体調管理と健康寿命、毎日記録のすすめ

40代・50代・60代と年齢を重ねてくると、
- 「前より疲れやすくなった気がする」
- 「健康診断の結果がじわじわ悪くなってきた」
- 「このままの生活で大丈夫かな…」
そんなモヤモヤを抱える場面が増えてきますよね。かといって、いきなりハードな運動や厳しい食事制限を続けるのも、なかなか現実的ではありません。
そこでこの記事では、「体調を毎日ちょっと記録してみる」という、かなり地味だけれど健康寿命をじわじわ支えてくれる習慣についてお話しします。私自身もライザップでの減量期に、体重や食事、気分を記録し続けたことで気づけたことがたくさんありました。
難しい専門用語はできるだけ減らして、「今からでも間に合うゆるい記録の始め方」をお伝えしていきます。
目次(表示させると見出しが見られますよ!)
なぜ「体調の記録」が健康寿命につながるのか
「なんとなく元気」は意外とあてにならない
私たちはふだん、「今日はまあまあ元気」「最近ちょっとだるい」など、感覚で体調を判断しがちです。ただ、その感覚はその日の気分や天気、仕事の忙しさなどにけっこう左右されます。
一方で、
- 前日比の体重
- 血圧や脈拍
- 睡眠時間や歩数
- 「今日は肩こり強め」「気分は6点/10点」などのひとことメモ
こうしたものを軽くメモしておくと、「自分の調子の波」が見えるようになってきます。
たとえば、仕事が立て込む時期になると決まって睡眠時間が短くなり、数日おくれて風邪をひきやすい…といったパターンに気づけるようになります。これは、健康寿命(元気に動ける時間)を守るうえで、とても大きなヒントになります。
小さな変化に早く気づきやすくなる
生活習慣病などの多くは、初期のうちはほとんど自覚症状がないと言われています。何となく放っておくと、ある日突然ドンと悪化してから気づく、というパターンも珍しくありません。
一方、毎日まではいかなくても、
- 血圧を朝晩測ってメモしておく
- 体重をざっくりチェックしておく
- 「いつもよりむくむ日が増えた」など気づきを書いておく
こうした記録があると、「ここ数週間、じわじわ数値が変わってきているぞ」という小さなサインを拾いやすくなります。もちろん、数字だけで病気かどうかを判断することはできませんが、「早めにかかりつけ医に相談してみよう」というきっかけにはなります。
医療機関との会話がラクになる
病院やクリニックに行ったときに、医師から
- 「いつ頃から症状が出ていますか?」
- 「普段の血圧や体重の変化はどうですか?」
と聞かれて、「うーん…なんとなく半年前くらいから?」と曖昧に答えた経験はありませんか。
そんなとき、スマホや手帳を見ながら
- 「3か月前から朝の血圧が少し高めなんです」
- 「この1か月で体重が2キロ増えていて…」
と具体的に伝えられると、診察もスムーズになりやすいです。医療行為そのものはお医者さんや専門家の役割ですが、日々の記録は「自分の体の専門家」になるための情報集め、といったイメージに近いかもしれません。
今日から始められる、体調記録の基本セット
「記録」と聞くと、
- 細かく書かなきゃいけない
- 几帳面じゃないと続かなさそう
と感じる方も多いと思います。ここでは、あまり頑張らなくても続きやすい「最低限これくらいでOK」というラインを紹介しますね。
毎日つけたい3つの項目
まずは、次の3つだけでも十分です。
- 朝または夜の体重
- 血圧(測っている人だけでOK)
- その日の体調をひと言で
体重は、同じ時間帯・同じ服装で測ると変化が分かりやすくなります。「増えた/減った」に一喜一憂するのではなく、「この1週間は横ばいだな」くらいのゆるい目線で見ておくと、心も楽です。
血圧を測っている方は、朝晩どちらか一方だけでも構いません。医師の指示がある場合は、その指示を優先してください。記録しておくと、あとからグラフにしたり、診察時に見せたりできます。
体調メモは、
- 「まあまあ元気」
- 「少しだるい」
- 「頭が重い」
