「体にいいものを選んでいるつもりなのに、なぜかお腹まわりがすっきりしない…。」
そんなモヤモヤを感じたことはありませんか。
野菜たっぷりのサラダ、オリーブオイル、ナッツ、ヨーグルト、プロテイン…。
どれも健康によさそうですが、「良さそうだから」とどんどん足していくと、いつの間にかカロリーも胃腸への負担もオーバーしてしまうことがあります。
この記事では、60代で33キロのダイエットに成功し、その後も健康寿命を意識して体づくりを続けている私・和久井朗が、
「健康のために食べすぎている」人が陥りやすいワナと、“引き算”の視点で食事を整えるコツをまとめます。
難しい栄養学の話ではなく、40〜70代の私たちが「今日からちょっと変えられる」ヒントとして読んでいただけたらうれしいです。
目次(表示させると見出しが見られますよ!)
「健康のために食べすぎている」ってどういう状態?
まずは、「健康のため」が食べすぎにつながっているパターンを、イメージしやすく整理してみます。
健康食材を“盛りすぎて”しまう
最近人気のあるのが、次のような組み合わせです。
- 大きなボウルに山盛りのサラダ+オリーブオイルたっぷり
- 間食をクッキーからナッツに変えたが、つい一袋全部食べてしまう
- 朝食にヨーグルト、バナナ、グラノーラ、はちみつ、プロテインまで全部のせる
ひとつひとつは「体によさそう」でも、量が増えればエネルギー(カロリー)はそれだけ積み重なります。
しかも、胃腸が処理する「仕事量」も増えるので、食後の眠気やだるさにつながることもあります。
「ヘルシーだから大丈夫」がブレーキを外してしまう
もう一つのよくあるパターンは、「普通のお菓子よりはマシだよね」という気持ちから、食べる量のブレーキが外れてしまうことです。
- 砂糖ゼロ、糖質オフのスイーツなら2〜3個食べても平気だと思ってしまう
- ノンアルコール・ゼロカロリー飲料を、安心して何本も飲んでしまう
- 「身体に良さそうなスムージー」を、食事とは別に毎日プラスしている
「健康的に見える」食品は、私たちの罪悪感をやわらげてくれる反面、量の感覚を鈍らせることもあります。
「足し算」だけで考えると、体が追いつかない
サプリメントやプロテイン、機能性表示食品など、健康に役立つ選択肢は年々増えています。
ただ、それらを全部足していく発想だけだと、
- 食事の総量が増える
- 胃腸が休まる時間が減る
- 「お腹が空く感覚」が分かりにくくなる
といった状態になり、結果的に「なんとなくいつも食べている」ことになりやすいようです。
ここからは、国や公的機関が出している情報も参考にしながら、「適量」をどう考えるかを整理してみます。
公的なガイドラインから見る「適量」の考え方
「日本人の食事摂取基準」は“健康に暮らすための量の目安”
厚生労働省が作成している「日本人の食事摂取基準」は、
健康な人が生活習慣病を予防しながら日常生活を送るために、エネルギーや栄養素をどれくらい摂るとよいかの目安を示したものです。
年齢・性別・身体活動レベルごとにエネルギーやたんぱく質などの推奨量が示されており、
個人というよりは「集団の健康状態」を見るときの指標として活用されているようです。
(くわしくは厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)なども参考になります)
ここで大事なのは、「多ければ多いほどいい」という発想ではないという点です。
不足も過剰もどちらも避けながら、「ちょうどよいゾーン」を目指すための考え方だと受け止めると分かりやすいと思います。
「食事バランスガイド」は“何をどれだけ”をざっくりつかむ道具
農林水産省と厚生労働省が共同で作成した「食事バランスガイド」では、
コマのイラストで一日に「何を」「どれだけ」食べるとバランスがとりやすいかが示されています。
特徴的なのは、食材ではなく“料理の組み合わせ”で考える点です。
- 上から「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5グループ
- 水やお茶はコマの軸、菓子や嗜好飲料はコマを回す“ひも”として描かれている
- 年齢や活動量に合わせて、コマの「目盛り(量)」を調整できる
