健康寿命を本気で考えるなら無理な糖質制限は卒業!

ここ数年、「白いご飯はNG」「パンも麺もできるだけカット」という、かなりストイックな糖質制限が流行してきました。実際、短期間で体重がストンと落ちた経験がある方も多いかもしれません。
ただ、40代・50代・60代と年齢を重ねてくると、「体重が落ちればそれでOK」というよりも、「どれだけ長く、自分の足で元気に動けるか=健康寿命」が大事なテーマになってきます。
その視点で改めて見てみると、無理を重ねた糖質制限は、体重は減っても、筋力・体力・気力をすり減らしてしまうことがあるように感じています。しかも、食事が楽しめなくなると、人生全体の満足度まで下がりやすくなります。
この記事では、「糖質は悪者」と決めつけるのではなく、健康寿命を伸ばすために、どんな付き合い方が現実的なのかを、人生後半の視点から一緒に整理していきます。
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そもそも糖質は“悪者”じゃない ─ 体にとっての役割
まず、基本のおさらいからいきますね。ご飯やパン、麺、いも類などに多く含まれる「炭水化物(糖質)」は、身体にとって大事なエネルギー源とされています。厚生労働省の情報でも、たんぱく質・脂質と並ぶ主要なエネルギー源として紹介されています。
特に中高年世代にとっては、
- 動くためのエネルギーをつくる
- 脳を働かせるための燃料になる
- たんぱく質をエネルギーとして浪費させないクッション役をする
などの役割があると考えられています。つまり、糖質をゼロに近づけるほど「健康的」になる…という単純な話ではない、ということです。
もちろん、現代の食生活では「とり過ぎ」になりやすいので、適度に整える意識は大切です。でも、「ご飯=毒」「パン=悪」という極端なイメージは、健康寿命という長い目で見ると、少し距離を置いて眺めてみてもよさそうです。
健康寿命と相性がよくない「無理な糖質制限」パターン
では、どんな糖質制限が「無理なタイプ」になりやすいのでしょうか。ここでは、実際に見聞きすることが多いパターンを、健康寿命の視点で整理してみます。
1. 主食ほぼゼロ生活で、エネルギー切れ気味になる
「ご飯もパンもほとんど食べない」「代わりにおかずだけを山盛り」というスタイルは、最初のうちは体重がストンと落ちて達成感があります。ただ、
- 午後になると頭がボーッとする
- 少し階段を上がるだけでどっと疲れる
- トレーニングやウォーキングのやる気が出にくくなる
といった「エネルギー不足のサイン」が出てくることもあります。動くための燃料が足りないと、せっかくの運動習慣も続きにくくなり、結果として健康寿命にブレーキがかかる可能性があります。
2. たんぱく質や野菜が不足し、筋肉とコンディションに影響
ストイックな糖質制限では、つい「カロリーを減らす」ことに気持ちが向いてしまい、たんぱく質や野菜まで一緒に減ってしまうケースもあります。
例えば、
- 朝はコーヒーだけ
- 昼はサラダチキン1個
- 夜は少量の肉と野菜だけ
といった極端なスタイルが続くと、筋肉量が減りやすくなり、体力・代謝・姿勢などに影響が出ることがあると言われています。筋肉は健康寿命の土台。ここが削られてしまうと、「痩せたのに疲れやすい」「膝や腰がつらい」という状況になりやすくなります。
3. 食事の楽しみが消えて、ストレスからのドカ食いリスク
「これは糖質だからダメ」「あれもダメ」と禁止リストが増えていくと、食事の楽しさがどんどん失われていきます。家族や友人との食事でも、自分だけ別メニューを用意したり、外食のたびにメニュー表とにらめっこになったり…。
その状態が長く続くと、
- ストレスが溜まって、ある日ドカ食いしてしまう