など、本当に一言でOKです。後で見返したときに、「この頃は忙しくてずっと『だるい』って書いているな」など、生活全体の振り返りにも役立ちます。
週に1度だけ「ざっくり振り返る」時間をつくる
毎日の記録に慣れてきたら、週に1回だけ5〜10分ほど、
- 体重・血圧・睡眠時間などの変化
- 体調メモの傾向(元気な日が多いか、しんどい日が多いか)
を眺める時間をとってみてください。
このときのポイントは、「改善点探し」よりも「気づきメモ」を残すことです。
- 「飲み会が続いた週は、体重も体調も乱れやすい」
- 「散歩が増えた週は、気分メモも明るめが多い」
こんな小さな発見をノートの端に書いておくだけでも、次の1週間の過ごし方が少し変わります。
数字だけでなく「感情」もメモしておく
健康寿命を考えるとき、「体の元気」と同じくらい大事なのが「心の元気」です。なので、余裕があれば感情もメモしてみるといいかもしれません。
たとえば、
- 「うれしいことがあった」
- 「ちょっとイライラ」
- 「何となく不安」
などです。あとから見返すと、「忙しくて睡眠が足りない週は、ネガティブなメモが多い」といった傾向に気づけることもあります。
ノート派?アプリ派?続きやすい記録スタイルを選ぶ
体調記録の道具は、「紙のノート」でも「スマホアプリ」でも、やりやすいほうで大丈夫です。ここではそれぞれの良さをまとめてみます。
紙のノート・健康手帳の良さ
紙のノートや手帳は、
- ぱっと開いてすぐに書ける
- 自分の字で書くことで、記憶に残りやすい
- イラストやシールなどで自由にアレンジできる
といった良さがあります。
国の「スマート・ライフ・プロジェクト」では、「健康手帳」という健康づくり用の手帳がダウンロードできるようになっていて、健診結果などを綴じて保存できるようになっています。健康づくりのポイントも書かれているので、こうした公的なツールを活用するのも一つの方法です。(厚生労働省「健康手帳」のページより)
スマホアプリで記録するメリット
スマホをお持ちであれば、健康管理アプリを使う方法もあります。
- 歩数や睡眠時間を自動で記録してくれるもの
- 血圧計や体重計と連携して、測定結果が自動で保存されるもの
- 家族と記録を共有できるもの
など、さまざまなアプリがあります。国内メーカーの健康管理アプリの中には、血圧データを家族と共有できる機能を持つものもあり、離れて暮らす家族の見守りに使われることもあるようです。
また、医療系のアプリの中には、血圧・血糖値・体重などをまとめて記録しておき、必要に応じて医療機関とのコミュニケーションに活用できるものもあります。アプリ選びに迷ったときは、「日本語で使えるか」「広告が少なくて見やすいか」「難しい操作がいらないか」といった点を目安にしてみると安心です。
両方をゆるく組み合わせる方法
「どっちにするか決められない…」という方は、思い切って両方使ってしまうのも手です。
- 歩数や睡眠時間など、自動で集められるデータはアプリにお任せ
- 気分・痛み・気づきなどは、紙のノートに手書き
このように役割を分けると、負担感が少なくなります。
私自身も、ライザップの減量期は体重や食事の写真をアプリに記録しつつ、気持ちの変化や体の違和感はノートに書き留めていました。数字だけでなく「そのとき何を感じていたか」が残っていると、振り返りがぐっと立体的になります。
血圧・体重・歩数…数字との付き合い方
体調記録を始めると、どうしても「数字」が気になってきます。ここでは、よく記録される3つの数字との付き合い方を、やさしく整理してみます。
血圧を家で測るときのポイント
家庭用血圧計は、上手に使うと毎日の体調の変化を知る大きな味方になります。
- 椅子に腰かけて1〜2分ほど安静にしてから測る
- 朝は起床後1時間以内、夜は就寝前など、条件を揃える
- 測った値はその日のうちにメモする(忘れないうちに)
国内メーカーの情報では、朝晩一回ずつ測定し、できるだけ長期間続けて記録しておくことがすすめられています。ただし、具体的な測定回数や目標値は、かかりつけ医の指示がある場合にはそちらを優先してください。