細かい栄養素を覚えなくても、「主食だけ多すぎないかな?」「副菜(野菜)は足りているかな?」と、ざっくり俯瞰するのに便利なツールです。
「食生活指針」が教えてくれる“やりすぎない”視点
また、食生活全体の考え方として、「食生活指針」も示されています。
ここでは、
- 主食・主菜・副菜を基本に食事のバランスをとること
- 夜食や間食をとりすぎないようにすること
- 適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重を維持すること
などが挙げられています。
数字よりも、「とりすぎない」「偏らない」といった方向性が大事にされているのが印象的です。
こうした公的な資料をながめていると、やはり共通しているのは
「健康のためにあれもこれも足す」より、「暮らしに合った適量で続ける」ことだと感じます。
ヘルシー食材でも“足し算しすぎ”で起こりがちなこと
1. カロリーの積み重ねで、じわじわ体重が増える
ナッツ、アボカド、オリーブオイル、チーズ…。
どれも体によい栄養素を含みますが、同時にエネルギー密度(少量でもカロリーが高い)という特徴もあります。
例えば、
- 「サラダにちょっとだけ」と毎食オリーブオイルを多めにかけている
- ナッツを「一握りだけ」のつもりが、つい2〜3回に分けてつまんでしまう
- ヨーグルトにナッツとドライフルーツ、はちみつを足していく
これらをトータルで見ると、一日で数百kcal分の“プラス”になっていることも珍しくありません。
運動量があまり変わらない場合、その積み重ねが「じわじわ増量」につながっていくと考えられます。
2. 胃腸が休まらず、内臓の疲れにつながることも
量が多くなると、胃腸は消化・吸収のためにフル稼働します。
私自身、かつては「朝からヘルシービュッフェを元を取るつもりで食べる」タイプでしたが、
お昼前にはすでにどっと疲れて、午後の仕事の集中力が落ちることがよくありました。
「どれだけ噛むか」や「どのくらいの速さで食べるか」は、体型や肥満度とも関係があるとする報告もあります。
国立保健医療科学院の資料では、
「早食い」や「お腹いっぱい食べる」習慣のある人ほどBMI(体格指数)が高い傾向があることが示されています(詳細はそしゃくと肥満に関する報告などを参照)。
「健康によいものだから」と油断してつい食べすぎると、
胃腸だけでなく、血糖値や血流、眠気などにも影響し、一日の「元気に動ける時間」を削ってしまうこともあるのだと思います。
3. 「タンパク質なら多いほどいい」という思い込み
中高年になると、筋肉量の低下が気になり、「タンパク質をしっかりとらなきゃ」と意識する方も多いのではないでしょうか。
もちろん、必要な量のタンパク質をとることは、筋肉や体力の維持にとても大切です。
一方で、厚生労働省の「身体活動とエネルギー・栄養素について」では、
タンパク質は「多ければ多いほど筋肉が増える」というものではなく、身体活動量に応じた適量が重要だとされています(参考:身体活動とエネルギー・栄養素について)。
食事とは別にプロテイン飲料やバーをいくつもプラスしていくと、
エネルギーだけが余って体脂肪として蓄えられてしまう可能性もあります。
このあたりは、筋トレで大きく絞った私自身も、
「タンパク質を足す前に、まず全体の量やバランスを整える」ことの大切さを実感しているところです。
食べすぎチェック:「量」だけでなく「食べ方」も見直す
1. 早食い・ながら食べは、満腹のサインを聞き取りにくくする
私たちの脳がお腹の満足感を感じるまでには、どうしても少し時間がかかります。
テレビを見ながら、スマホを触りながら、会話に夢中になりながら食べていると、
- 「今どれくらい食べたか」を意識しづらい
- 満腹サインが出る前に次々口に運んでしまう
といった状態になりやすいようです。
先ほど触れた国立保健医療科学院の報告でも、
「早食い」や「お腹いっぱい食べる」習慣は、肥満との関連が指摘されています。
「ゆっくりよく噛む」というシンプルな工夫が、実は大事な食べ方の“引き算”なのかもしれません。
2. 「お腹が苦しい」を基準にしない
私たちはつい、
- ベルトをゆるめたくなるくらい食べたら「満足」
- 「せっかく作ったから」「残すのはもったいない」と完食する
という基準で量を決めてしまいがちです。