- 「どうせ自分は続かない」と自己嫌悪になり、チャレンジ自体が嫌になる
といった、心の面での疲れも大きくなりやすいです。健康寿命を伸ばすうえで、「心の元気」もかなり重要な要素なので、ここは見逃せないポイントです。
「卒業」したいのは、極端な糖質制限。目指すのは“ゆるバランス食”
では、健康寿命を考えたとき、どんな食べ方にシフトしていくと安心感が増しそうでしょうか。キーワードは、「主食をゼロにしない」「全体のバランスを見る」「我慢より調整」です。
主食を「減らしすぎない」考え方
まず、主食(ご飯・パン・麺など)を完全にカットするのではなく、「今より少し整える」くらいの感覚を目安にしてみます。
例えば、
- ご飯を「大盛り」から「普通盛り」にしてみる
- おかわりをやめて、その分野菜や汁物を増やしてみる
- 夜だけ主食をやや少なめにしてみる
といった小さな調整でも、トータルのエネルギー量は自然に落ち着いてきます。それでいて、必要なエネルギーはある程度確保できるので、日中の活動量やトレーニングの質も保ちやすくなります。
「何を減らすか」だけでなく「何を足すか」を考える
糖質の量を整えるとき、つい「減らす」ことばかりに意識が向きがちですが、「何を足すか」をセットで考えると、バランスが取りやすくなります。
例えば、
- 白いご飯の量を少し減らして、その分、納豆や豆腐、焼き魚などのたんぱく質を足す
- パンだけの朝ごはんに、ゆで卵やヨーグルト、サラダをプラスする
- 麺類だけの食事に、野菜たっぷりの副菜や具だくさんスープを足す
農林水産省と厚生労働省が示している「食事バランスガイド」でも、主食・主菜・副菜を組み合わせる食べ方が勧められています。こうした公的な情報もちらっと参考にしながら、「ご飯を減らした分、たんぱく質と野菜でお皿をにぎやかにする」というイメージを持ってみると、食卓がさみしくなりにくいです。
甘いもの・間食は“ゼロにしない”前提でルールを決める
「もう一生ケーキは食べません!」という宣言は、とてもストイックでかっこよく聞こえます。ただ、人生100年時代を考えると、現実的ではないかもしれません。
おすすめなのは、
- 回数でルールを決める(例:週2〜3回まで)
- 量でルールを決める(例:ケーキは1個まで、和菓子なら半分こする…など)
- 時間帯でルールを決める(例:夜遅くには食べない)
といった「自分なりのゆるいマイルール」を作ることです。これなら、楽しみを完全に手放さずに済みますし、「我慢しすぎて爆発」を防ぎやすくなります。
年代別・ライフスタイル別の“無理のないゆる糖質コントロール”
同じ40〜70代でも、仕事の状況や家族構成によって、取り組みやすい工夫は少しずつ変わります。ここでは、ライフスタイル別に、現実的なアイデアを整理してみます。
40〜50代:仕事が忙しい時期は「コンビニ・外食の選び方」から
働き盛り世代は、どうしてもコンビニ・外食・中食(お惣菜)に頼る場面が多くなります。その中でも、糖質を必要以上に減らしすぎず、全体のバランスを整えやすい選び方の例としては、
- 丼物だけでなく、サラダや汁物を一緒に選ぶ
- おにぎり+サラダチキン+野菜スープなど、「主食+主菜+副菜」のセットにする
- 麺類のときは、具だくさんスープやサイドメニューでたんぱく質と野菜を足す
といった組み合わせがあります。東京都などの自治体の情報でも、「主食・主菜・副菜の3つをそろえる」メニュー選びが大切とされています。外食中心でも、選び方次第でかなりバランスが変わってきます。
僕自身も、仕事で外食が続いた時期には、外食や飲み会が多いときの工夫をあれこれ試しながら、ゆるく整えてきました。完璧ではなくても「昨日よりちょっとマシ」を積み重ねるイメージでいくと、続けやすくなります。
60〜70代:量を減らしすぎず、「質と楽しさ」を意識する
