【健康寿命】「健康」よりも「快適」を目指す方が長続きする理由

ボディメイクや健康づくりの話をしていると、よく耳にするのが「健康のために、もっと頑張らないと…」という言葉です。けれど、がんばろうと思えば思うほど、力が入りすぎて続かなくなることもありますよね。
そこで今回は、「健康」よりも一段手前の、「快適」を目指す考え方についてお話しします。体が楽でいられる、気持ちがふっとゆるむ。そのレベルから始めたほうが、結果的に健康寿命(元気に動ける期間)が伸びやすいのではないか、という視点です。
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健康寿命と「快適さ」はつながっている
平均寿命より大事なのは「元気に動ける時間」
日本は世界でもトップクラスの長寿国だといわれていますが、その中身を見てみると、「生きている年数」と「元気に動ける年数」には差があるようです。国の調査では、男性・女性ともに、平均寿命よりも健康寿命のほうが何年か短いとされています。
この差の部分には、病気やケガ、体力低下などで「やりたいことが自由にできない期間」が含まれていると考えられています。寿命そのものを伸ばすこと以上に、「自由に動ける時間」をどう守るかが、人生後半の大きなテーマになってきました。
そして、この「自由に動ける時間」を支えてくれるのが、日々の小さな「快適さ」です。ぐっすり眠れる、朝の目覚めが少し楽になる、歩いていて息切れしにくくなる。そんな感覚が積み重なることで、元気に過ごせる年数も少しずつ変わっていくと考えられています。
「健康のために」は、抽象的で疲れやすい目標
「健康のために歩きましょう」「健康のためにお酒を減らしましょう」。よく聞くフレーズですが、よく考えるとかなり抽象的です。「健康」と言われても、目に見えるゴールがぼんやりしていて、途中で「もういいか」となりやすいんですよね。
さらに、「健康のために」という言葉には、どこか「こうしなければ」「やめなければ」という義務感や我慢のイメージがつきまといがちです。真面目な人ほど、完璧にやろうとして疲れてしまい、「続けられなかった自分」を責めてしまうこともあります。
そうなると、本来は自分を守るための健康習慣が、いつの間にかストレスのタネになってしまいます。これでは長続きしませんし、心の健康にもあまり優しくありません。
「快適さ」は今この瞬間の感覚だから続きやすい
一方で、「快適さ」はとても具体的です。
- 今より肩こりが少し楽になる
- 階段を上がったときの息切れが少し減る
- 夜中に目が覚める回数が減り、朝スッと起きられる
- イスに座っているとき、腰の重だるさがマシになる
どれも「今日」「今」の感覚として、自分で確かめられます。結果が少しでも楽しく、気持ちいい方向に出てくると、「明日もやってみようかな」と自然に思いやすくなります。
健康寿命を考えるうえで、「健康を守るために頑張る」より、「自分が快適でいられる状態を増やす」という視点に切り替えると、心も体もぐっと軽くなる感覚があるかもしれません。
「健康目標」が続かないよくあるパターン
①スタートラインがいきなり高すぎる
健康情報を見ていると、「週に○回以上の運動がよい」「1日○歩歩くとよい」など、目安となる数値がたくさん紹介されています。もちろん、指標としてとても参考になりますが、運動の習慣があまりない人が、いきなりそこを目指すと苦しく感じることも多いものです。
「1日1万歩」と聞くと、それだけでハードルが高く感じてしまい、「自分には無理だ」とあきらめてしまう方もいると思います。数値そのものよりも、「今の自分から少しだけ増やす」「昨日より数分長く歩く」といった、自分基準のスタートラインを決めたほうが、快適さを保ちやすくなります。
②「ガマン」と「禁止」で頭がいっぱいになる
ダイエットや生活習慣の見直しというと、「甘いものをやめる」「お酒をやめる」「夜食をやめる」など、「やめること」に意識が向きやすくなります。もちろん控えたほうがよいものもありますが、頭の中が「禁止リスト」でいっぱいになると、日常が窮屈に感じてしまいます。
ガマンが続くと、ある日ふと糸が切れたように暴飲暴食をしてしまったり、「もうどうでもいいや」と投げ出してしまったり。こうした反動は、とても人間らしい自然な反応です。ただ、行ったり来たりを何度も繰り返すと、心も体も疲れてしまいます。
③「三日坊主=失敗」と思い込んでしまう
最初はやる気満々で始めたのに、数日たつとペースダウンして、そのままやめてしまう。いわゆる「三日坊主」です。このとき、「自分は続けられないダメな人だ」と決めつけてしまうと、新しいチャレンジをする気力まで削られてしまいます。
じつは、三日坊主になるのは「自分に合った快適ライン」がまだ見つかっていないだけ、という見方もできます。やめてしまった経験も、「どこがしんどかったのか」「どこまでなら気持ちよく続けられそうか」を知る大事なヒントになります。