また、血圧計そのものも消耗品で、何年も使い続けると精度が落ちる場合があると指摘されています。気になるときは、取扱説明書やメーカーの案内を確認したり、健診などの機会に相談してみると安心です。
体重は「1日ごと」より「1〜2週間の流れ」を見る
体重は、前日との比較だけを見ていると、
- 「昨日より800グラム増えた…」
- 「今日は減ったけど、明日また増えるかも…」
と、どうしても一喜一憂しやすくなります。私も昔はそうでした。
そこでおすすめなのは、1日ごとの数字ではなく、「1〜2週間の流れ」で見ることです。
- この2週間で、全体としては少しずつ下がっている
- 忙しかった週は増えやすいけれど、落ち着くと戻っている
こうした「流れ」を見ると、短期的な増減に振り回されにくくなります。健康寿命を考えるうえでも、急激な減量より、穏やかな変化のほうが体に優しいことが多いです。
歩数や活動量で「座りっぱなし」を見える化する
最近は、スマホや腕時計が自動で歩数を記録してくれるようになりました。これを「自分の生活リズムを知る道具」として使ってみるのも一つです。
厚生労働省の資料では、健康づくりのための身体活動量の目安として、歩数の例が紹介されています。ただし、年齢や体力、持病などによって適切な運動量は変わりますので、「自分もその通りにしなければ」と考えすぎる必要はありません。
むしろ、
- 仕事の日は3,000歩前後で、休みの日は7,000歩くらい
- 在宅勤務が増えてから、明らかに歩数が減った
といった、自分なりの傾向に気づくことが大切です。そこから、
- 昼休みに5分だけ遠回りして歩いてみる
- エレベーターではなく階段を使う日を週に1〜2日つくる
といった、小さな工夫につなげていけるといいですね。
健診結果も「一度見て終わり」にしないための工夫
40〜74歳の方は、特定健康診査(いわゆる「特定健診」)の案内が届くことが多いと思います。国の情報では、特定健診は生活習慣病のリスクを早めに見つけるためのものとされています。
健診結果は、封筒から出してざっと見て、引き出しにしまって終わり…となりがちですが、体調記録と組み合わせると、もっと役に立つ資料になります。
「健診ページ」を1枚つくって貼っておく
おすすめは、ノートや健康手帳に「健診ページ」を1枚つくることです。
- 受けた日付
- 体重・腹囲・血圧などの主要項目
- 医師や保健師さんからのコメントで印象に残ったこと
- 次回までに意識してみたいこと
これらを書き写しておくと、翌年の健診結果と並べて見比べることができます。「去年より少し改善している」「ここ数年は同じ傾向が続いている」など、長い目で見た変化に気づきやすくなります。
市区町村の中には、健康手帳の使い方を紹介しながら、「健康手帳を使って健康づくりを始めてみませんか」と案内しているところもあります。住んでいる地域のホームページをのぞいてみると、自分に合いそうなサービスや講座が見つかるかもしれません。
「要再検査」「要治療」と書かれていたら
健診結果に「精密検査が必要です」「受診をおすすめします」といったコメントが付くことがあります。国の情報では、そのような場合は健診結果を持って医療機関を受診することがすすめられています。
ここで大事なのは、怖がりすぎず、でも先延ばしにしすぎないことです。「怖いから見ない」のではなく、「よく分からないから専門家に聞いてみよう」くらいの気持ちで、一度相談してみると安心感が違ってきます。
記録がしんどくなったときの「力を抜くコツ」
どんなに良い習慣でも、毎日続けていれば必ず波があります。
- 仕事が立て込んで記録どころではない日
- ちょっと落ち込んでいて、体重計に乗りたくない日
そんなときに役立つ、「力を抜くコツ」をいくつか紹介します。
さぼった日の記録も、そのまま「空白」にしておく
1つ目のコツは、「書けなかった日を埋めようとしない」ことです。
体調記録のノートを開いて、ところどころ空白の日があっても、それは「そのときの自分」を映した立派な記録です。あとから見返したときに、