セカンドライフ世代になると、「若いときほど食べられない」という変化も出てきます。そのときに、糖質もたんぱく質も一緒に減ってしまうと、筋力が落ちやすくなり、フレイル(虚弱)に近づきやすいと指摘されることもあります。
そこで意識したいのは、
- ご飯の量は“腹八分目”くらいを保ちつつ、たんぱく質をしっかり確保する
- やわらかく食べやすい調理法(煮る・蒸す・とろみをつけるなど)で、無理なく量を食べられるようにする
- 「一人で黙々と食べる」よりも、家族や友人との食事時間を増やし、食べる楽しさを取り戻す
といったポイントです。「ちょっとおいしいものをみんなでシェアしながら、ゆっくり味わう」時間は、栄養だけでなく、心の満足にもつながります。健康寿命という意味では、この「心の栄養」もかなり大きな役割を持っているように感じています。
糖質の“質”にもゆるく目を向けてみる
「量」だけでなく、「質」にも少し目を向けてみると、同じ糖質でも体の感じ方が変わることがあります。
精製されたものばかりに偏らない工夫
白いパン・白米・菓子パン・甘い飲み物など、精製された糖質が多いものは、どうしても血糖値が上がりやすいと言われます。一方で、
- 雑穀ご飯や玄米ご飯(体質に合う範囲で)
- 野菜や豆類、きのこ、海藻などの食物繊維が豊富な食材
- よく噛んで食べるスタイル
などを取り入れると、満足感が増えたり、食後の眠気がやわらいだりする方もいます。すべてを一気に変えるのではなく、「白米2回に1回は雑穀米にしてみる」「菓子パンを1つ減らして、その分おにぎり+おかずにしてみる」といった小さなトライからで十分です。
飲み物の“隠れ糖質”をゆるく見直す
意外と盲点になりやすいのが、ジュースや甘いカフェラテなどの飲み物です。食事をかなり我慢しているのに、飲み物から多くの糖質をとっているケースもあります。
ここも、
- 普段はお茶や水を基本にする
- 甘い飲み物は「楽しみの1杯」として、回数や量を決めておく
- 缶コーヒーを選ぶときは「無糖」や「微糖」を試してみる
といった“ゆるい整理”だけでも、かなり変化が出てきます。「我慢」ではなく、「今日はこれにしてみようかな」という選択の積み重ねとしてとらえると、気持ちもラクです。
「無理な糖質制限」を卒業するうえで大事な、心と人間関係の視点
健康寿命を考えるとき、食事内容だけでなく、心の状態や、人とのつながりも大切な要素になってきます。糖質制限から卒業するプロセスにも、この視点をぜひ混ぜてみてほしいなと思っています。
食卓は「栄養+コミュニケーション」の場
家族や友人と一緒に食べるご飯には、「栄養」だけでなく「会話」「笑い」「安心感」といった、目に見えない栄養がたくさん含まれています。これは、健康寿命を考えるうえで、かなり大きな宝物です。
その意味でも、「自分だけ別メニュー」「人が食べているものをずっと我慢して眺めている」という状況が長く続くと、心の負担が大きくなりがちです。
例えば、
- 家族と同じメニューを食べつつ、自分だけご飯を少なめによそぐ
- 外食のときは「前菜やサラダをシェアし、主食を少し減らす」くらいの調整にとどめる
- あえて「今日はお祝いだから、好きなものをおいしく食べる日」と決めて、次の日にちょっと調整する
といった“人との時間を大切にしながら、ゆるく整えるスタイル”を意識してみると、心の余裕も健康寿命も両立しやすくなります。
「できなかった日」も含めて、自分を責めすぎない
真面目な方ほど、「昨日ケーキを食べてしまった」「出されたご飯を全部食べてしまった」と、自分を責めてしまうことがあります。でも、長い人生で見れば、1日・2日の出来事はごく小さな揺らぎです。
大切なのは、
- 「ダメだ、自分は続かない」と投げ出さずに、また翌日からゆるっと戻る
- 完璧を目指しすぎず、「7割できていれば上出来」と考える