「快適ベース」に切り替えると、健康習慣はこう変わる
「正しさ」より「心地よさ」を優先してみる
健康情報を調べると、たくさんの「正しい方法」が出てきます。もちろん専門家の知見はとても大切ですが、それをそのまま自分の生活に当てはめようとすると、どこかに無理が出ることもあります。
そこで一度、「正しさ」より「心地よさ」を優先する視点を取り入れてみるのも一つの方法です。
- ウォーキングの時間より、「歩いたあとに体が軽く感じるか」を確認する
- ストレッチの回数より、「終わったあとに肩や腰がほっとするか」を味わう
- 食事のカロリー計算より、「食後に眠くなりすぎていないか」を観察する
どれも、自分の感覚を頼りに「快適さ」をチェックしていくやり方です。「なんだか気持ちいい」「楽になったかも」という感覚があると、人は自然とまた同じ行動をくり返すようになります。
自分にとっての「ちょうどいい負荷」を探す
運動や筋トレも、「これくらいなら心地よく続けられる」という負荷があります。きつすぎるとイヤになってしまいますし、楽すぎると物足りなさを感じるかもしれません。
たとえば、息が切れるほど走るのがつらければ、「会話ができるくらいの速さで少し長く歩く」「エレベーターの代わりに一駅分だけ階段を使ってみる」といった工夫があります。国の身体活動ガイドでも、息が弾む程度の中等度の活動を日常に取り入れることが、健康づくりに役立つとされています。数値だけを追いかけるのではなく、「自分にとって心地良い強さ」を大切にしてみるのも良さそうです。
「快適さ」を感じやすい環境から整える
習慣を変えるとき、「自分の意思の強さで何とかしよう」とすると、どうしても疲れてしまいます。快適ベースの考え方では、意思の力だけに頼るのではなく、環境そのものを快適にしておくことを重視します。
たとえば、寝室を整えてぐっすり眠れるようにすることも、その一つです。国産メーカーの寝具メーカーでも、快眠のためには、季節に応じた温度・湿度の調整や、自分の体に合ったマットレス選びが大切だと紹介されています。寝る場所が気持ちよく整っているだけで、「今日も早めにベッドに入ろうかな」という気持ちになりやすくなります。
今日からできる「快適ベース」の具体的な工夫
①動き方の工夫:座りっぱなしをやめて「こまめにほぐす」
長時間座りっぱなしの生活は、健康リスクと関連があると報告されていますが、だからといって「一気にスポーツを増やそう」とすると大変です。ここでも、まずは「快適さ」を基準に考えてみましょう。
- テレビCMの間だけ、立ち上がって肩まわしをする
- 電話をするときは、イスから立ち上がって歩きながら話す
- 1時間に一度、キッチンまで歩いてお茶を入れ直す
これくらいの「ちょこちょこ動き」でも、実際にやってみると、足のむくみが軽く感じられたり、眠気がスッキリしたりと、ささやかな快適さを感じることが多いです。運動というより「体をほぐす小さな儀式」として取り入れてみるイメージです。
②食べ方の工夫:数字より「お腹の声」を聞く
食事についても、「何キロカロリーに抑えるか」だけを考えると、ストレスになりやすいものです。快適ベースで考えるなら、もう少し自分の体感に寄り添ってみてもよさそうです。
- 「お腹がいっぱいになるまで」ではなく、「一番気持ちいいところ」で箸を置いてみる
- 揚げ物をゼロにするのではなく、「量を半分にして、その分サラダや汁物を足す」
- 甘いものを完全にやめるのではなく、「一番好きな一品を、ゆっくり味わって食べる」
食後に「体が重くないか」「胃もたれしないか」といった感覚を確かめていくと、自分にとっての「快適な食べ方」がだんだん見えてきます。これも立派な健康寿命対策です。
③休み方の工夫:寝室とイスを「自分の快適基地」にする
健康寿命を考えるうえで、睡眠はとても大切な要素だとされています。ただ、「早く寝なきゃ」「○時間眠らなきゃ」と義務のように考えると、かえって眠れなくなることもありますよね。
そこで、「早く寝る」より先に、「眠る場所を快適にする」ことから始めてみるのも良いと思います。
- 枕の高さを少し変えてみる
- パジャマの素材を、肌ざわりのよいものに変える
- 寝室の照明を、少し暗めであたたかい色にする
- お気に入りのブランケットを一枚足す
国産の寝具メーカーのコラムでも、寝室の温度・湿度を季節に合わせて整えたり、自分に合う寝具を選ぶことが、眠りの快適さにつながると紹介されています。難しいことをしなくても、「この部屋好きだな」「布団に入るのが楽しみだな」と感じられるだけで、体もリラックスしやすくなります。
④心の整え方:頑張りすぎない自分を許す
快適ベースの健康づくりでは、「今日はできなかった日」をどう受け止めるかも、とても大切です。毎日完璧に続けようとすると、ちょっとした中断で落ち込んでしまいますが、「また明日からぼちぼち再開すればいい」と考えられると、ずっと気が楽になります。