- 「この頃は忙しすぎて余裕がなかったな」
- 「ここで少し燃え尽きている」
と気づければ十分です。空白を責めるより、「ここまで続いている自分」を肯定してあげたいところですね。
完璧より「ざっくり続いている状態」を目指す
真面目な人ほど、
- 毎日同じ時間に
- 全部の項目を
- きれいな字で
と考えがちです。でも、健康寿命を伸ばすうえで大切なのは、「細かく完璧に書くこと」ではなく、「ざっくりでも続いている状態」です。
たとえば、
- どうしても忙しい日は、体重だけサッとメモする
- 血圧が測れなかった日は、翌日にまとめて2日分書いてしまう
- 1週間分たまってしまったら、その週の印象だけ書く
このくらい大ざっぱでも、何もしていないよりずっと「自分の体と向き合っている時間」が増えます。
家族や友人と「ゆるく共有」してみる
人によっては、ひとりで記録していると途中で飽きてしまうこともあります。そんなときは、家族や友人と「ゆるく共有」してみるのも一つです。
- 夫婦でお互いの歩数を見せ合う
- 離れて暮らす子どもに、「今週はこんな感じだったよ」とLINEで送る
- 同年代の友人と、「今月の体重グラフ」を見せ合いながら雑談する
最近は、家族と血圧の測定結果を共有できるアプリもあります。機能を使いこなす必要はありませんが、「ひとりで抱え込まなくていいんだ」と感じられるだけでも気持ちがぐっとラクになります。
和久井朗の体験:記録があったから気づけたこと
ここからは、私自身の体験を少しだけ共有させてください。
ライザップに通い始めた当初、正直なところ体重計に乗るのが怖い時期もありました。それでも、トレーナーに励まされながら毎日の体重・食事・トレーニング内容を記録していくうちに、少しずつ「数字と仲良くなる感覚」が生まれてきました。
記録を振り返ってみると、
- 睡眠時間が短い週は、トレーニングの疲れも抜けにくい
- 仕事でストレスが強い時期は、つい食べすぎやすい
- 逆に、休みの日にしっかり歩くと、気分も軽くなる
といった、自分なりの「パターン」が見えてきたんですね。
その気づきのおかげで、「食事」「運動」だけでなく、「睡眠」「ストレス」「楽しみの時間」も含めてトータルで体調管理を考えられるようになりました。今振り返ると、これが健康寿命のことを意識し始める大きなきっかけだったように感じています。
ライザップ時代の細かい記録や、体がどう変わっていったかについては、減量期の全記録をまとめた「ライザップ・高血圧オヤジ54歳の挑戦」にも書いています。数値の変化だけでなく、「心のアップダウン」も含めて、体調記録の一例として読んでいただけるかもしれません。
「今からでも遅くない」体調記録という健康習慣
最後に、この記事のポイントをゆるくまとめておきます。
- 体調記録は、「なんとなく元気」をもう少し客観的に見るためのツール
- 毎日つけるのは、体重・血圧(測っている人)・ひとこと体調メモくらいで十分
- 紙のノートでもアプリでもOK。続けやすい形を選ぶのがいちばん大事
- 数字は「1日ごと」ではなく、「流れ」で見ると心がラク
- 健診結果も、体調記録と組み合わせると「自分の健康の歴史」になる
- さぼった日があってもOK。空白も含めて、ぜんぶが記録
体調を記録することは、誰かに見せるためでも、完璧なグラフを作るためでもありません。「今の自分の体と、少し仲良くなるための時間」と考えると、ハードルがぐっと下がります。
40代でも、50代でも、70代でも、今日から1行のメモを書き始めることはできます。きれいなノートを用意しなくても、家にあるメモ帳やスマホのメモアプリからスタートして大丈夫です。
数か月後、1年後にその記録を振り返ったとき、「あのときより今のほうが、少しだけ体と仲良くなれているかもしれない」。そんな未来をイメージしながら、自分のペースで始めてみてください。
健康寿命は、「ある日突然」伸びるものではなく、こうした小さな習慣の積み重ねでじわじわと育っていくものだと思っています。今日書いた1行が、未来の自分へのささやかなプレゼントになりますように。