- 理想よりも「今の自分にとってリアルに続けられるかどうか」を優先する
という、ちょっとやさしめのマインドセットです。これは、食事だけでなく、運動や睡眠などの生活習慣にも共通する考え方だと思います。
僕自身も、糖質と付き合いながらボディメイクを続けてきた
ここまでかなり一般的な話をしてきましたが、僕自身もライザップで体づくりに取り組む中で、糖質との付き合い方にずいぶん悩んできました。
最初の頃は、「とにかくご飯を減らせば痩せるはず」と考えて、かなり極端なやり方を試したこともあります。でも、その結果として、
- トレーニング中に力が入らない
- 仕事中に頭がボーッとしてしまう
- 食事の時間が「我慢大会」のようになってしまう
といった状態になり、「これは長く続けるのは難しいな」と強く感じました。
そこからは、トレーナーさんと相談しながら、主食を完全には抜かず、量と質を調整するスタイルに少しずつシフトしていきました。自分の変化の記録は、
でも正直にまとめています。「糖質とどう向き合ってきたか」「どのくらいゆるくしても体重や体調が整っていったか」など、より具体的なイメージを持ちたい方は、こちらも参考になるかもしれません。
専門的な数値より、「自分の暮らしにフィットするか」を大事に
書店やインターネット上では、「糖質は1日○○グラムまで」「この比率がベスト」など、さまざまな情報が飛び交っています。ただ、健康寿命を考えるときにいちばん大切なのは、
- そのやり方を、半年・1年・それ以上と、ゆるやかに続けていけるかどうか
- 体重だけでなく、体力・筋力・気力が保たれているかどうか
- 食事がつらいものではなく、ほどよく楽しみになっているかどうか
といった、「暮らし全体との相性」だと思っています。
公的な情報(「日本人の食事摂取基準」や「食事バランスガイド」など)も、「これが唯一の正解」というより、自分の生活を振り返るための「ものさし」として眺めてみるのがおすすめです。
また、糖尿病や腎臓病など、持病や治療中の病気がある場合は、自己判断で大きく食事を変える前に、かかりつけ医や管理栄養士さんに相談することも大切です。この記事はあくまで一般的な考え方のご紹介として、ゆるく参考にしていただければうれしいです。
「無理な糖質制限」を卒業して、健康寿命をのばすためのゆるいヒントまとめ
最後に、この記事のポイントをコンパクトにまとめておきます。できそうなところから、ひとつずつ試してみてください。
- 糖質は悪者ではなく、大事なエネルギー源。ゼロに近づけるほど健康的になるとは限らない。
- 卒業したいのは「主食ほぼゼロ」「我慢だらけ」の極端な糖質制限。体力・筋力・心の元気を削ってしまうことがある。
- 主食はゼロにせず、「大盛りを普通盛りに」「おかわりを控える」などの小さな調整から。
- 「何を減らすか」だけでなく、「何を足すか」をセットで考える。ご飯を少し減らす代わりに、たんぱく質と野菜を増やすイメージ。
- 甘いもの・間食はゼロ宣言より、「回数」「量」「時間帯」でマイルールを決める。
- 40〜50代は、コンビニや外食で「主食+主菜+副菜」の組み合わせを意識。
- 60〜70代は、量を減らしすぎず、たんぱく質と食べやすさ、食事の楽しさを大事に。
- 食卓は「栄養+コミュニケーション」の場。人との時間を大切にしながら、ゆるく整える。
- できない日があっても、自分を責めすぎない。7割できていれば十分、というくらいの気持ちで。
- 専門的な数値より、「自分の暮らしにフィットするか」をいちばん大事にする。
健康寿命のゴールは、「何歳まで生きるか」よりも、「どれだけ長く、自分らしく動けるか」だと思っています。無理な糖質制限からゆるやかなバランス食にシフトして、体も心もラクに、長く付き合っていける食習慣を一緒に育てていきましょう。

