では、スマホ勉強会や健康麻雀、健康体操などを組み合わせた通いの場が運営されています。松戸市「元気応援くらぶ」のページも参考にしてください。
② 体の感覚が「さびつきにくくなる」
新しい挑戦は、体の感覚を目覚めさせるきっかけにもなります。
例えば、
- 初めてのウォーキングコースを歩いてみる
- 少人数のストレッチ教室に参加してみる
- 簡単な筋トレやバランス運動を取り入れてみる
こうした行動は、「普段あまり使っていなかった筋肉」や「バランス感覚」を呼び起こすような役割を果たしてくれることがあります。厚生労働省がまとめている身体活動のガイドラインでは、身体活動量が多い人は、循環器病や糖尿病、認知症などのリスクが低いという報告があると紹介されています。身体活動による疾患等の発症予防・改善のメカニズムも参考にしてみてください。
もちろん、持病のある方は、急にきつい運動を始めるのではなく、主治医と相談しながら、安全な範囲で少しずつ体を動かしていくことが大切です。「昨日より5分多く歩いてみる」「今日はエレベーターではなく一階分だけ階段を使ってみる」など、日常の延長線上にある小さな挑戦でも、体にとっては立派な変化です。
③ 心が前向きになり、人とのつながりも変わる
新しいことに挑戦している人の表情って、どこか生き生きして見えませんか? これは気のせいではなく、実際に「やってみよう」という気持ちが、心の張り合いや生きがい感につながっているように感じます。
内閣府では「エイジレス・ライフ実践事例」として、年齢にとらわれず自分らしく活動している高齢者の取り組みを毎年紹介しています。編み物を続けて作品を寄付している方や、地域の子どもたちにスポーツや文化活動を教えている方など、「挑戦し続ける姿」がたくさん掲載されています。内閣府「エイジレス・ライフ実践事例」も、人生後半の過ごし方のヒントになるかもしれません。
新しい挑戦は、
- 同じ趣味を持つ仲間との出会い
- 世代を超えた交流
- 「ありがとう」「助かったよ」と言われる経験
など、心の栄養になる場面を増やしてくれます。こうした社会参加や人とのつながりも、健康寿命を支える大事な要素の一つと考えられています。
人生後半から始める「新しい挑戦」の選び方
自分の体調と相談しながら、ちょうど良いサイズを探す
「挑戦」と聞くと、ついハードルの高いことを想像しがちですが、健康寿命という視点で大事なのは、「続けられる範囲で、ちょっとだけ新しいことを足してみる」くらいの感覚です。
例えば、次のようなチェックをしてみるのも一つです。
- 持病はあるか(高血圧、糖尿病、心臓病など)
- 最近、息切れしやすい・転びやすいと感じるか
- 日々の生活でどのくらい歩いているか
気になる点がある場合は、いきなり運動量を増やすのではなく、まずは主治医やかかりつけ医に相談して、「どのくらいの強さなら安心して動かせそうか」を一緒に確認してもらうと安心です。
国や自治体も、介護予防や健康づくりの取り組みを強化していて、地域の「通いの場」や体操教室などを通じて、無理のない範囲での運動や交流を支える仕組みづくりを進めています。厚生労働省「介護予防」のページも、背景を知るうえで参考になると思います。
趣味・学びタイプの「新しいチャレンジ」例
体力に自信がない方や、まずは脳への刺激から始めたい方には、「趣味・学びタイプ」のチャレンジがおすすめです。例えば、
- これまで読んでこなかったジャンルの本を読んでみる
- 歴史・美術・科学などのオンライン講座に参加してみる
- スマホやパソコンの新しい機能を覚える(写真編集・動画作成など)
- 簡単な語学学習アプリで、1日5分だけ新しい単語に触れてみる
- 手芸・絵画・陶芸・書道など、手先を使う趣味を始めてみる
これらは、激しい運動ではありませんが、「考える」「覚える」「手先を動かす」「作品を完成させる」といった要素が含まれていて、脳や心に良い刺激を与えてくれます。さらに、作品展や発表会に参加するようになると、社会とのつながりも広がっていきます。
運動・体の「新しいチャレンジ」例