ですが、健康寿命を考えるときは、
「食後2時間の自分がどんな状態か」を基準にするのも一つの方法だと思います。
- 眠くて動きたくなくなるほど苦しい
- 逆に、少し体を動かしたくなるくらいの軽さ
後者のほうが、その日の「元気に動ける時間」は確実に長くなります。
同じメニューでも、「腹八分目くらいかな?」というところで一度箸を止めてみるだけでも、体感は変わってきます。
3. 数日だけ「間食と飲み物ログ」をつけてみる
厳密なカロリー計算まではしなくて大丈夫です。
ただ、数日間だけでも、
- 口に入れたものをメモ帳やスマホに書き出す
- 特に「間食」と「飲み物」を別枠で記録してみる
これだけで、「健康のため」と思っていたものが、思った以上に回数・量ともに多かった、という気づきが得られやすくなります。
私自身も、ダイエット初期は「夕方のつまみぐい」が想像以上の量だったことに驚きました。
その経験から、「必要なエネルギーは、食事の時間にしっかりとる。間食は“お楽しみ枠”として量を決める」という意識に変わっていきました。
“引き算”の視点で食生活を整える3つのステップ
ステップ1:一日の“山盛りポイント”をひとつだけ減らしてみる
いきなり全部を変えようとすると、ストレスも大きくなります。
まずは、
- 夕食の白いごはんをいつもより軽めにしてみる
- サラダにかける油の量を、いつもの半分にしてみる
- ナッツの袋をそのまま食べず、小皿に出した分だけにする
など、「山盛りになっているところを1か所だけ整える」イメージから始めると続けやすくなります。
ステップ2:足すのではなく「置き換える」
単に減らすだけだと、「我慢している感」が強くなってしまいます。
そこでおすすめなのが、
- 甘いお菓子を、ヨーグルト+少量のフルーツに置き換える
- 揚げ物のおかずを、焼き魚や蒸し料理に置き換える
- 夜のアルコールのうち1杯を、炭酸水やお茶に置き換える
という置き換えの発想です。
私はダイエット時代、夕方にどうしてもお腹が空いてしまう時間帯がありました。
そのときに、クッキーや菓子パンをやめて、ゆで卵やチーズ、ナッツなどに置き換えるだけでも、
血糖値の乱高下が落ち着き、夜のドカ食いが減っていきました。
夕方の間食の整え方については、別記事の
【保存版】間食が止まらない人へ|RIZAP式“置き換えテンプレ”で夕方の爆食を止める
でも、私自身の具体的な工夫をまとめていますので、よかったら参考にしてみてください。
ステップ3:週に1回「胃腸の定休日」をイメージする
毎日3食+間食をしっかりとる生活が続くと、内臓がフル回転になりがちです。
そこで、
- 週に1回だけ、夕食の量をいつもの7〜8割にする
- 揚げ物やこってりした料理を、その日は選ばない
- よく噛んで、ゆっくり味わうことを意識する
といった「胃腸の定休日」のような日を作るのも一つの方法です。
断食のような極端な方法ではなく、
「体にかかる負担を一段階ゆるめる日」と考えると、メンタル的にも取り入れやすいと思います。
食べる楽しみを減らさずに“量だけ”を整えるコツ
1. お皿と盛り付けで「見た目の満足感」を上げる
人間は、視覚からの情報でもかなり「満足度」が変わります。
- 少し小さめのお皿に、こんもりと盛り付ける
- 彩りを意識して、野菜の色を増やす
- よく噛みごたえのある食材(根菜、きのこ、海藻など)をプラスする
これだけでも、「量は控えめなのに、しっかり食べた気がする」という感覚を得やすくなります。
2. 香り・温度・歯ごたえで「満足のスイッチ」を入れる
よく噛んで食べることは、満腹感だけでなく、食事の満足度を高めるという意味でも大切だとされています。
先ほど紹介した報告でも、「ゆっくりよく噛む」という行動が、食習慣の見直しに役立つことが述べられています。
具体的には、
- 一口ごとに箸を置き、3回深呼吸してから次を口に運ぶ
- 香りのよいハーブや薬味、だしの香りを楽しみながら食べる
- 温かい汁物を一品足し、「ほっとする感覚」を味わう
といった工夫をするだけでも、
「もっと、もっと」と追いかける食べ方から、「今の一口を味わう」食べ方へと変わっていきます。
年代別・よくある「健康のための食べすぎ」パターン
40代:筋トレ×プロテインで“追い込みすぎる”