たとえば、今日は散歩に行く気分になれなかったとします。そんなときは、「その代わり、いつもより早めに湯船につかって体を温めよう」「今日はストレッチだけにして、早めに寝よう」といった具合に、別の快適ケアに切り替えるのも一つの方法です。
「やらなかった自分」を責めるより、「今日はこうやって自分をいたわった」と考えた方が、心にも体にも優しいですよね。
「快適ベース」で見る、私自身のボディメイク体験
最初は「健康のために」と力みすぎていた
私自身、ライザップでボディメイクを始めたころは、「健康のために痩せなければ」「数値を改善しなければ」と、かなり力んでいました。食事も運動も、「これくらいやらないと意味がない」と、自分に厳しいルールを課していた時期があります。
もちろん、そのおかげで体重が大きく減り、体調が楽になった面もあります。ただ、ずっと同じテンションで続けるのは難しく、「このペースで一生やるのは無理だな」と感じたのも正直なところです。
そうした経験は、ライザップ体験記としてもまとめているのですが、振り返ってみると、「健康」「数値」に意識が向きすぎていた時期ほど、心の余裕が少なかったように思います。
今は「快適でいられるペース」を大切にしている
現在は、若いころのようにストイックなトレーニングはしていません。その代わりに意識しているのが、「今日の自分にとって快適なペース」を優先することです。
- 体が重い日は、あえてトレーニングを休んで、ストレッチや散歩だけにする
- 外食が続いたあとは、「一日だけ胃を休めるメニュー」に切り替える
- 睡眠が足りていないと感じたら、朝の予定を少し軽くしてでも早めに寝る
こんなふうに、「健康のために無理を重ねる」のではなく、「快適に暮らせるライン」を守ることを意識するようになってからのほうが、長い目で見たときに体調が安定している感覚があります。
また、「快適さ」を軸に考えると、「どのくらい頑張ればいいか」ではなく、「どこで休めばいいか」にも目が向くようになります。これは、人生後半を元気に過ごすうえで、とても大切な視点だと感じています。
人生後半こそ、「快適ベース」で健康寿命を育てていく
40代〜70代は「体の声」が変わってくる時期
40代以降になると、「昔と同じように動いているつもりなのに、翌日の疲れ方がまったく違う」と感じる場面が増えてきます。徹夜明けでも平気だった若いころとは、体の声が変わってきているのだと思います。
この時期に大切なのは、「若いころの感覚のまま無理を続ける」のではなく、「今の体が心地よく感じるペースに、生活全体を合わせ直していく」ことではないでしょうか。仕事、家事、趣味、人付き合い。すべてを全力でこなそうとすると、どうしてもどこかで無理が出てきます。
「ここは少し人に頼ろう」「ここは時間を短くしよう」「ここだけは大切に続けよう」と、優先順位をつけていく。そんな調整もまた、「快適ベースの健康寿命づくり」の一部だと感じています。
「元気に動ける時間」を増やす小さな工夫
健康寿命を伸ばすというと、何か大きな決意や劇的な改革が必要に思えるかもしれません。でも実際には、次のような小さな工夫の積み重ねが、毎日の快適さを支えてくれるように思います。
- 朝起きたら、カーテンを開けて深呼吸を一回する
- 移動のとき、エスカレーターの代わりに一駅分だけ階段を使ってみる
- 気の合う人と、月に一度はお茶をする時間をつくる
- 週に一度、「早く寝る日」を決めてしまう
- 気持ちが落ち込みがちなときは、好きな音楽や景色で気分転換する
どれも、「健康のために頑張る」というより、「自分が楽でいられる時間を少し増やす」ための工夫です。こうした小さな積み重ねが、結果として、将来の自分の体を守ることにつながっていくのではないかと感じています。
まとめ:「健康第一」より「快適第一」で、今を大切に生きる
今回は、「健康」よりも「快適」を目指すほうが長続きしやすい理由について、私自身の体験もまじえながらお話ししました。
- 「健康のために」という抽象的な目標より、「今の自分が楽でいられる感覚」を目安にする
- 数字や正しさだけにとらわれすぎず、「ちょうどいい負荷」「ちょうどいい量」を探していく
- 意思の力に頼るのではなく、寝室やイスなど、日常の環境そのものを快適に整える
- できない日があっても責めず、「別の形で自分をいたわる日」として受け止める
人生100年時代と言われる今、「どれだけ長く生きるか」以上に、「どれだけ快適に、自分らしく動ける時間を持てるか」が大切になってきました。健康寿命を守ることは、未来のためだけでなく、「今日を心地よく過ごす工夫」そのものでもあります。
がんばる気持ちが湧いてこない日も、「せめて今日は、自分が少し楽になれることを一つだけやってみよう」。そんなゆるやかなスタンスで、快適ベースの健康づくりを一緒に続けていけたらうれしいです。