体を動かす挑戦も、必ずしも「きつい筋トレ」や「長距離ランニング」である必要はありません。健康寿命の視点で見ると、「無理なく続けられる活動」を増やしていくことが大事になってきます。
例えば、
- いつものウォーキングコースに、公園の階段を1往復だけ加えてみる
- テレビを見ながら、座ったままでできる体操を1つ覚えてみる
- 地域の健康体操教室や太極拳・ヨガの体験会に参加してみる
- 通勤や買い物のとき、一駅分だけ歩いてみる
- 家の中で、椅子を使ったスクワットやかかと上げ運動を数回だけ取り入れてみる
最初から完璧を目指す必要はありません。「今日は5分だけ」「今週は週に1回だけ」でも、続けているうちに、それが自然な日常になっていくことがあります。
仕事や役割としての「新しいチャレンジ」
人生後半では、「仕事」も大きく変化します。定年退職や部署異動などをきっかけに、「自分にはもう役割がないのかな」と感じてしまう方もいるかもしれません。しかし、視点を変えると、ここにもたくさんの新しいチャレンジの種が転がっています。
例えば、
- これまでの仕事の経験を活かして、地域の講座や相談員として手伝う
- パートタイムや短時間勤務で、新しい業種に挑戦してみる
- ボランティアとして、子ども食堂や学習支援、地域イベントに関わってみる
- 家族や近所の人のサポート役として、買い物や送迎を手伝ってみる
「誰かの役に立っている」という感覚は、心の張り合いにつながりやすく、健康寿命の観点からも大切にされている要素の一つです。内閣府の「エイジレス・ライフ実践事例」でも、仕事やボランティアを通じて生き生きと活動している方の姿が多く紹介されています。
がんばりすぎない「挑戦」の続け方
1〜2割だけ「いつもと違う」を足してみる
新しい挑戦というと、「大きく人生を変えなければ」と感じてしまうことがありますが、健康寿命を意識するなら、むしろ「1〜2割だけ変える」くらいがちょうど良いことが多いです。
例えば、
- いつもの散歩に、1回だけ坂道を足してみる
- 毎日の晩酌を週に1日だけノンアルコールにしてみる
- 週に1回、新しいレシピで野菜料理を作ってみる
- 月に1回だけ、行ったことのない場所へ出かけてみる
このような「小さな変化」でも、続けていると確実に習慣の景色が変わってきます。体は急な変化よりも、じわじわ続く変化の方が受け入れやすいと言われていますから、「無理なく続けられるかどうか」を大事にしてみてください。
失敗や中断も「経験の一部」として扱う
挑戦には、必ず「続かない時期」や「失敗したように感じる瞬間」がつきものです。私も、何度も運動習慣を途切れさせてきたタイプなので、この気持ちはよくわかります。
ただ、健康寿命を意識したとき、失敗や中断も「ぜんぶ含めて人生の経験」と考えた方が、長く続けやすくなります。
- 三日坊主になっても、「三日できた」という事実は残る
- 体調を崩して中断したら、「体の声を聞けた」と捉え直す
- 合わなかった趣味があれば、「自分に合うものが一つ絞れた」と考える
こうした「ゆるいものさし」を持っていると、新しい挑戦に対するハードルがぐっと下がります。「また始めればいいか」と思えること自体が、人生後半には大きな強みです。
仲間と一緒に挑戦するとハードルが下がる
一人で新しいことを始めるのが不安な方は、「誰かと一緒に」挑戦することも検討してみてください。
- 夫婦で同じウォーキングコースを歩いてみる
- 友人と一緒に料理教室やスマホ講座に参加してみる
- オンラインコミュニティで同じ目標を持つ仲間を見つける
誰かがいると、「今日はやめておこうかな」という気持ちになったときも、あと一歩だけ踏み出しやすくなります。また、会話や笑いが増えること自体も、心の健康にとって大きなプラスです。
私自身の「新しい挑戦」がくれた変化
ここで少し、私自身の話もさせてください。
私は50代半ばで体重が大きく増え、高血圧の心配も抱えながら、「このままではいけないな」と感じていました。それでも最初は、「今さら体を変えるなんて無理だろう」「仕事も忙しいし」といった言い訳ばかりが頭に浮かんでいました。