40代は、仕事も家庭も忙しく、運動時間を捻出するだけでも一苦労な年代です。
その中で、「せっかく筋トレをするなら成果を出したい」と、プロテインやサプリメントをたくさん取り入れる方も多い印象があります。
ただ、運動量以上にエネルギーやタンパク質だけが増えてしまうと、体重が増える原因にもなります。
まずは、
- 一日に飲むプロテインの回数を決める
- 「食事でタンパク質をとる日」と「プロテインに頼る日」を分ける
- トレーニングがない日は、いつもより少し軽めの夕食にする
といった「引き算」を意識すると、長い目で見たときに体が楽になります。
50代:健康スイーツ・ノンアル飲料を“安心して”とりすぎる
50代になると、健康診断の数値が気になり始める方も多い時期です。
「血糖値が気になるから低糖質スイーツに変えた」「アルコールを控えてノンアルビールにした」など、工夫されている方も多いでしょう。
ここで意外な落とし穴になるのが、
- 「普通のお菓子よりはマシ」と思って量が増える
- ノンアル飲料なら大丈夫だと思い、夜に何本も飲んでしまう
というパターンです。
ラベルに「カロリーゼロ」と書かれていても、
味の濃い飲み物やスイーツが続くと、味覚が濃い味に慣れてしまうこともあります。
水やお茶、薄味のスープなど、「リセットしてくれる飲み物」を間に挟む意識も大切です。
60〜70代:果物・ヨーグルト・健康茶を“重ねすぎる”
60〜70代になると、胃腸の働きや噛む力も少しずつ変化してきます。
そのなかで、
- 朝・昼・夜と、毎食後にたっぷりの果物とヨーグルト
- 一日中、健康茶や青汁を少しずつ飲み続けている
- サプリメントを「念のため」いくつも併用している
という方も少なくありません。
果物やヨーグルト自体は良い食品ですが、
糖質やエネルギーも含まれるため、量や回数が増えると体重増加につながる可能性もあります。
胃腸が疲れやすくなっている年代ほど、
- 果物は1日で手のひら2つ分くらいを目安にしてみる
- ヨーグルトは「一日に1回」を基本にする
- 健康茶は「食事のときの飲み物」として楽しむ
など、体調に合わせた「ほどほどライン」を探していけると安心です。
「健康のために食べる」を“体との対話”に変えていく
ここまで、「健康的なつもりの食事」が食べすぎにつながるワナと、
その引き算の仕方を見てきました。
最後に、私自身がいま大事にしている視点をひとつだけお伝えします。
それは、「健康情報よりも、自分の体の声を優先する」ということです。
- その食事のあと、体は軽いか、重いか
- 翌朝の目覚めはどうか
- 便通や肌の調子はどうか
こうした体からのサインを、
「情報どおりに食べられているか」ではなく、
「自分の体がどう感じているか」を確かめる時間にしていくと、自然と引き算がしやすくなります。
国が出している基準やガイドラインは、あくまで“地図”。
実際に歩くのは、あなた自身の人生の道のりです。
足し算ばかりの健康法から一歩離れて、
「今日はここを少しだけ減らしてみよう」という優しい引き算を重ねていくことが、
これからの健康寿命を伸ばす、現実的で続けやすい方法だと感じています。
まとめ:「健康のため」の食事を、引き算上手に育てていこう
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 「健康に良さそうな食品」でも、足し算しすぎるとカロリーや胃腸の負担が増える
- 公的なガイドラインは、「多ければ多いほどいい」ではなく「不足も過剰も避ける」ための目安
- 早食い・ながら食べは、満腹サインを感じにくくし、食べすぎにつながりやすい
- まずは一日の“山盛りポイント”をひとつだけ減らすところから始めてみる
- 「減らす」だけでなく、「置き換える」「胃腸の定休日を作る」といった工夫も有効
- 40〜70代それぞれのライフスタイルに合った、無理のない引き算を考えていくことが大切
健康寿命とは、「何歳まで生きられるか」より、
「何歳まで元気に動けるか」を考える指標です。
そのためにも、「健康のため」とがんばりすぎて食べすぎるのではなく、
体と対話しながら、心地よい適量を探していきたいですね。
この記事が、あなたの食生活の“引き算のヒント”になれば幸いです。