そんな中で、思い切って飛び込んだのがライザップでした。食事の管理やトレーニングは決して楽ではありませんでしたが、「54歳からでも体は変わるかもしれない」という希望を持って、一つひとつ新しいことに挑戦していきました。
実際に、体重や体型が変わっていく中で、
- 階段の上り下りが楽になった
- 朝の目覚めが少し軽くなった
- 「自分にもまだできることがある」という気持ちが戻ってきた
こんな変化を味わうことができました。くわしい経過は、別の記事「ライザップ・高血圧オヤジ54歳の挑戦※減量期の全記録!」にまとめていますが、あの記事は私にとって「人生後半の大きな新しい挑戦の記録」です。
もちろん、誰もが同じ方法を選ぶ必要はありません。ただ、「人生の後半からでも、新しい挑戦はできる」「その挑戦が、健康寿命や心の若さにつながっていく可能性がある」ということは、身をもって感じています。
今日からできる「新しい挑戦」の見つけ方
「10分あったら何をしてみたいか」を考えてみる
大きな挑戦を探そうとすると、かえって何も思い浮かばなくなってしまうことがあります。そこでおすすめしたいのが、「10分あったら何をしてみたいか」という問いかけです。
例えば、
- 10分あったら、どんな本を読みたいか
- 10分あったら、どこまで散歩できるか
- 10分あったら、どんなストレッチならできそうか
- 10分あったら、誰にメッセージを送りたいか
このくらいのスケールだと、「ちょっとやってみようかな」という気持ちが起きやすくなります。こうして見つけた小さな行動が、やがて大きな習慣につながっていくことがあります。
「やってみたかったことリスト」を書き出してみる
もう一つの方法は、「やってみたかったことリスト」を紙に書き出してみることです。ポイントは、実現できるかどうかを考えずに、とにかく思いつくまま書くことです。
例えば、
- 若い頃にあこがれていた楽器を弾いてみたい
- 一度だけ乗ってみたい電車や船がある
- 行ったことのない近所の公園に行ってみたい
- 子どもや孫と一緒に何かをつくってみたい
- 写真や文章で、自分の記録を残してみたい
このリストから、「今の体力や生活リズムでもできそうなもの」「少し準備すれば挑戦できそうなもの」を選んで、月に1つだけでも実行してみると、日常の雰囲気が変わってきます。
健康寿命のための「マイルール」にしてみる
新しい挑戦を一時的なイベントで終わらせないために、「自分なりのマイルール」を作ってみるのもおすすめです。
例えば、
- 月に1つは、初めての場所に行ってみる
- 週に1回は、いつもと違うレシピで食事を作ってみる
- 毎日10分だけ、体を意識して動かす時間をつくる
- 3ヶ月に1回は、何か新しい講座や本に挑戦してみる
このマイルールは、完璧に守る必要はありません。守れなかった月があっても、「まあそういう月もある」と受け止めて、また次の月から再開していけば大丈夫です。大事なのは、「健康寿命を意識して生きる」という軸を、自分の中に持ち続けることです。
まとめ:新しい挑戦は「未来の自分へのプレゼント」
年齢を重ねると、「もう若くはないから」「今さら始めても遅い」といった言葉が頭に浮かびやすくなります。しかし、健康寿命という視点で見ると、新しい挑戦を始めるのに「遅すぎる」ということはないように感じています。
新しい挑戦は、
- 脳にとっての新しい刺激
- 体にとっての心地よい負荷
- 心にとってのワクワクや生きがい
をもたらしてくれる、小さなスイッチです。その積み重ねが、5年後・10年後の自分の姿を、少しずつ変えていきます。
私自身も、50代半ばからの挑戦で、体と心の両方に変化を感じてきました。この記事を読んでくださったあなたにも、「今からでも間に合う」「小さな一歩なら踏み出せそうだ」と思えるヒントが、ひとつでも見つかっていたらうれしいです。
健康寿命をのばすためのスタート地点は、「今日、ここから」です。大きな一歩でなくてかまいません。まずは、10分だけの小さな挑戦から、一緒に始めていきましょう。


